朝鮮戦争６０年とG８と天安沈没

『北朝鮮非難のメッセージを』哨戒艦沈没事件で先走る菅首相
　
【トロント時事】菅直人首相は２５日主要国首脳会議（サミット）議長国・カナダのハーパー首相、ドイツのメルケル首相と相次いで会談。
菅首相はメルケル首相との会談で、韓国哨戒艦沈没事件について、
『北朝鮮の行為は地域の平和と安定に脅威だ。主要８カ国（Ｇ８）が韓国を支持し、北朝鮮を非難するメッセージを出すことが必要だ』と語った。

『年6月25日毎日新聞社説』朝鮮戦争６０年　「北」の根本的転換が必要
　
６０年前の６月２５日朝鮮戦争が始まっり３年余りで休戦したが、正式には今も終戦に至っていない。
この休戦状態の危うさを象徴するのが韓国海軍哨戒艦「天安」の沈没事件だ。
この沈没事件はカナダで２５、２６日に開かれる主要８カ国首脳会議（Ｇ８サミット）の重要議題だ。
韓国を支援する立場の米国と日本は、北朝鮮が暴挙を繰り返さないよう、きちんと責任を問う方向に議論を導かねばならない。
事件は日本にとって対岸の火事ではない。
６０年前の朝鮮戦争は日米安保体制の構築につながり、今も休戦状態でしかない事実は沖縄米軍基地存続の大きな理由になっている。（抜粋）

『韓国海軍哨戒艦「天安」の沈没事件とは何か？』

『北』への制裁を結論付けている毎日社説なのですが、韓国海軍哨戒艦「天安」の『沈没事件』と今だに呼んでいて、決して『撃沈事件』とは呼ばない（呼べない？）事が全ての『真実』を物語っているだろう。
韓国海軍哨戒艦「天安」は確かに３月２６日に沈没事件を引き起こすが、北朝鮮海軍による『撃沈』であるとは韓国政府自身が曖昧にして言い出さない。
韓国の行政府である李明博政権は一見『北朝鮮の犯行と断定』した様にみえるが事実はそうではない。
ましてや韓国民の総意では絶対にない。
国権の最高機関である韓国の国会では、『対北朝鮮非難決議案』の可決どころか真相究明の委員会審議が与野党で大揉めに揉めていて本会議審議の目途さえ不透明である。
G８に合わせて大慌てで国防委員会で民主党議員が反発する中、表決手続きなしに『北韓の天安艦に対する軍事的挑発糾弾および対応措置要求決議案』を与党ハンナラ党国防委員長が強行可決する騒ぎになっている。

『徐々に明らかに成る天安沈没の真相』

イ・ジョンヒ民主労働党議員は、6月22日に平沢2艦隊で天安艦を直接調べたイ・ジョンイン、アルファ潜水技術工事代表に直接取材。イ・ジョンイン代表は、
『天安艦はガスタービン室の底辺が暗礁にあたった後、漂流して切断したのは明らかだ』
『破片や破孔が全く発見されず、爆発の痕跡も見つからなかった』
『できれば軍の言葉を信じたかったが、数十年、座礁した船を引き揚てきた私の経験によれば、天安艦は座礁以外に説明の方法はない』
『軍は床の傷跡が引き揚げの過程でチェーンによりついた傷だというが、私が見るには明らかに固い砂や砂利でこすった跡だった』。
『騒然とさせたガスタービン室の底の上に直接上がったが、非常に大きくへこんだ跡があり、その内側には部分的にあちこちに窪んだ跡がある』
『軍はこれがバブルジェットの衝撃のためだと主張するが、バブルジェットならそれほど均一でない衝撃の痕跡はできない』と指摘した。
李代表は続いて『天安艦はガスタービン室の底が大きな岩にあたった後、すぐぼろぼろの状態になったのだろう』とし、座礁の可能性を再度強調した。

『決定的証拠「魚雷のカタログ」の不思議』やはり製作者は日本人か？

天安艦特別委員会の崔議員は、『北朝鮮の魚雷の証拠として提出されたカタログが北朝鮮だと確証できるものは全くなかった』と明らかにした。
『6月11日、特別委の前に軍に北朝鮮のカタログを要請した。機密なので閲覧だけが可能だとし、書類4枚を持ってきたが、カタログと言えるものは一枚だけだった』
『武器紹介パンフレットの一部を持ってきたのではないと言う。カタログには北朝鮮の合弁会社(Associated Corporation)の名前が英文で記されていて、爆発力などの諸元、魚雷切断面、プロペラなどの写真が入っていた。住所もなく、北朝鮮と確証できるものは全くなかった』
『これを見てなぜ北朝鮮のものだとわかるのかと聞いたところ、この会社が北朝鮮の対外輸出事業をする会社だと証明する英文の保証書を出してきた』とし『書類の下に北朝鮮商工会議所の名と住所と電話番号が書かれている。
3頁目は魚雷の設計図で、部品名は日本語だった。
4頁目はカタログの魚雷断面図の拡大で、黒文字で『電源』などの単語が書いていた』と明らかにした。
『これを一まとまりで入手したのではなく、別々に入手したという』『武器販売のためのパンフレットをたった一頁で作ったのだろうか。
そしてその会社がどこの国の業者なのかを文書内で説明しないカタログがあるか。
無理に見ればそう見ることもできるだろうが、非常識ではないだろうか。
この資料を見て、とても虚しかった。
『1番』も虚しかったが、いくら北朝鮮が作ったといっても、武器販売カタログならもうちょっと大きいと思っていた』と話した。

