藝大の作曲科教授を務められた尾高惇忠氏の退任記念コンサートを東京藝術大学奏楽堂(大学構内)で聴く。このコンサートは3月16日の予定だったが、大震災で本日に延期された。
すべて尾高氏の作曲でオルガン曲に始まり、独奏チェロ、メゾ・ソプラノ歌曲、後半はピアノ・ソナタ、2本のクラリネットとピアノ、最後に2台ピアノ。
歌曲は奥様の歌に尾高氏の伴奏による、完全にプロフェッショナルな演奏だった。
作風は歌曲以外、どれも固定楽想を発展させる手堅い手法で、純粋にクラシック音楽を継承している。
その固定楽想はすべての曲に共通し、<順次進行+短3度>。順次進行は曲によって半音だったり全音だったりし、違いが際立たされ、曲調を鮮明にする。
ブラームス(歌曲)、後期ロマン派、ドビュッシー、ラヴェル、シェーンベルク、メシアン等の語法を吸収したことが伺えたが、その語法で表現しているものは、器楽曲では根本的に「暗い抒情」だろう。獰猛さや激しい無窮動なども顔を出すものの、すぐに治まり、緩やかな和音の反復となる。
ただ、オルガン曲は強靭さが持続し、2台ピアノ作品はかなり燃えた。
最新の画像[もっと見る]
-
アルトフルートのための"The Salutation" 再演 8年前
-
《Breeze in A》の指揮/YouTube 10年前
-
島村楽器ピアノフェスティバル語録(第8回~第10回) 13年前
-
アルトサックスとピアノのための《詩篇》初演予定 13年前
-
ユーロミュージックから「ショパンのノクターン」楽譜出版 14年前
-
6手のための「ショパンのノクターン」編曲/初演予定 14年前
-
バリトン歌曲《月》再演/奏楽堂 15年前
-
初見課題曲 17年前
-
ウィンドオーケストラ作品の委嘱 19年前
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます