Happy go Lucky

美術館・ギャラリー・撮った写真や好きな絵、そしてひとりごと

種をまく人

2005-07-30 | 【アート】美術館・ギャラリー・レビュー
この夏真っ最中に、わざわざ秋の絵を取り上げます。だってこの絵がちょうどよかったんだもん…

載せたのはミレーの「種をまく人」です。ボストン美術館にあるやつの方。
ミレーのこの絵はほとんど同じものがもう一枚描かれており、それは山梨県立美術館にあります。
私はとっても運良く二枚とも見ることができました(ボストン美術館のは千葉そごう美術館の企画展で・山梨のほうのは、高1の校外学習?で)。はい、軽く自慢。
まぁ2枚並べて置いてもらわないと違いなんて気付かないさ。私はわからんかったね(笑)

農夫がおっきな種袋を左手に抱えて、右手で種を蒔き散らす、その瞬間の絵です。
ダイナミック ダイナミック。
なんだかずいぶん力強くかっこよさげになってる気がするのは、私だけではないはず。。
この絵について、「ミレーは労働のすばらしさを描いたのだー」とかなんとか言うつもりはありませぬ。

季節はずれのこの絵を出してきたのは、左右問題について書きたかったからなのです。 

絵の上下がひっくり返ったら…意味不明です。
じゃあ絵の左右がひっくり返ったら…一目でどっちが正しいとは判断出来ない と思う。
でも、左右がひっくり返ったら、気持ち悪い。
なんだかしっくりこない…と思う。
(ぴんとこなければ、何か写真や絵を鏡にでも映して見てみて下さい)

それで、です。
絵の中で斜めに動き、種をぐあっと蒔く農夫の格好・農夫の向こうに見える地平線の傾き
これが逆だったら…?
たぶん気持ち悪いとまではいかなくても、あんまり良い感じはしないと思う。
画面右から左に向かって動く農夫・右ななめ上から左下に傾く地平線。。

なんか違うなって感じしないですか!?私はする!!
これが、「絵画における左右問題」と言うらしいのです。
美術史家ヴェルフリンが主張した考えで、絵画は「左→右」に読む傾向があるとかないとか。
受胎告知(どの画家が描いたのでもOK)を思い出してくだされ。
……天使は左、マリアは右ってぇのが多い気がしませんか?

なるほどね~って感じがします。私は絵を描けないので自分で確かめたりできないですが。絵を描く人は知らず知らずのうちに好ましいほうを選んでるんでしょうか。。
でも文章を書くのでも左から右に書くし、グラフだって左から右に推移するように書くし、身のまわりのものいろいろが左→右ルールですな。

それにしても、人の顔を描くのに右側を描くってのも不思議な感じだけど。
ーーこれはまた別の話になるのでまた今度書こう。

美術作品を、脳のクセ(心理)と一緒に見ると、またとっても楽しくなります☆


種をまく人  ☆☆☆ジャン・フランソワ・ミレー(フランス) 1850年

散歩、日傘の女

2005-07-28 | 【アート】美術館・ギャラリー・レビュー
まったく暑い。
しかも女の大敵 紫外線!!

つまらん文句が枕になりました…載せたのは、モネの「散歩、日傘の女」です。さわやかな絵だ☆

モネといえばそりゃ印象派の有名人
印象派とは、目に見えるたくさんの色は光のあたる調子で変化すると考えて、それをキャンバスの上に表現しようとして、パレットで絵の具を混ぜるんじゃなく、キャンバスの上に光りの粒を置くように色を配置して描こうとした方々(らしい。知ったかぶり)。
二人が立つ草原も女の人のドレスも、お天気な日に風にそよそよ~~ってなってる感じがします。
いやいやさわやかじゃないですか。

モデルはモネの奥さんのカミーユと息子ジャン。
これを描いた数年後カミーユは亡くなってしまい、モネは別のモデルを使ってほぼ同じ絵を描きました。
実はそっちの「日傘の女」の方がモネの作品としては有名なようですが、私は断然カミーユモデルのこっちが好き。
後に描いた日傘の女は、こちらの方を振り返らず、その顔も描かれておらず、色だけあざやかでなんだかさみしい絵なのです。


「散歩、日傘の女」 ☆☆☆クロード・モネ (1875年)

アニウ゛ェルセル ギャラリー

2005-07-27 | 【アート】美術館・ギャラリー・レビュー
ぐーたらしてたら郵便屋さんが。
身に覚えのない会社からあたし宛に封筒が…!


……当たった!!!
大好きなシャガールの展示が表参道のギャラリーでやってる&招待券プレゼントと知って、応募してみたのでしだ!!
すっかり忘れとったわね(笑)

まだしばらく行く気になれないけど、楽しみにとっとこう!

