満月に聴く音楽

宮本隆の音楽活動(エレクトリックベース、時弦プロダクションなど)及び、新譜批評のサイト

DODDODO 『ど』

2012-01-02 | 新規投稿
 
「大阪のシーンを牽引している」と東瀬戸氏(forever record)に薦められ、ジャケットにびびりつつも購入。
一曲目「ど」のヘタウマジャンクなロックに、この先どうなるのかと危惧しつつも「どっどどどどう、どう、どどう」という歌詞に「宮沢賢治?」とニヤリとなり、2曲目「たぬきが来たから居留守した」のほのぼの和のメロディになぜか安心。続く「ハンハン」、「太陽公園」の神秘童謡は思わず歌詞を熟読し、更に「いろんな童」のポジティブビートに乗った拡がる歌声になぜか感涙。徐々にハマってしまいます。「木風」の内省的センチメンタルにこちらもしみじみなりながら次の「なりませぬ」に元気をもらう。もはや完全にワールドに吸い込まれてる。えらい吸引力のアーティスト。聖性をも帯びたラストの「夕日」の大きな物語はもはや大歌謡の境地。クラリネットの郷愁とメロトロンの抒情。やってくれるで。ダメ押しですな。しかしちょっと曲数、少ないですね。もっと聴きたい。あと2曲は必要です。

初期ボアダムズ、思い出波止場からつながる奇天烈感覚、逸脱感覚を‘大阪要素’とその伝統を認めてもいいが、もっと前のほぶらきんやのいずんずりの陽気な土俗感覚の再来のようにも感じる。しかしそのナチュラルな歌心は素直の極意のようで、誰にも可能な表現、何物にも頼らない表現という万人に開かれた表現行為の真髄をここに見た。超自然体であり、しかしアイデア一発のオドロキ路線ではない。歌いたい事やイメージの具現というテーマが確かにある事が‘頼りがいがある’作品性として成立しているとも感じます。
こう書いてからネットでこのアーティスト、何者?と検索すると、知らなかったのは私だけ?と感じさせるほど、広範囲な活動されてるんですね。無知でした。そしてサンプラーで激ビートを駆使したグラインドコアとか書いてる。ということはこのアルバム『ど』の歌もの路線はもしかしたらDODDODOの表現の一部という事?ますます謎です。ライブ行きたいな。ほんとにえらい吸引力のアーティスト。

2012.1.2

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする