仮想空間「メタバース」の会議室の一場面。参加者がアバター(分身)となって議論する=メタのホームページから(GAFAなど情報を管理しアクセス履歴や検索システムを支配するものは簡単に富も権威も権力も全て丸ごと手に入れる21世紀デジタル社会の恐怖)
大恐慌前、狂騒の1920年代を代表する「華麗なるギャツビー」には映画も小説も共感できないけれど、忘れがたい場面が一つある。
憧れの女を振り向かせようと、裏社会で大富豪に成り上がった男ギャツビー。豪邸の衣装棚には春秋ごとに英国から届いた高級衣類が並ぶ。男はきらめくような色とりどりのシャツを、女の目の前へ次々に放り投げる。テーブルの上にみるみる積み上がった華麗なシャツの山。そこに顔をうずめて泣きじゃくる女。「何て美しいシャツなの。こんなすてきなシャツ見たことない。それで何だか悲しくなっちゃった」
有料記事 残り1819文字(全文2069文字)
100年前の「華麗なるギャツビー」金ぴかのアメリカと重なる今の新自由主義
(映画)アンタッチャブル(The Untouchables)1987年監督ブライアン・デ・パルマ出演ケビン・コスナー、ロバート・デ・ニーロ、ショーン・コネリー
1920年から30年代の禁酒法は闇酒場を横行させ、犯罪組織は酒の密造とカナダからの密輸により莫大な利益をあげていた。地元の警察や裁判所を買収しているギャングたちが市民への殺人も厭わない状況に、政府はアメリカ第三の大都会であるシカゴへ財務省のエリオット・ネスを派遣する(★注、アメリカの不思議な禁酒法では酒の製造や販売は禁止したが、個人の飲酒や貯蔵は禁止しなかったザル法なのですか不可解。そもそもサウジアラビアなどイスラム圏以外で禁酒法が施行されたのは1920年代のアメリカだけの特殊な話だった) 2021年07月13日 | SARS-CoV-2と情報 「アンタッチャブル」愚劣な禁酒法
無関係に見える両者が一体構造だったとすれば、アメリカ人は全員大喜びする「華麗なるギャツビー」が日本人では誰も理解出来ないのは当然だったのである。(★注、日本は積極的に第一次世界大戦に参戦したが損害が軽微だったことから日本人では「玉音放送」の第二次世界大戦と一体構造だった事実を理解出来ないらしい)
今また新型コロナ対策で各国は史上例の無い巨額の公金を吐き出し、その規模は第二次世界大戦後の復興期を上回る。行き場を求めるカネはあらゆる価格を押し上げ、金融資本主義の自己増殖は留まるところを知らない。(★注、行き場を失ったカネがあらゆる価格を押し上げるとの不気味な予言が恐ろしい)
そこに情報技術(IT)革命が、デジタル資本主義が、データを握る者こそ全てを支配するデータ資本主義が、さらなる経済成長を目指せと国家・企業・個人を脅かす。資本主義は一体いくつの顔に化けるつもりだろう。
コロナと核は科学の効用と限界、政治的未熟を示した。
見聞きした米国資本主義について「将来、新しい預言者たちが現れるのか、思想や理想の力強い復活が起こるのか、それとも一種異常な尊大さで粉飾された機械化化石と化すのか」と不気味に警告している。
12月4日 毎日新聞「時の在りか」伊藤智永
そもそも内容的に資本主義の科学的解明150年前のマルクスの「資本論」の半世紀後。100年前のアメリカ資本主義の宗教的理解マックス・ウェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」とは刊行の順番が狂っている。本来なら科学と宗教の「最終戦争」で科学側が勝つダーウィンの「進化論」やマルクスの「資本論」の半世紀前(200年前)に書くべき内容なのである。
『アメリカのデモクラシー』アレクシ・ド・トクヴィル
フランス革命6年後に生まれた、フランスの名門貴族アレクシ・ド・トクヴィルは元祖ポピュリズム米アメリカ大統領でドル紙幣発券銀行をぶっ壊し高学歴の公務員を全員首にし正しい綴りを間違えた「OK」の生みの親のジェファーソン大統領のアメリカで9カ月間の視察旅行の体験をもとに書いたのが『アメリカのデモクラシー』。代表的な保守知識人である中島岳志東京工大教授が盛んに取り上げるが、肝心の中身を読み間違っている。(★注、漫画狂の麻生太郎が「新聞は見出ししか読まない」と自慢していたが、ひょとすると中島岳志は「本はタイトルしか読まない」のかも知れない)
