にゃんこと黒ラブ

猫達と黒ラブラドール、チワックスとの生活、ラーメン探索、日常について語ります

知の巨匠『ひきこもれ』『老いの幸福論』吉本隆明

2020-12-14 19:05:00 | 日常

 学生時代、文系、理系問わず様々な学部学科の学生が同じサークルで活動していた。文学部の先輩が吉本隆明氏やデビューしたばかりの村上春樹氏について熱く語ってくれて、その後も長きに渡り追っかけて読んだ。

 私のライラワークに文芸(文学)と音楽は友人や先輩の影響を受けて、自分の専門とはかけ離れたところで人生に楽しみをもたらしてくれている。

 先輩がバイト外せないからと、吉本隆明氏の講演会にカセットデッキ持ち込んで何度か潜り込んで録音を頼まれた。その当時、福岡県小倉で講演会(無料)があって聴講して来たが、その内容についてはさっぱり分からなかった。

 しかし、このおっさんは只者ではなくよく分からないが直感的にとんでもない広大な領域でオリジナルな凄い研究をされていることは肌で感じ取れた。

 それからというもの、何度も何度も「共同幻想論」、「言語にとって美とは何か」、「心的現象論序説」を精読してみるが、あまりに壁は高かった。それでも惹きつける凄さや隆明氏が掴んでいる真髄に少しでも触れたくて今なお心に刻まれて憧れている。








 そんな隆明氏が晩年(70代から80代)に書いた書物は非常にわかりやすくて身にしみる作品が多い。

 ひきこもりが社会問題に表面化し始めた20年くらい前に書かれた作品。自分もひきこもり気質の人間だと吐露しながら、ひとりの時間をもつことの大切さ、いつかは自分なりのフィールドで社会と接点を持てばいいと、押し付けない大丈夫感で励ましのように聞こえる。







 今では、エネルギッシュな20代に隆明氏の40代後半の姿、肉声を聴けたことは夢のようだった。こんなに凄すぎる独学おっさんはもう当分この日本には現れないだろうと思う。

 隆明氏の書物や研究がほんとうに評価されるにはまだ半世紀以上かかるだろう。日本の学芸研究が追いついていないとまで思っている。

 「老いの幸福論」これも20年ほど前に書かれた作品。老いるということはどういうことか、その中で少しでも幸せに老いるためには何を心がけたらよいか、今の私のバイブル(人生指南書)になっている。









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