マルク・シャガール コレクション     ☆☆☆北青山3ー5ー30 アニウ゛ェルセル ギャラリーにて2006年2月26日まで (12:00~18:00 月火休み)

めまい

2005-07-26 | 【アート】美術館・ギャラリー・レビュー
どこだ そこは。
あんたはそこで何をやってんだ。
何をやりたいんだ。

色みがほとんどない絵で、不穏な雰囲気が漂っております。
なんだかもうどうしようもない感じがいたしませんか、これを見てると。

たどり着くところがないような階段だ。
黒い衣服と帽子?とスカーフをまとった女性が、そこから動くのをためらっているかのよう。
てか めまいしてんのか、この人は。そんな高くて不安定なところにいるからだよ。
見れば見るほど救いようの無い印象を受ける。

ベルギーの画家 レオン・スピリアールトの世界は、ひんやりしてる。ざーーってしてる感じ。
ムンクやアンソールみたいに骸骨とか描いちゃう寒さじゃなくて、なんかこう、押し寄せてくるさみしい感じ。 薄ら寒さ。
何をどう考えるとこんな不安な気持ちの絵が浮かぶんだろ。
やばいでしょ、だいぶやばいよ この人。

ちっちゃいころ私は、子供ながらに気付いた
「芸術家は早死に もしくは 不幸せだ!!!」
と。ベートーベンとかモーツァルトの伝記を読んで導き出した考えだったと思うんだけど。
だから心のどっかに染み付いてるのだ「考え過ぎるなー 悩みすぎるなー さもなくば早死にしてしまう…!!」
自分のこと・まわりのこと・済んだこと・先のこと いろいろ考えるのも必要だけど、神経擦り減らして考える必要はないかなと思う。
今でもそう思ってますわ。


ちなみにスピリアールトさん、結婚後の作品からはこの独特の不安な雰囲気が消えました。
何か確信できたのかもなぁ。

めまい     ☆☆☆レオン・スピリアールト (ベルギー 1908年)

ブラティスラウ゛ァ世界絵本原画展

2005-07-16 | 【アート】美術館・ギャラリー・レビュー
千葉市美術館でやってる企画展に行ってきました。
スロウ゛ァキアでは定期的に絵本の展覧会をやってるらしく、グランプリ(一人)・金のりんご賞(五人)・金牌(五人) の三種類の賞が決められます☆
(金のりんごってなんだかかわいらしいなぁ…)
今回の展覧会では、これら受賞作品と、日本から参加した作家の作品、過去の受賞作品が並べられていました。

グランプリは、じゃじゃん!日本人でした。
小さい頃買い与えてもらった絵本て、アンパンマンとか、ぱおぱお君とか、たこやきマントマンとか、アニメ寄りも多かったけど。。
でもよーく考えたら、挿絵と呼ぶには戸惑うような、どっちかというと、まるで一枚の絵みたいな絵本がたくさんあったと思う。
いわむらかずおのネズミの絵本シリーズ(いろんな季節のがある)
忘れられないおくりもの(クマ?のおじいさんが仲間にいろんなことを教えてあげたりする話)
ねずみのティモシー(こまかい版画が面白い)
種をまく男(淡い青の絵がきれい)
………
だめだ思い出せん…私の幼きころの絵本たち~

にしても、日本人はなかなかの絵本好きかもしれませぬ。

企画展を見ても感じたけど、絵本の絵は色や表情がわかりやすくていいと思う。
楽しいシーン・わくわくするようなシーンは赤や黄、
悲しいシーン・静かなシーンは青やグレー。
あと、絵がすごく丁寧。色鉛筆を使った跡も、絵の具を塗った跡も、ていねいにていねいに仕上げた感じがしてくる。
私はムンクみたいに感情にまかせて一気に線をひくような絵も好きだけど、こういうのもなんだかあったかくていいなと思った☆


私がいちばん気に入ったのは、チクタク(Tic Tac)でした。
素敵だ。
どう素敵かは、ぜひ見に行ってみてください。

佐倉市立美術館

2005-07-13 | 【アート】美術館・ギャラリー・レビュー
□佐倉市立美術館

京成佐倉駅から家や店の間の坂道を歩いて10分くらい。(JR佐倉から歩くなんて絶対やめろ!有り得ないくらい迷った!!)
洋風というか北欧な感じというか(←うーんうまく言えない)不思議な外観の建物が店とかの並びに普通にある。
すごく小さそうに感じるけど、中に入ったらやっぱり狭い(笑)
チケット買ったら二階へゴゥ~
「絵画」とよばれるものから、今私たちと同時代を生きるアーティストのものまで、なんでもやるイメージです。
だいぶ小さい美術館。ですが、スタッフの方の感じも最高で行くとぽかぽかできる美術館だと思う。
高校のころお世話になりました☆


