ちょっぴり腐女子な、つれづれ愚痴日記

 ぐだぐたな日々を愚痴りつつ、のんびり綴っています。気が向いたときに更新。

節電にも限度が…(小ネタ)

2011年07月02日 | 腐女子ネタ
 暑い。暑い。どこもかも暑い。
 ここ東城大学医学部附属病院も例外ではない。外来診療棟も冷房の設定は1℃上げられた。当然、講義室などは使わないときは冷房カットだ。教授室もしかり…。
 唯一の例外が、手術室だ。心臓や脳外科の手術は室温自体がかなり低く設定されている。なので、学生などの見学希望が殺到しているらしい。
 病棟もエコスタイルだ。患者は毛布ではなく、タオルケットや薄がけ布団にくるまっている。入院着も長袖長ズボンではなく、半袖膝丈に変更。
 当然、医者もエコなスタイルだ。
「先輩。その格好は止めましょうよ。どう見ても、インディー・ジョーンズです」
 エコスタイルの田口に、兵藤が注文を付けた。
「けど、院長お勧めスタイルなんだけど」
 田口は困ったように呟いた。半袖に半ズボン。サファリルックではないが、色が地味すぎたのか。自分でも、鏡を見て、“うーん。似合わない”と思った。
「確かにそうですけど…」
 大病院の使う電気料は毎月1000万円レベルなのだ。当然、節電できるところは徹底的に節電!と、世間に便乗した事務長が張り切っている。しかも、今回は事務長の取り組みに、いつもなら余りいい顔をしない病院長が、二つ返事で賛同しているから、たまったものじゃない。とうわけで、六月から、さっそくエコ・スタイルが導入された。
 が、医者は格好を全く気にしない者と、やたら洒落な奴の両極端が多い。なので、格好を気にしない奴らは、それ、水着?という格好で来たり…、洒落者はここはリゾート地?という格好で来たりする始末。
 そんなわけで、エコスタイルとはこんなものだと、病院長がプリントを作り、医局に配布した。結果、田口はごく普通のお勧めエコスタイルで、出勤した。なのに、やたら評判が悪い。
 病棟でも、「田植えに行くんですか?」とか「男前が下がった」とか朝、顔を出した時点で言われ、田口はちょっと傷ついていた。そこに、兵藤の指摘だ。
「じゃあ、どうすりゃいいんだよ」
「先輩はいつもの格好でいいんじゃないですか?」
「あれ、暑いんだよな」
 だいたい裾が長い白衣を着るだけで、一枚余分に着ることになるので暑いのだ。なので、田口もいっそのこと、整形外科の医者が着ているようなケーシータイプの白衣にしようかと考えている。
「うーん。だったら、モテ度№1の速水先生にコーディネイトを頼んだらどうですか?」
 兵藤はこの際、自分は超が付くぐらい苦手でも、田口に関しては完璧?に振る舞う院内いい男ナンバーワンを長年キープしている速水を挙げた。確かに、日がな一日、術衣を着ているくせに、たまーに着ている私服は、確かに格好いい。顔もいいが、服のセンスもいいのが速水のモテ度を長年維持している理由だ。
「兵藤…。言いたいことは分かるけど、それ、今日の速水の格好を見てから言ってくれよ」
 はぁ。田口の大きな大きなため息。それを見た兵藤は、早速、自分と仲がいいオレンジ新棟一階の佐藤にPHSを入れた。
 が、佐藤は一言。
「自分の目で見ろ」
と言っただけだった。
 不審に思いつつ、兵藤が恐る恐るオレンジ新棟へ行けば…。
“輸液全開! 末梢確保!セントラル確保!”
 救急隊に運ばれた血まみれの患者を前に、戦う救命救急医たちがいた。その前線で指示を出す速水。相変わらず、その冷静な態度と的確な指示が飛んでいた。
 しかし…。しかし、その頭には、ストライプのリボンが結ばれていて…、よく見れば、耳にも光るものが揺れていた…。
 速水先生、何であんな格好? もしかして、二階のガキどもに遊ばれた?
などと首を捻りつつ、兵藤は阿鼻叫喚地獄の救命救急センターから、愚痴外来へ戻った。
「あの…速水先生の格好を、先輩は知っているんですか?」
 兵藤はちょっと遠慮がちに田口に尋ねた。
「あれな。速水流のさむーいギャグらしい。暑いなら、寒くなるようにすればいいって言って…。俺は環境的に寒くするのかと思ったんだが、あいつは精神的に寒くする方向に走ったみたいで…。
 今日は全身AKBのニューシングルのプロモーションの格好で出て行った…」
「え゛!」
「昨日は確かレディ・ガガでしたよね」
 藤原が呆れと笑いを含んで補足した。
「…誰かあの馬鹿の勘違いを止めてくれ
 切実に田口が呟いた。
「明日は何でしょうかねぇ」
 そんな風に楽しめる藤原を、田口と兵藤はさすがと感動の目で見た。


  
どこまでも暴走するジェネラル・ルージュ。まあ、真っ赤な口紅ぬって、救命救急医をできるぐらいだから、コスプレなんてへのカッパ? 今度はコスプレ禁止が医局回覧板で回るかも。その前に、電子カルテを起動する画面に、「コスプレ禁止」って出るかも。


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