【大相撲初場所】 千秋樂 ： 白鵬 ○－● 朝青龍 （寄り倒し）

本割は白鵬が朝青龍に完勝し、優勝決定戰に持込んだ。
この一番は、白鵬が一瞬立ち後れたやうに見えたが、立つてからの動きが早く、諸差しになつて一氣の寄り。
朝青龍は右上手を引いたものの、すぐに上手を切られて、なす術もないと云つた感じだつた。

優勝決定戰は平成１３年夏場所の、貴乃花と武藏丸の一番以來、足掛け８年ぶり。
ＴＶでその一番を再現してくれたが、あの時の貴乃花の形相は凄じかつた。
確か、貴乃花の最後の優勝だつたと思ふ。
あの一番は、大相撲の長い歴史の中でも、滅多に見られない好一番だつた。

優勝決定戰を控へる支度部屋は好對照。
「動」の朝青龍と「靜」の白鵬。
附き人の胸にぶつかつたり、てつぽうをする朝青龍と、靜かに目をつむつて精神統一をする白鵬。

優勝決定戰。
立合ひ、さつと左を差し、右は淺く前みつを引いた朝青龍。
白鵬の右上手はまわしの結び目あたりで、これでは力が入らない。
朝青龍は左の下手投げで白鵬のからだを起こし、頭をつける萬全の態勢。
これで、もはや勝負あつた。
そのまま、引きつけて白鵬を寄り切り。

負けて天を仰ぐ白鵬と、滿面の笑顏の朝青龍。
左肘の故障で稽古不足が取り沙汰された朝青龍であつたが、初日に勝つて以來の連勝は見事だつた。
やはり、まだまだ朝青龍の時代は終つてはゐないのだらう。

優勝を決めた朝青龍が、髷を結ひ直してゐる間に、インタビューに答へた。
「久しぶりに朝青龍に戻りました」
意味は不明ながら、なんとなく雰圍氣はわかるやうな氣がした。
「朝青龍」は土俵の上で勝つてこその「朝青龍」なのだらう。
土俵外での話題はもうたくさんだ。
横綱としての「朝青龍」を相撲ファンに見せて欲しいものだ。

ついでに云へば、土俵上でのガッツポーズはやめて欲しい。
土俵といふのは單なる「竸技場」ではないのだから。

ともあれ、朝青龍の優勝はこれで通算２３囘目。
貴乃花の２２囘を拔いて、史上４位となつた。
大鵬３２囘、千代の富士３１囘を拔くのは難しいかもしれないが、北の湖の２４囘は拔くだらう。
平成の大横綱であることは間違ひない。
どうかその自覺を持つて、これからも精進して欲しい。


中入り後の取組 （Yahoo!スポーツ）