エリート支配かポピュリズムかの二者択一
元祖民主主義の古代ギリシャの公職は全て選挙ではなく平等にくじ引き。その唯一の例外が軍人(将軍)で能力が無いと敵に負けて国が亡びるから仕方なく能力や経験を優先した。現在社会の公職は全て選挙で高学歴の特権階級が選ばれる仕組みだが、ギリシャ人の知恵を借りて、全部町内会の役員のように持ち回りかくじ引きで選べるようにすれば良いかも知れません。エリート支配が崩れ今よりは社会が平等になるでしょう。
専門家ではなく素人の一般市民がくじ引きで選ばれる陪審制(古代ギリシャの民主主義の残滓)は今もアメリカで少しだけ残っています。(★注、5年前の2016年11月8日にアメリカ大統領にえらばれたドナルド・トランプに対する知的エリートのリベラルメディアの罵詈雑言の嵐や、2020年11月3日米大統領選の世界的に有り得ない郵便投票などの不正選挙の横行は実に興味深い)
民族や宗教や性別、国籍や貧富や障害の有る無しなど全ての差別が無くなった後でも、間違いなく最後に残るのが学歴に代表される「知性」や「知能」などの能力差別である。21世紀の民主主義社会では知的エリートの特権階級支配で民主主義が損なわれるパラドクス。たぶん、すべての差別を撤廃したら余計に学歴など知的能力差が目立ってしまうのである。
人類が初めて経験した、未曾有の世界戦争「第一次世界大戦」の経験から1928年8月27日パリで署名 、1929年7月24日発効した大日本帝国を含む世界63カ国が加盟したパリ不戦条約である。
当時の国際連盟の全加盟国が賛成して、「国際紛争を解決する手段として、締約国相互で戦争の放棄を行い、紛争は平和的手段により解決する」と規定したパリ不戦条約には期限が定められていないので現在でも有効で、日本国憲法9条が無くとも戦争は違法(国際法違反)なのである。(★注、日本の松岡全権は国際連盟を脱退したが「パリ不戦条約」は脱退していない)
極右国粋主義の安倍晋三などは国家の自衛権を縛る憲法9条を廃棄することに血眼になっているが、戦争を違法とした100年前の「パリ不戦条約」は当時の国際連盟加盟国全体の考え方であり、今の日本国憲法9条1項の規定と全く同一。そもそも両者は「同じ」なのです。
歴史上最後の「宣戦布告」の戦争(アメリカ東部時間1941年12月7日開戦のWWⅡ)を行ったフランクリン・ルーズベルト第32代アメリカ大統領
もちろん世界帝国アメリカも100年前からパリ不戦条約加盟国なので「戦争は違法」だった
ここで不思議なのがアメリカ合衆国憲法で連邦軍の国内配備を原則禁止ていて自国防衛は民兵組織(パートタイマーの州兵で司令官は州知事)が受け持ち、このために個人に武装権を認めている。
なんと、日本国憲法(9条)と自衛隊の関係と瓜二つというか、それ以上に摩訶不思議な関係なのがアメリカ憲法と世界最強のアメリカ軍の関係だった。(★注、これはアメリカ憲法で紙幣の発行権は政府にしかないが何故か私的銀行団の連邦準備制度理事会(FRB)が世界紙幣のドル札を発行しているのと良く似ている奇妙奇天烈摩訶不思議な脱法的制度。それならアメリカにこそ立憲主義を標榜する民主党が必要であろう)
アメリカは日本海軍の真珠湾攻撃が開戦理由なので自衛戦争と言えるが、WW2勃発の英米両国のドイツへの宣戦布告(1939年9月3日)はWWⅠで失ったポーランド回廊(西プロイセンのダンツィヒ、現在のポーランド・グダニスク)の回復目的なのですからナチスドイツ側の自衛戦争は無理やり、一応成り立つ。ところが、逆に英米両国には「自衛」は無視筋なので明確にパリ不戦条約に違反していた。
『マックス・ウエーバーの国家の定義に抵触する9条』