『外傷による死ではなく溺死』韓国の国科捜、天安艦死亡者

国立科学捜査研究所と国防部科学捜査研究所は4月15日、艦尾、23日煙突、24日ジャイロ室で回収された遺体計40体の検死の結果、『外傷または窒息による死亡の可能性は薄く、状況上溺死と推定される』という総合所見を提出した。
国立科学捜査研究所（国科捜）は、『総合的に外傷または窒息による死亡の可能性は薄く、状況上、溺死と推定される』と結論。
もしバブルジェットのような強い衝撃で死亡したのなら、骨折などの外傷による死亡原因がなければならない。
しかし国立科学捜査研究所と国防部科学捜査研究所の所見書は、死者40人がすべて骨折と裂傷などの外傷や窒息が死亡の原因ではなく『溺死』と明らかにしたことで議論が予想される。

『水柱、閃光、火炎は見なかった』天安艦生存将兵の証言

崔議員が明らかにした国防部が提出した生存将兵58人の主要陳述内容を見ると、『水柱、閃光、火炎は見なかったし、油のにおいがした』と述べている。
特に左右の見張兵と艦橋の当直士官は『閃光』も見なかったと述べた。
左見張りをしていたファン一等兵は、『左側艦尾付近で『ドーン』という声が聞こえ、からだが空中に1m程度浮かんで落ち、当時、閃光、火炎、水柱、煙、浮遊物などは見なかった』、『しかし顔に水滴が飛んだ』
また右舷で見張りをしていたコン下士は『耳が鳴るほどの『ドーン』という声と同時に艦尾右舷に激しい動揺を感じ、船が右舷に傾いて、見張台に股まで水が満ちた』、『火薬、油の臭いはなかった』
艦橋当直士官として勤務していた朴大尉は『ドーンという声と同時に船が右舷に80～90度傾いて、光、閃光、火炎、水柱等の変化などは見なかった』

『６分の１の４名だけの外国人名』

崔議員は天安艦民軍合同調査団の外国人調査団24人のリストを公開したが、このリストで国防部は、トーマス・エクルス米国海軍准将をはじめ4か国の調査チーム長の名前だけを記載されていただけでその他の調査団員氏名の記載は無かった。

『天安問題Ｇ８は玉虫色、続くＧ２０では完全無視』

読売などの韓国軍調査団に同調する日本の主要マスコミは、『主要８か国（Ｇ８）首脳会議（サミット）が２６日、韓国哨戒艦沈没事件で北朝鮮を非難する首脳宣言を発表した』と書いてあるが、現実のＧ８宣言を読んでみると、
『韓国が主導し、外国の専門家が参加した軍民合同調査団は、天安(チョンアン)の沈没は北朝鮮に責任があるとの結論を出した。我々はこの文脈で、天安の沈没につながったこの攻撃を非難する。我々は、北朝鮮が攻撃を行わないこと、また、韓国に対する敵対行為を控えるよう要請する。』
で、全文である。
一見すると北朝鮮関与を認めている様にも読めるが、『韓国調査団』に全ては丸投げしてＧ８による結論ではないので、普通なら行われるであろう『制裁』では無く、『我々は、北朝鮮が攻撃を行わないこと、また、韓国に対する敵対行為を控えるよう要請する。』との無難な、誰も反対できない結論になっている。
Ｇ８でアメリカに次ぐ２番目の経済大国日本の菅首相が率先して、『北朝鮮による韓国哨戒艦沈没は許されない行為だ。Ｇ８としても毅然(きぜん)とした態度で臨むべきだ』と頑張った結果が、玉虫色有耶無耶決着（宣言）であり、Ｇ８に続いて行われた中国も加わるＧ２０では議題にさえならなかった。
アメリカの支持（黙認？）を受けた日本と韓国李明博ハンナラ党政権の目標は完璧に外れていよいよ抜き差しならない局面に直面している。
日本政府が今のままだと天安沈没事件は、中国提案の米中朝韓４カ国調査か、安保理により独自調査か、最悪は北朝鮮が一貫して要求している北朝鮮専門家の調査の受け入れに追い込まれかねない厳しい展開である。
しかし、それでは韓国軍が遭難者遺族や世論を敵に回してまで今まで必死になって全ての一次資料を極秘扱いで隠蔽してきた努力が水の泡になる。
今の方向では、再調査が行われ船体切断面や天安の航跡、通信記録など普通の海難審判なら必ず行われるはずの『証拠の開示』が行われて全ての謎は白日の下に曝されることになるが、それでは韓国の李明博大統領の悪事や日本の鳩山、管首相の無分別が露見してしまう。