場所:〒285-0023 佐倉市新町210
時間:10:00~18:00
休館日:月曜


雰囲気 ★★☆
理由)狭いんだけど、明るい一階や静かな展示室。
気軽さ ★☆☆
理由)微妙な場所と、比較的短い企画展展示期間のため星ひとつにさせていただきました。
お散歩 ☆☆☆
近くは店と郵便局と民家ですよ…



※まったくの素人の独り言です

猪熊弦一郎現代美術館

2005-07-13 | 【アート】美術館・ギャラリー・レビュー
□猪熊弦一郎現代美術館

関東どころか四国・香川県の美術館ですが ご紹介☆
いなか~な駅の真ん前にある白い建物。浮きまくってます(暴言)
猪熊弦一郎の作品2万点ほどを持ち、年に数回これらを展示しておるようです。
猪熊さんについて私はまったく知らなかったんだけれども、行ったときやってた「猪熊弦一郎の仕事展」で、企業の包装紙(〇越の白地に赤い不規則な水玉のやつとか)を見て、へぇーと思ったとか思わなかったとか。

美術館がやる展示は猪熊さんの作品に限っておらず、私はたまたま現代写真の企画展もみました。
2階建てか3階建てで、天井の高い静かな空間!!
カフェのコーヒーもうまかったです。
ゆっくり見れてゆっくり休めて、良い☆

チケット・作品紹介・美術館発行のペーパーも、他とはちょっと違った形やデザインで素敵です。


場所:〒763-0022 香川県丸亀市浜町80-1
時間:10:00~18:00
休館日:?


雰囲気 ★★☆
理由)キレイで明るくて静かな美術館。
お勉強度 ★★☆
理由)展示室に解説がないのですが、もらえる作品紹介の紙はわかりやすい。
お散歩 ☆☆☆
駅前ですし、近くは商店街&家です。



※まったくの素人の独り言です

佐倉が熱い(予感)

2005-07-11 | 【アート】美術館・ギャラリー・レビュー
暑い暑い暑い
私はまぁ諸事情により必要以上に暑いんですけど。
言うなればカラスみたいな恰好してますし、えぇ。
暑いんです、スーツ。

そんなことはさておき、佐倉が か な り!熱い感じです。
佐倉市立美術館と川村記念美術館がほぼ同時期に「世界の呼吸法」てテーマで企画展をやってます。
ふたつの美術館の間を送迎バス(たぶん無料)がつなぎます☆
しかも佐倉市立美術館のほうは入場無料のよう…

やーー、一体どんな企画なんでしょ?
全然検討つきません。これは行くしかない。
行きたーい!!!

東京都現代美術館

2005-07-06 | 【アート】美術館・ギャラリー・レビュー
□東京都現代美術館

新木場駅からなんだか妙に歩かされる。
もっと便利なとこに作ればいいのに…

入ると天井が高く、とっても明るいロビー。いい感じじゃないですか☆
池田満寿夫やウォーホル、サムフランシスの作品を持ち、常設展をやる一方で企画展も行う。
大学1年のころ、ここの学芸員さんの授業を受けたんだけど、経営が困難なこととか暗い話が多かったので、なんとなく「今後が心配~な美術館」て印象だった(笑)
最近の企画展はフェラーリ展とかジブリ展とか、企業に展示スペースとノウハウを提供したみたいなのが多い。
これも美術館が生き残る道のひとつなんだろう…大変そうだ。。
でも、ここの常設展わたしは好きです。
初心者にわかりやすい道しるべをくれる構成で。
現代美術の流れを、日本→海外→仕掛けの楽しみ方 て感じに見せてくれる。
建物もシンプルで落ち着いてるし、庭にも作品があって一帯が非日常て感じだし。

場所は不便だけど、散歩するように寄りたい美術館。

場所:〒135-0022 江東区三好4-1-1
時間:10:00~18:00
休館日:月曜
所蔵作品:今井俊満、村上善男、ジャッド、上田薫など

雰囲気 ★★☆
理由)企画展に興味はなくても、常設展でちょくちょく行きたい落ち着いた感じ。
気軽さ ★☆☆
理由)場所が悪い…
お散歩 ★★☆
近くに 公園アリ(行ったことないけど…)