国家の武装(9条2項)や国家だけに許されている戦争(9条1項)を否定したのが憲法9条で、『9条がある限り日本国は半人前である』との考えが右翼や保守にはある。
それではこの右翼の考え方は間違いか。?私は十分に根拠がある話であると思っています。
9条の1項については第一次世界大戦後の世界の世論は概ねパリ不戦条約にあるように『戦争は不法である』の考え方でコンセンサスは出来ている。
ところが『戦争は違法』で世界各国が一致していたにも関われず、自衛戦争は(禁止されている)戦争でないとの論理(抜け道)で、第一次世界大戦より比べられないほど大きく悲惨な第二次世界大戦が引き起こされるのです。
この厳しい歴史の教訓(経験)から、国家の武装を禁じた日本国憲法9条2項が出来上がるのです。
そのために、アメリカによって日本の国家としての大事な部分(国軍)が去勢されていると見るのが右翼です。
これなら『右翼』が『9条』に根源的な憎しみを募らせる心理には十分に根拠があり理解出来る。
それでは『国家』とはそもそも『何もの』であるのか。?
『国家とは暴力装置のことである』
マルクスは『国家』とは警察とか軍隊などの暴力装置の事であると喝破するし毛沢東も『鉄砲から政権が生まれる』と言っているし、現実の今の政治の話でも日本を含むすべての国家のトップは同時に例外なく必ず国軍の最高司令官なのです。
オバマアメリカ大統領はアフガン増派に当たって文民の大統領ではなく『最高司令官として』とはっきり発言している。
こう考えていくと左翼も右翼も『同じ考え方』なのです。
長い人類の歴史上、国家の無い軍隊はあったが、軍隊の無い国家は何処にも無かったのです。
憲法『9条』とは人類史上かって存在しなかった、まったく新しい試み(思想であり情念)なのです。
言うなれば、ちっぽけな思想や情念なんかの範疇を遥かに凌駕する思想の中の思想、情念のなかの情念、人類社会の遥かな高みに聳え立つ絶対宗教である。
例えるならば『神』なのです。
元々日本にあった古来からの神々は明治維新の廃仏毀釈で殺され、明治時代に創られた国家神道の神は第二次世界大戦の敗戦後アメリカによって殺され、結果日本は無道徳無節操な国家が出来上がったとするなら、最後に残った『神』とは国家の本性(本体)ともいうべき国家の武装、国家の暴力を否定する『憲法9条』以外には考えられないでしょう。
それなら右翼が企んでいる3度目の『神殺し』を決して許してはいけない。
今の世界はイスラム原理主義やアメリカのキリスト教福音派原理主義などの『情念』が騒動の種を世界に振りまいていますが、これに対して思想や理論だけではパワー不足で勝てません。
これ等の危険な原理主義に対抗するだけの力があるのは宗教としての『九条原理主義』以外には無い。(我ながら論理が強引ですが、何しろ9条は『神』(宗教)ですから当然です)
『個人の武装を主張しない「右翼」は胡散臭い』
一般的な普通の良識的考えである、非武装の9条は弛緩で武装は緊張との説は、我々護憲派の人々では異論は無いかも知れませんが、改憲論者は正反対だと思っているはずですよ。
何しろ全米ライフル協会会長のチャールトン・ヘストンは『枕の下に銃を入れていると、安眠出来る』と語っている。
この考え方は憲法9条があるために、外国(北朝鮮)が攻めて来ると思って心配で心配で眠れない日本の改憲派と共通する感性でしょう。
武装しているれば安心して弛緩できるが、非武装では(誰かが襲って来ると思っているので)不安で不安で緊張しているのです。
アメリカではこの『武装していないと襲ってくる』との考え方は大は国家から小は市民一人一人まで共通の考え方で一貫していて、ある意味立派で筋が通っている。
日本の右翼のように国家の武装を言って個人の武装を言わないのは胡散臭いし主張自体がニセモノで間違いである。
民主主義国家ならば、国家に武装権があるなら、なおさら個人には武装する権利があると考えるべきです。
この考え方はアメリカでは多数派で、本当に第三次世界大戦(ヨハネ黙示録にあるハルマゲドン?)が必ず起こると思っている人々が沢山いて数千もの民間武装組織(ミリシア)が常時軍事訓練に励んでいるし、核シェルターを自家用に用意して食料や武器弾薬を備蓄している人もいる。
