今日の朝日新聞 ”声”に載っていた投稿記事。
その内容にグイッと惹かれた。
と、同時にこの投稿を採用した担当者の粋な計らいにも興味を持った。
投稿者は、93歳の男性。
中身は、なんと60年前の恋の話だ。
当時、恋い焦がれた女性がいたが、うぶな男性は何も出来ずに時は過ぎたという。
そのことが今になっても思い出され、死にきれない苦悩だと綴られている。
奥様を3年前に亡くされ、思いはより募るばかりという。
60年前というと、日本がようやく戦後を乗り切って、成長に向かった頃。
人々は、裕福でもなく、日々の暮らしに精を出していた時期だろう。
投稿には、お相手やご自分の具体的な勤務先や所属、住んでいた地域を書かれてあった。
ということは、この投稿、もしかすると、そのお相手が見つかる可能性がある訳だ。
・・・・・投稿者もそれを期待しての投稿だったに違いない。
おそらく担当編者も、そういう展開を思い描いて、採用したのかもしれない。
しかし、なんとも微妙な内容である。
その方の今置かれている状況、永年培ってきた社会環境がきっとあるはず。
93歳になった今、このような投稿を書いて出す、ということ自体、
相当な思い切りがあったことだろう。
そして、それでも忘れられない、会いたい、という心情を思う。
だが、いい歳をして、とか、奥様がかわいそう、という意見も多くあるだろう。
そんなこともご本人は承知の上で、書かれたような気がしてならない。
個人的に『マディソン郡の橋』という映画が好きだ。
名作なので言うまでもないが、
年老いて亡くなってから、すれ違った恋人への思いを果たす、そんな映画・・・。
93歳のその方の清々しい、純粋なお気持ちに拍手を送りたい。
そして、思いが叶うことを心から願う。後日談、是非期待したいところだ。