逝きし世の面影

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「北朝鮮非難」安保理議長声明の腰くだけ

2009年04月18日 | 東アジア共同体

国連安全保障理事会は13日午後、北朝鮮のミサイル発射を非難する議長声明案を全会一致で採択した。
麻生首相は「強いメッセージが出せた」と自画自賛していたが、肝心の中身は“もうひとつ”だ。
声明には「北朝鮮による発射を非難する」「北朝鮮がさらなる発射を行わないよう要求する」といった文言が並んだ。強い表現と書くメディアもあるが、発射の主体がミサイルなのか人工衛星なのかについては、触れていない。
また、「違反」にあたる単語も、日本は「violation」という強い表現を求めたが、最終調整でニュアンスが弱い「in contravention of」に変わった。
日本は当初、議長声明ではなく、安保理決議を求めていたが、中国、ロシアが難色。米国が仲介に入り、議長声明に書き換えて、中ロとの妥協に動いたのは周知の通り。
その代わり、強い非難声明を盛り込む段取りだったが、予想通りの中身にとどまっている。
さらに、これで北朝鮮側が軟化すればともかく、北朝鮮は議長声明が採択された場合、6カ国協議拒否も辞さない態度を示している。
北朝鮮外務省報道官は先月26日、「国連安保理が(ミサイル発射後に)議長声明であれ、一言でも非難する文書を打ち出すことは敵対行為になる」と明言していた。
日本はアホみたいにコブシを振り上げるだけでは、厳しい局面が続くことになる。
(日刊ゲンダイ2009年4月14日)

北朝鮮『6カ国協議拒否・核抑制力を強化』

国連安保理が対北朝鮮非難の議長声明を採択したことに対し、北朝鮮は6カ国協議からの離脱や核開発再開を表明。
北朝鮮外務省の4月14日日の声明は、核施設の原状復帰を表明し、今後の「人工衛星打ち上げ」継続を示唆したほか、軽水炉の自主建設の積極検討にも言及。
同省報道官が先月26日の談話で、国連安保理がミサイル発射を一言でも非難した場合は「必要な強い措置がとられるだろう」と予告した通り、具体的な内容を列挙した。

『IAEAと米に退去通告』

北朝鮮・寧辺(ニョンビョン)に滞在している米国の無能力化作業チームと国際原子力機関(IAEA)の監視団に対し、北朝鮮が14日、退去通告を行った。
国連安全保障理事会が議長声明を採択したことを受けて北朝鮮は十四日、六カ国協議から離脱するとの声明を発表しており、間髪置かず具体的行動に出てきた。

『北朝鮮ミサイル:破壊措置命令を発令』 

鴻池氏「弾同士当たるの困難」北朝鮮ミサイル迎撃
鴻池祥肇官房副長官は26日の参院予算委員会で、北朝鮮の長距離弾道ミサイルに対するミサイル防衛(MD)について「ピストルの弾同士が当たるのは、なかなか難しい」と答弁した。
MDを巡っては政府高官が23日、「鉄砲を撃ってきたのを鉄砲で撃っても当たらない。(ミサイルを)撃ってきたら当たるわけがない」と発言しており、鴻池氏も同様の認識を示した形だ。
社民党の福島瑞穂党首が「ピストルの弾でピストルの弾を撃ち落とすことはできないという意見をどう考えるか」と鴻池氏の見解をただした。
「今ここでお答えする立場ではない」とかわしていた鴻池氏だったが、「かつてこの発言をしたことがあるか」とたたみかけられ、最後には「私は難しいとは思っている」と認めた。

『挑発的な破壊命令』MD配備で初

政府は27日午前、国会内で安全保障会議(議長・麻生太郎首相)を開き、北朝鮮が「人工衛星打ち上げ」名目で長距離弾道ミサイル「テポドン2号」を発射した際の対処方針を決定した。
法律上は3項による破壊措置命令の発令時は公表する必要がない。
海上自衛隊は近く、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)搭載のイージス艦「こんごう」「ちょうかい」の2隻を日本海に展開。
航空自衛隊は、浜松基地(静岡県)の地上配備型迎撃ミサイル(PAC3)を、上空を通過する可能性がある陸上自衛隊の秋田県・新屋演習場、岩手県・岩手山中演習場などに移動し、関東地方の高射部隊のPAC3も首都圏に配置される。
河村建夫官房長官は27日「政府は万が一に備え関係機関が警戒態勢をとる。発射された場合は、速やかに情報は提供する」とした。