世界の常識である公的医療保険でさえ反対する人が大勢いるアメリカは『自助努力』、『自己責任』がモットーの世界なので、『自主防衛』が基本的な考え方であるのですね。
昔訪ねた知人のアラスカ山岳会員の家には壁一面に銃が飾ってあり拳銃やライフル以外にも軍用M16自動小銃まであった。
ところが不思議な事に日本では国家の武装を主張する人はいても個人の武装を主張する人は一人もいませんが、これは主張が一貫していない。物事の根本を理解しておらず基本的に間違いである。
何故なら国家の武装(自主防衛)の基本思想は、他人に頼らず『自らを自らが守る』ことである筈で、それなら国家の武装の必要があるなら、それ以上に個人の武装が必要になる。
それなら皆が家の下を掘ってシェルターを作り水と食料、手斧とかボーガン、猟銃を用意する必要が生まれる。
此処で一番大事な注意点は一瞬の手抜きも駄目で、片時も油断せず24時間常時周りを監視すること。
家の境界を超えて入ってくる不審者は、たとえ親しい隣人でも無断の時は散弾銃で警告のために一発お見舞いするべきなのです。
これでは周りの隣人すべてに嫌われるが、何よりも大事な自分の安全の為です。
この程度の不利益は仕方ないと諦めて、我慢しなければならないのです。2010年12月01日 | 憲法 マックス・ウエーバーと 「九条原理主義」
ドイツ周辺諸国を巻き込んだ「30年戦争」を終結させる「講和条約」としての性格を持っているヴェストファーレン条約後のドイツ地方
「自分だけ正しい」「悪を滅ぼす正義の戦争」最も恐ろしい宗教戦争(聖戦)の反省から生まれたウエストファリア条約(内政不干渉)
100年前のパリ条約(協定)違反だから日中15年戦争ではとうとう最後まで宣戦布告を行っていないのですよ。第二次世界大戦後にアメリカが起こした朝鮮やベトナム、アフガニスタンやイラク、リビアなど全ての戦争では宣戦布告を行っていないのである。この大きな理由が戦争を禁止したパリ不戦条約の存在だった。(★注、アメリカ憲法には「憲法9条」の規定はないが9条とまったく同じ内容のパリ不戦条約締結国。そして国際法は国内法に優先されるので事実上「9条」保有国なのです)
そして、1941年の真珠湾奇襲攻撃でも日本は「自衛戦争だ」国家の自衛権はパリ協定に違反していないとの詭弁で戦争を開始したのですが、それで「自衛戦争だ」との抜け道を塞ぐ目的で書き加えられたのが国連憲章であり、日本国憲法2項の規定なのです。日本が国連加盟国である限り、憲法9条堅持は当然の義務でしょう。
21世紀になってからアメリカやNATOなどの引き起こした数々の強制民主化戦争ですが、あれは自らの正義を掲げた最後の宗教戦争(ドイツ30戦争)の結果生まれた内政不干渉の1648年ウエストファリア条約の明確な違反です。
宗教的価値観の「中世」と科学的思考の「近代」との分岐点(分水嶺)が内政不干渉のウエストファリア条約
自らの「正義」を振りかざして絶えることなく延々と戦争を繰り返す世界帝国アメリカの場合は100年前のパリ不戦条約違反であるばかりか400年前のウエストファリア条約違反なのですから呆れ果てる退行現象。無知の極みである。(★注、日本の義務教育では西欧覇権の出発点となった宗教改革やルネッサンスは熱心に教える。ところが何故か政治的には最も大事なウエストファリア条約については簡単に触れるだけで意味を解説しない不親切)
そもそも歴史的にみて「正義」(哲学・道徳、宗教)を掲げて戦争することほど世の中で恐ろしいことは無いのである。(★注、歴史上フランスで最大の被害を出したのは16世紀末のカトリックとプロテスタントのユグノー戦争であり、17世紀初めの30年戦争ではドイツの人口が数分の1まで激減。ヨーロッパ世界では「中世」に終止符をうつことになる歴史的契機が内政不干渉をうたったウエストファリア条約なのである)2021年11月08日 | 憲法 政権選択では無くて憲法選択?