※まったくの素人の独り言です

東京芸術大学大学美術館

2005-07-06 | 【アート】美術館・ギャラリー・レビュー
□東京芸術大学大学美術館

上野駅から上野公園を突っ切るように歩いて10分くらいすると、東京芸術大学があります。
美術館自体は小さめだし、企画展をひっきりなしにやってる感じじゃないけれど、やるときはどかんと派手にやってる感じです。
大学美術館て学芸員も大学出身者なのかな…
「なんたら名品展」みたいな、いかにもって企画か、大学教授の退官記念展みたいなのが多い気が。
もっといろんなのやってみてほしいなぁ

さすが大学美術館だけあって、チケットの料金設定が学生にやさしい☆
一般より500円くらい安いです。うへへ。。


場所:〒110-8714 上野公園12-8
時間:10:00~17:00
休館日:月曜

雰囲気 ★★☆
理由)建物は大学特有の歴史がある雰囲気。
気軽度 ☆☆☆
理由)常設はないし、企画がないとわざわざ行かないかも。
お散歩 ★★★
近くの子供図書館に行きたいなと画策中。



※まったくの素人の独り言です

シーガル

2005-07-05 | 【アート】美術館・ギャラリー・レビュー
悩み中でも、とりあえず体は動かさないと。

というわけで今日は新宿。
新宿って汚い と初めて思った。
じゃかじゃか看板が立って、空を埋め尽くすみたいに建物が並んで、バカみたいだ。
そんで、人もえーらい多い。
人がうようよ。右からうようよ。左からうようよ。
少し乾いた目でそんなうようよをみてたら、ジョージ・シーガルの石膏を思い出しました。こっから本題です。

タイトルにも入りましたが、ジョージ・シーガルとはつい最近2000年ごろまで活動していたアメリカのアーティストです。
生身の人間の様々な恰好を石膏でとるんですよ、このおっさんは。
で、できあがった石膏に色を載せない。目を描かない。
そのせいか、どっか乾いた感じ・冷たい感じ・さみしい感じの人間(等身大)になるんだと思う。
なんでシーガルが目を描かないのか、なんでもっと劇的な動きをポーズにしなかったのか、私にはわかんないけど。
・型をとるとき目をつむっちゃうから描きようがない
・見る人が自分のその時の感情を作品にのっけられるように
・そもそもシーガルには他人の顔(表情)が見えてなかった(無いように思っていた)
思いあたるのはこれくらい…
これ、前者2つの理由であってほしいなぁと思います。
私は人に顔が無いなんて思ったことないもんね。
今日の新宿のうようよを見ても、表情が無いのは町並みであって人間についてでは無いと思う。

だーって人間には心があるもんね。
好き嫌いに喜怒哀楽に思い出にまだわからん未来への想像に。
…私はどっちかと言えば冷たい人間だと思うし、別にいちいち他人を見てこんなことで胸を熱くしてるわけじゃないけど(笑)
でも目に見えないこういうのがつまってるんでしょ、何千何万何億のうようよの中に。
そいつはすんごいことだと思う。

そんで。
町並みに表情がのっかることも、有り得なくは無いと思う。
それを見る人に具体的な出来事と、そこから感じた感情的な思い出があれば。それを忘れていなければ。

ジョージ・シーガルの遺した、目を閉じ表情のない石膏たちは、目に見えない心のいろいろをじっくりひそやかにかみしめているように見える。

国立近代美術館

2005-07-03 | 【アート】美術館・ギャラリー・レビュー
□国立近代美術館

竹橋駅から、右手に会社のビル・左手にお堀を見ながら、歩いて5分くらい。
ずっしりひっそりとある美術館は、たいていがらんとしてます。
…近現代美術でちょっと変わったとっつきにくい企画をやるからか。
作家についてとか美術館について網羅するような企画より、学芸員さんの視点で構成された企画(一見なんの共通点も無いようだけど、学芸員さんの思惑がある感じ)が多いです。

中は、行くたびに壁をいろいろに仕切っているのでわかりません。
最後の方に長い廊下のような展示室があり、大きい作品や連作が並びます。
そうそう、前に庭に作品が出たこともありました。

ゆっくり見れるし静か。
行くたびに考えさせられるので、この美術館が大分好きです 私は。

場所:〒102-8322 北の丸公園3-1
時間:10:00~17:00
休館日:月曜
所蔵作品:岸田劉生・カンディンスキー・岡本太郎・東山魁夷など

雰囲気 ★★★
理由)ときにビデオをつかった作品や、靴のまま作品の中に入り込むものもある。とにかく飽きない。
気軽さ ★★☆
理由)竹橋て少し微妙な場所です。
お散歩 ★☆☆
理由)まだ散歩したことないので、期待をこめて一つ。



※まったくの素人の独り言です