『北朝鮮ミサイル誤報騒動』

4月4日昼、日本のテレビなどのメディアは一斉に『北朝鮮から飛翔体が発射されたようだ』と報じたが、約5分後に各メディアは『北朝鮮からの発射』報道は誤りだったと報じた。
この誤報の1時間前にも秋田県で誤報があったため、計2度の誤報があったことになる。
日本の中央政府だけでなく、飛翔体が飛んでくると見られていた東北地方も緊急事態となっており、秋田県の16市町村、岩手県の5市町村、新潟県の5市町村は上述の誤報を市民たちに向けて報じていた。
日本の河村建夫内閣官房長官は4日夕方になって誤報について謝罪を行った。
河村官房長官は誤報の原因として、『航空自衛隊のレーダーが何らかの航跡を捉えたが、それは誤探知だった。詳しい原因は確認中だ』と釈明した。

『自作自演のテポドン騒動』

11年前の98年の騒動とも共通する問題ですが、人工衛星搭載の射程が3000キロ以上のテポドンは、たとえ爆弾が搭載されていたとしても日本の脅威では有りません。
日本と北朝鮮の距離は約1000キロ程度で、3000キロでは飛び越してしまう。
日本にとっての本当に脅威と成るのは射程が1千数百キロのノドンで、報道ではこれは移動式で百基以上を北朝鮮は実戦配備しているらしい。
それに、日本の遥か上の大気圏外の宇宙空間(高度一千キロ)には日本の主権は及ばず領空侵犯にはならない。
まあ。何となく頭の上を跳び越すイメージですから『不愉快』では有りますが。
矢張り北朝鮮問題の核心部分は核問題ではないでしょうか。?
今度の日本のマスコミなどの過熱報道や日本政府の異常な対応は海外から見たらどの様に思われるでしょう。
世界一の人口密集地ガザを白リン弾で無差別攻撃したイスラエルさえ(弾道ミサイル開発にもつながる)今年2月のイラン初の人工衛星打ち上げに対しては何もしていないし、積極的には何も発言していない。

『日本政府主張の欺瞞性』

弾道弾(ミサイル)であれ人口衛星(ロケット)であれ、同じ技術を使っているとの日本の麻生政権の主張にも一定の真実はあるが、両者に重要な違いが有る事実は、マスコミは報道しない。
打ち上げるだけの衛星ロケットと違い、ミサイルには目標とする着弾地点が事前に設定されている。
今回も11年目前も着弾地点が設定されていないのでロケットである可能性の方が合理的である。
因みに06年のミサイル試射実験では着弾地点としてロシアの沿海州近海の軍事海域が指定されていた。
技術的な違いでは、大気圏再突入時の空気との摩擦を緩和するミサイル先端のノーズコーンがある。
湾岸戦争時にイスラエルに打ち込まれたイラクのスカッドミサイルのノーズコーンの技術が低かった為に、可也の数の弾道弾が大気圏再突入時に地上に届かず空中分解してしまった。
当初アメリカ軍のパトリオットMDシステムが迎撃して成功したと発表されたが、事実はMD成功ではなくイラクのスカッドの失敗であった様です。
テポドン2号が失敗して2段目かブースターが日本に落下する危険という報道は、悪意有る戦争プロパガンダの一種である。
人工衛星であれば(たとえ弾道弾であっても)日本通過時には大気圏外にあり、現在宇宙空間をたくさん飛んでいる人工衛星などと同じで、危険視する対象ではない。
空から落下して来る物体の危険度なら、毎日沢山飛んでいる通常の航空機からの落下物の方が余程確率が高い。
今回のミサイル騒動で、麻生内閣の支持率や自民党の支持率が大きく改善しているとか。
今度の国際的に見て異常とも思われる過激な対応は海外向けではなく、国内向け(総選挙対策?)ではないでしょうか。?