2021年11月イギリス・グラスゴー国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で本当に寝ていたSleepy Joe(居眠りバイデン)
米奴隷解放記念日の6月19日、連邦祝日に制定 バイデン大統領が法案に署名
6月19日の奴隷解放記念日(ジューンティーンズ Juneteenth)がアメリカの祝日になったことをロイターやニューズウイーク、ウォールストリートジャーナルなど外国メディアは報じるが、日本の主要メディアでは最左翼の共産党機関紙赤旗と、大企業の管理職や中小企業主などアッパーミドル向けの最右翼の日本経済新聞だけが報じているのですから不思議。何故か日経と赤旗以外の他の大手国内メディアは報じない。
これは、ひょっとしたら隠れた大ニュースの可能性があります。少なくともアメリカを知る一助にはなるでしょう。
そもそも奴隷解放記念日がリンカーン大統領の解放宣言の3月1日ではない。その2年半後の南北戦争終了から2か月後に北軍の将軍が敗北した南部連合のテキサスに入って「奴隷を解放した」との不可解な記念日。既に地元テキサス州やニューヨーク州では祝日に指定されていたが今回は連邦の祝日に格上げされて、これでアメリカの祝日数が11になる。それでも日本に比べて祝祭日に日数は随分少ない。
我が国を含め歴史上奴隷制も人種差別も普通にある。ところが、アメリカの奴隷制とか人種差別ですが、これは他の国とは全くの別ものですね。知的エリートの常識ある知識人ほど「アメリカ以外の国と同じだろう」と思うから大きな間違いを犯すのです。
映画 グリーンブックのタイトル画像 題名の基になったガイドブック
アメリカの黒人差別は特別 映画 グリーンブック感想2021-06-11
日本人は欧米では全て黒人が差別されていると思いがちですが、ヨーロッパは白人同士でも民族対立が激しく、人種・宗教・言語の違いで延々と殺し合いをしてきた歴史があるので、特別黒人だけが差別されている訳ではありません。しかも貴族と平民の違いも明確であり、職業などでも差別があります。米国は移民社会であり、原住民以外は基本外来者なので本来差別はないはずですが、唯一移民でないのが「奴隷」として連れてこられたアフリカ系黒人達で、しかも少しでも黒人の血が混ざっていると「黒人」として扱われる特別ルールがあります。テニスの大坂なおみ選手はハイチと日本のハーフで、日本国籍があれば日本人として誰でも認識していますが、米国では本人も「自分は黒人」と認識しているようです。日本人はいろいろな顔つき体つきの人がいるので、インド人、トンガ人、モンゴル人、朝鮮人、はたまた白人?みたいな純粋日本人が沢山いるので、相手がハーフであっても子供時代からあまり違和感を感じないで付き合ってきました。私自身時々中国語で話しかけられる(国際学会ではいつも)ので思いっきり中国系の顔なのだと思っています。
この映画でもイタリア系のトニーは同じイタリア系移民と話す時はイタリア語を使います。これはラティノ系の移民たちがスペイン語で会話するのが普通で、それぞれの出自に応じた文化社会を米国の中で築いているのを私も米国留学時代感じました。では黒人達は?というとスラング的な米国語以外、出自に応じた言語も文化もありません。この映画では金持ちのシャーリーはアフリカの酋長じみた装飾の部屋に住んでいるのですが、彼なりの出自についてのアイデンティティの主張だったのでしょう。(rakitarouの気ままな日常)
150年以上前に終わった「南北戦争」の遺恨が今の終わらない
米民主党やリベラルメディアの牙城、カルフォルニア州在住の映画評論家町山智浩によると、今回のグリーンブックに関連して日本でもお馴染みのフライドチキンは黒人奴隷の料理だと解説していた。白人はホークとナイフで骨なし鶏肉を食べて、その残りが黒人の食糧になったためとの説。
