オーデュボンの祈り新潮社このアイテムの詳細を見る |
著者名 伊坂幸太郎 発行年(西暦) 2003
出版社 新潮文庫 値段 600-800円
お薦め度 :☆☆☆☆☆
第5囘新潮ミステリー倶樂部賞受賞作。
しかもこの作品は作者のデビュー作だといふのだから恐れ入る。
一讀して、奇妙な味はひの小説だと思つた。
言葉を話し未來を語る「かかし」だとか、
ルールとして認知され殺人を赦されてゐる男だとか、
反對のことしか話さない畫家だとか、
奇妙な人物ばかり登場する。
あまりに奇妙な人物だらけなので、
警官のくせに警察の權威を利用して惡辣の限りを盡すやうな人間が、
むしろあたりまへの存在のやうに思へてしまふ。
しかも舞臺となるのは誰にも存在を知られてゐない孤島。
こんなシュールな設定なのに、いつのまにか此の世界に惹きこまれてしまふのが不思議だ。
「かかし」は何故殺されたのか?
畫家は何故正反對のことしか話さないのか?
ミステリーとしても讀めるが、人間存在そのものについて考へさせられる作品でもある。
輕いタッチで描かれてゐるので、讀みやすい。
私はなんとなく村上春樹の初期作品を讀んだときの印象を思ひ出した。
新しい才能の登場である。
2004年2月2日讀了
TBありがとうございます。
やっぱり春樹ぽいですよね。
でも全然嫌じゃないです。
今「ラッシュライフ」読んでいるんですけど、何か「オーデュボンの祈り」と似ている気が・・・
面白いといいなーー。
私も伊坂幸太郎を讀んだのはこの作品が初めてでした。
村上春樹の「風の歌を聽け」を讀んだ時の感動に通じるものを感じました。
ちなみに村上春樹は私にとつて、まさに「同時代」の共感を感じる作家です。
「アフターダーク」では少しがつかりしましたが・・・
でもつい最近讀んだ「海邊のカフカ」で、やはり村上春樹は素晴らしいとあらためて思ひました。
ともあれ、伊坂幸太郎、これからがますます樂しみな作家ですね。
「ラッシュライフ」も私は面白く讀めました。
TBありがとうございました。
奇妙な味わいのある作品なんですけど、いつの間にか物語の世界に引き込まれてしまう作品ですよね。
荻島という島、しゃべるカカシが本当にいるかのように思えてくる作品でした。
コメントありがたうございます。
じつに存在感のある物語ですよね~
仙臺の近くにかういふ島が實在するやうな氣がします。
案山子はもしかしたら、みんな喋れるのかもしれません。
夜中になつたらたんぼで會話してゐるのかも(笑)
「死神の精度」が一番読みやすくて好きです。
「陽気なギャング」二冊ともおもしろかったし。
「オーデュポン」は長いので途中で挫折。
もしかしたら春樹かも。
関係ない話ですが春樹の「アフターダーク」が思わせぶりなところでぶちっと切られた印象があり腹を立てています。
それで「新境地の長編」のアオリ、嘘やー
「ねじまき鳥」なんか超長編かー
と文句を言い倒していますw
「アフターダーク」には私も失望しました。
實驗的な作品なのかもしれませんが、私は好きになれません。
その後で「海邊のカフカ」を讀んで安心しました。
ちなみにいまは「重力ピエロ」を讀んでゐる最中です。
私には村上春樹の匂ひがします(笑)
『オーデュボンの祈り』は伊坂作品の中では4番目に読んだので、その後の作品と比べるとやっぱりこなれてないなという感じでしたが、おもしろく読めました。
『ラッシュライフ』を読んだときには、わたしも『風の歌を聴け』を連想しました。
コメント、どうもありがたうございます。
作家の處女作には、その作家の氣質が現はれてゐるといひます。
さういふ意味では、この作品も伊坂幸太郎の根つこが垣間見えるやうに思ひます。
先日、「アヒルと鴨のコインロッカー」を讀みましたが、達者になつた半面、インパクトが弱くなつたやうな氣もしました。