『ミサイル防衛(MD)は当たらない発言の政府高官とは』

MDシステムですが、報道では、もし万一撃って『かすりもしなかったらどうしよう、恥ずかしい』との意見も政府内部にはあるようです。
政府高官が『ピストルの弾をピストルの弾で打ち落とすようなもの』で成功しないだろうといったとか。
この政府高官とは大臣クラスか内閣官房の誰かでしょうが、誰なのでしょう。
私の推測では、世論誘導や情報操作専門の漆原副官房長官か、時々は実にマトモな事をいう軍事オタクの石破農水大臣のどちらかではないかと思っています。
石破さんは、06年の北朝鮮が日本海に向けてミサイル試射事件で大騒ぎになった時に、ミサイル実験自体は、世界中で各国が年間200回以上行われている通常の行為であるとマスコミに語っていました。
当時の有力自民党政治家の中では一番冷静で、一見するとこわもての軍事オタクの一人だと思っていたが、意外な側面に驚きました。
鴻池官房副長官といえば集団強姦事件で『元気がある』といった人でしたか。?
それとも『親を市中引き回しの上で獄門』といって人でしたか。?両方だったか?。
どちらにしても口の軽い人らしい。
この人『ピストルの弾をピストルで』は過去に発言していたのを今国会で野党(社民党の福島みずほ)に追及され認めている。
ですから今回報道の政府高官とは、過去の鴻池発言ではなく本人がもう一回同じ事を言ったか、それとも誰か他の人が言った可能性がある。
それにしても一兆円近い高い金を出したのにミサイル防衛(MD)はヤッパリ当たらないらしい。

『一人日本だけが』

6カ国協議の参加国の中で、ひとり日本だけが浮いている事実は、報道しないので、『ない』ことになっている。
世界で日本一国だけが、北朝鮮を経済封鎖して、何とか打撃を与えようとしている。
他の国は日本とは逆に食料、衣料品、燃料を送って経済支援し様としている。
これでは日本が現在行っている経済封鎖が成功するはずがない。
今の日本の超好戦的な態度ですが、11年前の98年のテポドンを日本以外の世界の各国が『人工衛星の失敗』だとしたのを、事前予告しなかった北朝鮮の手続きミスを上手く利用して弾道ミサイルと断定して安保理にまで認めさせる。
あの時は日本が北朝鮮に対して上手に点数を稼いだ。
ただやりすぎた。
当時、ミサイルの領空侵犯だと大騒ぎしていた。
本当はミサイルでも(人工衛星が飛ぶ高さの)大気圏外は領空侵犯にはならない。
今度の日本の馬鹿騒ぎは、11年前の二匹目のドジョウを狙っているのでしょう。
日本の態度は11年前と同じで一貫しているが残念ながら、前回と違い日本以外の賛成は見込みが薄い。
今回の騒動は近く(数ヶ月以内に)間違いなく行われる日本の総選挙がらみかもしれません。
それなら『選挙になると必ず北風が吹く』と、言われていた軍事独裁政権時代の韓国の政治情勢に、日本の今の政治情勢が限りなく近くなっている証拠です。
誰も気が付かないうちに、何時の間にか日本から『民主主義』が失われていたと言う、何とも嘆かわしい話である。

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7 コメント

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ゼネコンというか…… (kaetzchen)
2009-04-20 15:36:27
愛知県と岐阜県の三菱重工のためと言い切って良いんじゃないかな.名鉄犬山線で犬山駅へ行き,木曽川を渡って岐阜県へ入ると,かかみがはら (各務原) という所に着きます.ここが三菱重工なんかと自衛隊とがミサイルやらロケットを研究してる工業都市なんですわ.んで,本格的な実験は種子島でひっそりやってたりしてね(笑)
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MDの意味は (ブログ主)
2009-04-20 09:03:59
農婦さん。コメント有り難うございます。