その町山氏がグリーンブックの前に盛んに宣伝していたのが1975年の映画マンディンゴ。
黒人奴隷の値段は高級車1台分の値段なので、プラグマティズムのアメリカでは奴隷牧場が作られていたが、最高品種サラブレッドがマンディンゴ種なのです。筋書きではマンディンゴの女奴隷を所有していた牧場主は運よくマンディンゴの男を買い入れるが血統書を調べると兄妹、それでも反対を押し切って純血種を生ませるとか、あるいは白人牧場主が人間牧場の女奴隷を種付けして自分の子供たち(混血児)を奴隷として売りに出すなど目も当てられないドロドロの展開
メーガン妃やマライヤ・キャリーのような黒くなくても黒人と見做すアメリカの非常識は世界中に何処にも無い奴隷牧場の存在が大きいでしょう。
しかもアメリカの場合には60万人が死んだ内戦の遺恨が今でも続いているらしいのですから恐ろしい。当時の人口比は北部の人口は約 2200万、南部の人口は約900万だが内わけは白人550万,黒人奴隷350万だった。
戦力的に圧倒的に不利だった南軍が初めは勝利していた。北軍が不利だったので開戦から1年後に黒人奴隷の暴動を期待して行ったのがリンカーンの奴隷解放宣言。その2か月後にはホームステッド法で65ヘクタールの公有地(元々インデアンの土地)を無償で与えると、戦争で勝つためにはなりふり構わない。
中南米カトリック地域とは大きく違うプロテスタントのアメリカ奴隷制「マンディンゴ」
公式な歴史教科書では南北戦争は奴隷解放の是非で戦争が始まったと誤解させるような記述になっているが、南北戦争の開戦は1861年4月でリンカーン大統領の奴隷解放宣言の1年近くも前。これは明らかな歴史の偽造。書き換え。いわゆる歴史修正主義の一種です。
4年続いた総力戦の「南北戦争」が基礎的な国力で南部を上回る北軍側の勝利で決着して解放された奴隷が400万人だと記録されている。
ところが19世紀初め(1800年)のアメリカの奴隷は90万人。
何と、半世紀の短い時間で奴隷人口がアメリカでは爆発的に増えていたことになります。アフリカからの奴隷船では到底無理な数字で、これはマンディンゴなどの人間牧場での繁殖が考えられるのですから恐ろしい。女性が15歳なら十分子供が生めるので半世紀(50年)でも4~5倍に増えても不思議はない。
アメリカの奴隷ですが、実は黒人だけではなくて、原住民のインディアンが数十万人から数百万いたと言われているが、実数が不明。もちろん映画なんかには一切描かれない。
実はアメリカの奴隷労働以前のアメリカ大陸には、スペインなどがインカ帝国を滅ぼした後に、ユネスコの世界遺産になった「ポトシ銀山」などでは、インカ時代の賦役制度を利用したミタ制の奴隷労働で原住民のインデオを酷使したので人口が激減。黒人をアフリカから輸入して労働力不足の穴埋めに使う。
ミタ制度は原住民成人男子を対象にした労働力割当制度で、総数の7分の1が数ヶ月交代で駆り出され、有償で労働に従事させられた。
奴隷労働は無償で、鞭で叩いて働かしていたと勘違いしている人は多いが、有償の奴隷の方が真面目に働くのです。ポトシ銀山では休日でも働いたというから、奴隷主にとっては儲けが大きい。
バラク・オバマ大統領「アメリカの人口は世界全体の5%にすぎないにもかかわらず、アメリカ人受刑者は世界全体の受刑者数の25%を占めている」。現在アメリカの収監人口は200万人、仮釈放や出廷待機を含めると700万人で全人口の2%以上。全人口の13%の黒人が囚人の40%を占める。黒人男性の3人に1人が刑務所に収監されると予想されている
https://mybigappleny.com/2020/08/05/crime-bill/
死ぬまでタダ同然で働かせることを合法化。
ところが、人口が日本より少なかった3000万人程度のアメリカの南北戦争では60万人もが死んでいる。
当時のアメリカの関税は40%で、北部の工業化を急いだが、これでは農業中心の南部諸州は欧州に輸出できないので大損害。ちなみに欧州諸国間の関税率は20%とアメリカの半分。
