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ザ・ベスト・オブ 山種コレクション[後期]

2012-01-17 | 【アート】美術館・ギャラリー・レビュー

山種美術館へ「ザ・ベストオブ山種コレクション」を見に行きました。
パンフレット表紙にも載っている速水御舟『炎舞』を見てみたくて・・・
土曜日のお昼過ぎ、けっこう混んでました。

まず目にとまったのが、小林古径「静物」。
油彩となっていましたが、同じスペースに展示されている佐伯祐三や安井曽太郎の立体的な感じとは正反対な印象・・・
色もすごくシンプルに器と果物だけ。タイトル通り静けさを感じる一枚でした。

次のお部屋に入ると、目に飛び込んでくるのは東山魁夷「満ち来る潮」。
大迫力の大きさですが、緑っぽい青と波の白がやっぱりなんとなくお上品・・・
波がざぶん、といったところの白い部分に、金がきらめくように使われていて、遠くから見ても近くでみても美しい一枚でした。

そして何気に目立っているのが落合朗風「エバ」。
ルソーのパクリかと思いました。いろんな緑の葉っぱ、裸で髪が長く目元が印象的な女、蛇。
すごく洋っぽく感じたので、日本画にもこういう作品があるんだと驚きました。

そして今回の展覧会で一番興味をもった人、福田平八郎。

「牡丹」はレースに印刷されてるような、風が吹いたら花びらがひらひら動きそうな繊細な絵でした。すごくきちんきちんと描かれていて、牡丹の花の色もすべて少しずつ違うのが画面いっぱいに咲き誇っていてすごくきれい。全体的に淡いせいか、幽玄な感じのする絵でした。
もう一つ、とても面白かったのは「筍」。

竹の葉を画面いっぱいに敷き詰めた上に、シンプルに筍2本。
なんだか絶妙のバランスで、かわいいやらモダンでおしゃれやら。こういうデザインのものってどこかにあるような気がします。

絵そのもの、というより題材が印象に残った作品もありました。
川端龍子「鳴門」。
淡い色合いでうず潮を描いています。先の東山魁夷「満ち来る潮」と似た緑っぽい青で波を描いているのですが、なぜかこちらの絵のほうがちょっと暗い感じというか、怖い感じがしました。
個人的な感覚ですが、うずまきって何となく不安な形だと思っていて。
とくに最近、人の生死や時間について考えることが多く、夜にそういうことを考え始めては、初めて死について気付いてしまった子供のように眠れなくなったりしていたので、この絵は見た瞬間にドキッとしてしまいました。
こういう考えても仕方のないことって、どうして夜に思い浮かぶんでしょうね。。。

脱線しました。
展示も残り少なくなりました。山種美術館、そんなに大きい美術館ではないようです。
お目当ての速水御舟は・・・第2展示室でした。
小さな部屋に入ると人だかり。。。「炎舞」でした。
暗い展示室内に浮かび上がる炎、パチパチ燃えている というよりはメラメラ燃えている という感じ。
明るいところに蛾は集まるけれど、こんなにばっちり炎の中に入って行って焦げないのかな。ていうか完全に焦げてるでしょ、と思うとこの絵はもはや現実では無く・・・
むしろ炎の中から蛾が誕生してきた とか。
そんな夢を御舟が見たとしてわざわざ描くかな。描くか。だってこんなに幻想的で、見た人の心をとらえる一枚になっている・・・
残酷な光景なのか、神々しい光景なのか 見る瞬間によって印象が変わる不思議な絵でした。見れてよかった!

第2展示室ではこのほかに「墨牡丹」も見られました。
紅梅・白梅ももちろんきれいだったけど、私はこっちのほうが断然好き・・・
墨の濃淡だけで花びらが描かれていて、真ん中だけちょこんと赤く染まっていて。
○ントリーのプレミアムビールのCMみたいな、モノクロの中にビールだけカラーで、画面全体はそっけないのにその一部分だけすごい目をひいて印象に残る感じ。


さすが「ベストコレクション」と言い切るだけあって、
日本画を知らない人間にもとっつきやすくとても楽しめました!
今回の展覧会を見に行って、日本画を描いてみたいという願望がさらに高まりました。
なかなか手頃ではじめやすい講座が無いんですが。。。


話が逸れますが、携帯をi Phoneにしてmuseum cafe monthly guideというアプリを入れてから、展覧会のチェックがすごく便利になりました。
うちは新聞とってないので、実家に居たころかかさずチェックしてた朝日新聞のピックアップガイドが見れなくなってしまっていたので。
パンフレットを見て興味をもったり。。。こういうのもアリだなぁ、と思います。
この冬、結構たくさん面白そうな展覧会があるので、時間を見つけて出かけようと思います。