拈華微笑 ネンゲ・ミショウ

我が琴線に触れる 森羅万象を
写・文で日記す。

 幼子が・・・

2021年04月20日 | 観自在

  3、4日前の話、相方と私はCully (キュイ)というローザンヌから電車で15分、湖沿いの村へ散歩にでかけた。

  ここは、かの有名なジャズフェスティバル、すぐとなり街のモントルーと比較するとかなり小さめのジャズフェスティバルの行われる村で

  コロナ禍のため昨年は中止、今年も恐らく中止になるであろう?・・・か。 人口、およそ1800人のひっそりしたワイン畑の入り口になる村である。

  ここにも我々の気に入った散歩道があるので時々でかける場所だ。

  ここから見るレマン湖と対岸に控えめにそびえるアルプスの山並みが、ローザンヌから見るものとはまた違ったアングルで我々の眼を楽しませてくれる。

 

  いつものように、村の船着き場のある公園へ向かった。平日なので人が少ないが、澄み渡った青空に眩しい陽光を浴びにくる人達が何人かいた。

  背の高いポプラの木が何本か並んで立っている公園を歩いていると、男女3人の引率者がそれぞれ4,5人の園児たちを2列にして歩いて来た。

  子供観察が大好きな我々夫婦は『カワイイ〜っ』と言いながらそばで彼らを眺めていた。すると、お爺さんと来ていた3歳ぐらいの坊やが

  左手にお菓子の入った透明の袋、右手にそのお菓子の一つを持って、園児たちの列にすスーッと近づいたかと思うと、持っていたお菓子を

  列になって歩いている園児の一人の口元に差し出した・・・のだ。『はい、どうぞ…』と言わんばかりに、園児の口元にお菓子を・・・。

  私はその光景を写真に撮りたい!・・・と思ったもののあまりにも一瞬のことで、間に合わないと諦め、その後の成り行きを可笑しさをこらえて、

  いや、こらえずゲラゲラ笑いながら観察することにした。 私は園児がそのお菓子を食べるのではないかなぁ〜と、予測。

  しかし、その園児は少し驚きながら、怪訝な顔をしてその坊やが差し出すお菓子を食べずに仲間たちと歩いて行ったのだ。

  坊やの方はそれにめげず、その後列の別の園児、女の子の口にお菓子を押し当てた、まるでヒヨコに餌を与えるように…

  しかし、その子も困惑した顔で引率の先生の方を見たが、歩みは止めなかった。そのとき先生は坊やに何か言っていたようだ。

  結局、良かれと思って差し出したお菓子は、誰も受け取ってくれず…坊やの方こそ困惑したであろう・・・

 

  その時は、坊やの無邪気な行為に、私は微笑まずにはいられなかったが、後であの光景のことを考えると

  例の短歌 『 幼子が 次第次第に 知恵付きて 仏に遠く なるぞ悲しき…』の詩を思い出していた。

  分別の知恵は付けるべき、いつかその限界に気づくまでは・・・ラスト・Questionのときまでは・・・

         

  

  



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