南部の独立宣言ですが、これは南部側の言い分の方が正しくて、北部(共和党のリンカーン)の方が悪どいのです。他の国とは違いアメリカは最初に州(主権を持ったステーツ)があって、その後「合衆国」が出来た歴史があるんで、他の国の分離独立運動とは性格が違っていた。
そして、戦争でなにより大事なのは実は戦うための大義名分なのですよ。この為、最初は南軍側が、数で優る北軍を圧倒する。ただし北軍を降伏させることは無理なので持久戦になり、徐々に弱体化
最後は圧倒的な国力の差で南部が負けるが、今でも南部側には怨念が残っているらしいのですよ。恐ろしい話です。
1960年代の黒人民権運動時代の南部諸州の政治地図では民主党が圧倒的。共和党は泡まつ候補扱いだったのですが、この理由とは南北戦争のリンカーンが共和党だったから。今とは大違いで南部は人種差別に凝り固まる民主党保守派の牙城だったのです。
それが共和党に入れ替わるのは共和党レーガン大統領の新自由主義の勃興。
欧州以外で魔女裁判を行った唯一の国がアメリカなんですが、どうも南北戦争には経済云々以外に、欧州では終わっていた最後の宗教戦争の匂いがするのですよ。
何とも怖い話ですが、アメリカの強制民主化ですが限り無く宗教戦争に近い代物であり明らかに最後の宗教戦争(ドイツ30年戦争)に終止符をうったウエストファリア条約に違反する。
宗教戦争もどきの南北戦争はしたが本格的な宗教戦争が起きなかったアメリカでは、正義を掲げた「宗教戦争」の恐ろしさが理解出来ないので、いまだに少しも懲りずに「正義」を掲げる宗教戦争など恐ろしい戦争をしたがるのです。
「国家と政府は決して誤りを犯さないという神話」は順番が逆なのですよ。
戦争と選挙と競技スポーツでは、必ず「勝ったものが正しい」との超シンプルな原理で動いているのです。アメリカが正しいから勝ったのではなくて、勝ったから正しいのです。勝てば官軍負ければ賊軍は日本人なら誰での知っている。
長い歴史がある、日本では「玉音放送」で一夜で善悪や、その善悪に付随していた正誤が180度ひっくり返る恐ろしい光景を日本人全員が目撃した。欧州でも多くの人々が経験したが、唯一歴史が浅いアメリカ人だけが「一夜で正誤や善悪が引っくり返る」(だから、正義を振りかざして戦争をしてはならない)との本来なら誰でも考慮するべき大人の一般常識を知らないから色々な騒動を起こすのです。
ただし、戦争で勝っても「正しい」とは限らないが、そうしないと殺し合いが延々と続いて国土全体ボロボロになるのはアフガニスタンのタリバンで証明済み。
そのために功利主義という訳語を当てられて、その本質的な解説研究は日本においては鶴見俊輔の他にほとんど見当たらない。
日本においてプラグマティズムのいちばん適切な訳語は可謬主義だろう。
可謬主義を要約すると、「人間は必ず間違いを犯すので、問題発生後のために優れた対処法を予め複数準備しておく必要がある。」
これが実践した場合のプラグマティズムの本質である。
この対極概念こそ官僚が不文律として奉ってきた無謬性の原則である。
国家と政府は決して誤りを犯さないという神話である。
この超人思想は日本政府や官僚だけでなく、過激派、日本共産党に至るまで自らの無謬性を誇り神格化する信仰思想として強い影響を与えてきた。
その範疇にはかつてはソ連共産党、現在では中国共産党に入るだろう。
「優秀」と言われる将軍のカンに頼っていた南軍と、電信網ができて情報がすぐに届き、鉄道網で兵員や物資をすぐに輸送できる北軍。
戦争の途中にこういう情況になったので北軍が勝ったのだ ということでした。
なお、Karl Marx のいた第一インターナショナルは北軍の勝利を祝う祝電を打ったということです。が、受け取ったリンカーン政権は「なんじゃこりゃ?」だったのではないでしょうか? よう知らんけど。