スイス国内でもカトリック教の州では先週から今週にかけて『カーニバル』が行われた。
私が住んでいるヴォー州とか隣のジュネーブ州などは、16世紀宗教改革者カルバンによってプロテスタントの州となり、カーニバルという行事を行わない。
スイスは言語(独・仏・伊・ロマンシュ)だけでなく、宗教的にもプロテスタント(23%)・カトリック(35%)と分断しているのだから、
国の面積が九州ほどの小さい国とはいえ、地理的分断(アルプスやジュラ山脈)も加えると、国がまとまっているのが不思議なくらいバラバラの国といえる。
そんな国とは知らずに来瑞(スイス)した当初(1991〜2002)、私はにわか観光ガイドとなって日本人観光客をスイス国内をガイドしたが・・・、
今思うと生活の為とはいえ冷や汗もので、そのうちその『迷ガイド』ぶりを告白する日もそう遠くない予感がしている・・・。
写真家の端くれとして、私もスイス国内のあちらこちらのカーニバルを撮影に行ったが、
2017年12月にユネスコ世界無形文化遺産に認定された、有名なバーゼルのカーニバル以上に感動したのが、今日紹介するルッツエルンのカーニバルで
2005年の白黒写真と、2008年のカラー写真の混成組写真で構成した。
ルッツエルンという街はドイツ語圏で、首都のベルンとチューリッヒの間に位置する湖とカペル橋で有名な風光明媚な街である。
(いくつもある)広場での一撮(ワンショット)・・・カオス(混沌)ぶりが象徴的な写真で私のお気に入り。
ルッツエルンの旧市街の構造は、カーニバルという祭りに最適で、多様なステージを提供する好条件に恵まれている・・・ことを強く感じる。
前方に様々な楽団が交代で演奏しているのは階段を利用したステージだ。
有名なカペル橋を背景にポーズをとっている貴婦人は恐らく観光客・・・マスクを着けるだけで、カーニバルに溶け込んでしまう・・・。
15世紀のシュプロイヤー橋(死の舞踏の絵が掛かっている)の番人のようにじっと座ってアピールするピエロ・ガール
簡単仮装でカーニバルを楽しむおっさん達にはビールは欠かせない!
カーニバルで『子供』の存在はかなり重要だ!・・・混沌(カオス)を微妙に誘導しているのが彼等天使だからだ。
多分、「LGBT」セクシュアルマイノリティ(性的少数者)がヨーロッパで徐々に開放に向かった原点がもしかしたら
カーニバルの『混沌』の寛容さにあるのでは・・・と考えたりしたが、どうだろうか?
障害者たちも、『混沌』の中では主役級に重要な位置を占めている。
映画、『ブレードランナー』や『スターウオーズ』の世界観があり、地元民は仮装衣装を一年を通して準備するそうだが・・・
参加者は、思い思いの格好でぶらぶら歩き回り、不思議な時空を作り出している。
この女性は一切仮装をしていないのだが・・・日常と非日常の境目を溶かす微笑みを浮かべている・・・
仮装には『恐怖系』、『不思議系』、『セクシー系』『マッチョ系』・・・などいろいろあるが
『ユーモア系』はやっぱり人気がある。 ドイツ語圏の男性は『硬い』・・・という偏見を私は持っていたが
ルッツエルンのカーニバルを観ることで、それは払拭された。
親子で思い思いの仮装で参加・・・それが、重要であることを教えられる。
年頃の若者達にとって、カーニバルはファッション追究の点からも大いに意義のある行事といえる。
これを見た時、男の一物、女のオッパイ丸出しで度肝を抜かされたが、これぞ『ザ・オトナ』の仮装! アッパレ!!
『明日にかける橋』という歌があるが、年に一度思いっきり羽目を外す大人たち・・・を観て育つ子供等
多様なモノに寛容性を育むこうしたカーニバルは、とても大切な気がして、カーニバルのないプロテスタントの街にも
他宗教の国にも広がって行ってほしいと思う。
(そういえば、今日17、明日18日とローザンヌの大学(EPFL)でJapan Impact・・・という催し物があるが
これがカーニバルのないローザンヌでのカーニバル代わり的 祭りになってきているような・・・)
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