高い金を払って日本に実戦配備されているのに、MDはMUDA(むだ)の頭文字だとかのジョークもあるぐらいに、むだらしい。
何しろ、当たらない。
当たらないので、何とかしようと今でも研究中(技術開発中)だが、この研究は絶対に終わらず半永久的に続くでしょう。
この『MD開発』と言うのは、日本の(ゼネコンのために)絶対に終わらない無駄な公共事業と同じ性格のもので、日米の軍産複合体の為の絶対に終わらない公共事業らしいですよ。
(以前には絶対に終わらない戦争として冷戦が存在していたが、レーガンが勘違いして終わらせてしまったので何でも良いから何かの後釜(MD)が必要になった)
MDは完成する事に意味があるのではなく、完成しないところに意味があるのです。
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MD (農婦)
2009-04-20 00:45:55
私の近所にいるただのオバちゃんの息子がどうもそのMDとやらの開発グループの一員らしいのです。東京の麻布に入たのが最近仙台に移動してきたようです。そのグループのドンは国会議員の息子との事ですが、なかなか詳細は聞きだせませんでした。ただ「今回も、ピストルの弾をピストルで撃つようなもの」とただのオバちゃんが言ったことから見ると、オバちゃんのお話も信憑性があると思います。米国のMDが今のミサイルに合わなくなったから、今必死にMDを開発中だと、だいぶ前から言ってましたが、私には何のことか、解らなかったのです。
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カークさんコメント有り難う御座います (ブログ主)
2009-04-19 10:04:40
2ヶ月前のイラン初の人口衛星打ち上げは成功していますが、このロケットは北朝鮮の技術援助であったと報道されています。
アメリカ国防省の指摘でも北朝鮮のロケット技術は1998年時とは格段に技術の進歩があったらしく、『人工衛星の打ち上げには失敗しているがロケットは成功』であるらしい。
北朝鮮が事前に予告した下部ロケットの落下地点は日本海も太平洋上も粗正確に落ちています。
二段目は北朝鮮予告では2150キロから長さ800キロの地点ですが、アメリカの観測では3000キロ地点に落下と報告されているので、打ち上げ前の予告と一致している。
ところが北朝鮮を除く何処の国も電波をキャッチしていないので、衛星は失敗だった。
アメリカ発表では、北朝鮮は人口衛星と最終ロケットとの分離に失敗した模様です。
多分空中分解してばらばらになり一部は宇宙ゴミ(スペースデブリ)になった。
人工的宇宙ゴミは大きいも物は記録されて警戒されているが小さいものは多すぎて数え切れないらしい。
今宇宙空間は今までに打ち上げた4000回以上の人口衛星のゴミで溢れかえり相等危険な状態らしいが、北朝鮮もそのゴミを大幅に増やして危険度を増す事に貢献?したようです。
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kaetzchenさんコメント有り難う御座います (ブログ主)
2009-04-19 09:32:27
日本の今の自衛隊は、確かに予算面では優遇されているが其の使い道は高価なアメリカ製最新式ハイテク兵器の購入に当てられ、人件費の割り増しは極僅かで、人員の補充にも苦しんでいる。
隊員は、何時も定員割れ状態が常態化していて、仕方なく陸上自衛隊は定員そのものを削減して辻褄を合わせるていたらく。
自衛隊員のなり手が元々少ないのに入っても直ぐに辞めてしまう。
陸自や空自と違い、長期航海で休みが少ない海上自衛隊では特に嫌われて隊員のなりてが少ない上に辞職率も桁外れに大きい。
ハイテク化した兵器の扱いが高度化しているが、それに対して幹部や隊員の教育が付いていかない。
元々兵器のハイテク化の為に仕事量が増えているのに、其処へアメリカからの対日要求(海外派兵要請)に答えなければ成らない。
能力以上の過大な要求に、海自は幹部も末端の隊員も疲労困憊で、何時でもイージス艦と漁船衝突事故が起こる状態に成っている。
『自衛隊幕僚本部としてもホンネ』は多分、社民党じゃないけれど『無理を言うな』『駄目なものは駄目』じゃないでしょうか。?
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失敗して、落下した、人工衛星を (カーク)
2009-04-18 21:30:41
回収されていないのでしょうか?
米軍は回収しているはずなんだけどなあ。
やっぱり、軍事機密なんでありましょうか?
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アメリカ製の原子炉と同様に (kaetzchen)
2009-04-18 21:26:53
今回打ち上げられたロケットも案外,アメリカ製なんじゃないでしょうかねぇ.それでないと,航空自衛隊が真っ先に日本海へ落ちるに決まってる,だなんて声明を出す訳がないです.

# 自衛隊幕僚本部としてもホンネは海外活動をしすぎると,マジで正規の軍隊として見られてしまうからという懸念があるんじゃないでしょうかね.特に韓国や中国を刺激するから.
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