ヤブロコフ・ネステレンコ報告によると、ウクライナでは、事故後5年の時点では、循環器系疾患についで、神経系疾患が問題であった模様で1991年、汚染地域での病身者の主疾患においては、循環器系疾患(39%)及び神経系疾患(32.2%)がよくみられたとしている。
疲労にも関連しているものでは先ず甲状腺機能低下と慢性疲労症候群。
疲労には関係しない、記憶力・筆記力の障害は『チェルノブイリ認知症』と呼ばれているらしい。
『世論誘導か情報操作の誤作動?』それとも病的な記憶障害?
福島第一原発事故で放出された放射能の影響で、政府やマスコミは機能不全に陥って仕舞ったのだろうか。
痴呆状態の政府機関や大手マスメディアの公式発表には、呆れ果てるばかりで批判する言葉も無い。
8月17日付け朝日新聞では、恥ずかしげも無く『福島の子ども、半数近くが甲状腺被曝 政府調査で判明』と題する記事を書いているし、同時にテレビなど映像メディアでも大々的に全国放送が行われた。
8月17日記事は以下の通り。
『福島の子ども、半数近くが甲状腺被曝』
東京電力福島第一原子力発電所事故をめぐり、政府の原子力災害対策本部は17日、福島県の子ども約1150人を対象にした甲状腺の内部被曝(ひばく)検査で、45%で被曝が確認されていたことを明らかにした。17日、同県いわき市で開かれた説明会で発表した。すぐに医療措置が必要な値ではないと判断されているが、低い線量の被曝は不明な点も多く、長期的に見守る必要がある。
検査は3月24~30日、いわき市と川俣町、飯舘村で0~15歳の子どもを対象に実施した。原子力安全委員会が当時、精密検査が必要だと決めた基準は甲状腺被曝線量が毎時0.20マイクロシーベルト以上。1150人のうち、条件が整い測定できた1080人は全員、0.10マイクロシーベルト以下だった。(朝日新聞全文)
『特オチ?』
特オチとは、どの報道機関でも報道されているニュースを、ある報道機関だけが報道出来ずに、落としてしまうこと。
日本は記者クラブ制度で各新聞社の記者同士の間で『メモ合わせ』を常時行っていて、新聞社が違っていても同じニュースが並ぶ、極端な横並び(均一)構造なのである。
全員が同じ内容の横並び体質になっているので、一社だけ情報を取れない『特オチ』は、横並びの失敗として忌み嫌われる。
その為に日本人記者は『特ダネ』より『特オチ』を避けることに全力をあげて腐心する。
逆に世界の新聞記者達はオリジナリティが何よりも重視され独自取材による特ダネ以外は評価されない。
『記者クラブ』や『メモ合わせ』など日本独特の奇習で各新聞社が同一記事を作り『特オチ』を最大の禁忌(タブー)視する、世界に例を見ない不思議極まる奇怪で野蛮な慣習が我が日本国には古くから存在する。
これは『和をもっと尊しとする』1400年前の聖徳太子以来の日本が誇る麗しい伝統の副作用(悪弊)であるが、幾ら日本の報道機関で、『オリジナリティが重視されない』とは言え、これは酷すぎる。
この朝日新聞のニュース記事ですが、既に40日以上前に別の新聞社が報道していた同一記事で、内容が単なる劣化コピーである。
『(低級な盗作)コピー最低報道の怪』
『福島第一周辺の子1000人調査 甲状腺微量被ばく45%』と題する2011年7月5日東京新聞の記事では、内部被曝で一番大事な積算値を書いてあるが、一月以上後の8月時点の朝日の記事では子供の甲状腺被曝報道では外部被曝とは違い、内部被曝は積算線量(預託線量)でないと意味がないのに、外部被曝と同じ時間率の数字しかない。
8月17日の43日前の元ネタ記事は以下の通り。
『東京電力福島第一原発の事故で、国の原子力安全委員会は四日、三月下旬に福島県内の第一原発周辺の市町村に住む子供約千人を対象に行った放射線被ばく調査で、45%の子供が甲状腺に被ばくしていたことを明らかにした。安全委の加藤重治審議官は「精密検査の必要はないレベル」と話している。
調査は国と同県が三月二十六~三十日に、甲状腺被ばくの可能性が高いと予想されたいわき市、川俣町、飯舘村で、ゼロ~十五歳までの千八十人を対象に実施。45%の子供に被ばくが確認された。
安全委によると、最高値は毎時〇・一マイクロシーベルト(一歳児の甲状腺被ばく量に換算すると年五〇ミリシーベルト相当)に上ったが、99%は毎時〇・〇四マイクロシーベルト以下。同様の換算で年二〇ミリシーベルトに相当するが、加藤審議官は四日の記者会見で「換算するには(調査の)精度が粗い。精密測定が必要な子供はいなかった」と述べた。
国際放射線防護委員会(ICRP)勧告では、年間一〇〇ミリシーベルトの被ばくで発がんリスクが0・5%高まるとして、同量を緊急時の年間被ばく限度としている。今回の調査でも一〇〇ミリシーベルトを基準とし、一歳児の甲状腺被ばくの年換算でこれに相当する毎時〇・二マイクロシーベルトを超えた場合、精密検査をする予定だった。
国が国際原子力機関(IAEA)に提出した報告書では、千八十人の子供の甲状腺被ばくを調査したことを記しているが、何割の子供が実際に被ばくしていたかは明らかにしていなかった。』(7月5日東京新聞全文)
『小出裕章京大原子炉実験所助教の見解』
8月17日に『福島の子どもの甲状腺の内部被曝』がテレビや朝日新聞で報道された翌日、小出裕章氏は2011年8月18日(木)、MBS(毎日放送)ラジオに出演『厳密に測定すれば恐らく100%検出されるし、積算の数値である内部被曝の実際の預託線量は検査の数倍以上。』との恐るべき現状認識を示した。
(ラジオ放送の小出氏の発言概要)
A,『福島県の子どもを対象にした甲状腺の内部被曝検査で、45%で被曝が確認されたことが明らかになりました。0.01マイクロシーベルトが26%、0.02マイクロシーベルトが11%で、最高は0.10マイクロシーベルト。被曝検査で45%で被曝が確認された数値を小出先生はどうご覧になりますか?』
小出助教、
『報告自体を見ていないので正確にコメント出来ないかもしれませんが、0.1マイクロシーベルトの値はおそらく1時間あたりの甲状腺の被曝線量です。
(内部被曝で一番問題となる積算線量・預託線量は)事故後から積算していって最終的に何ミリシーベルト、何十ミリシーベルトになる。
内部被曝は積算線量(預託線量)の評価はとってもとても難しくてですね。
いつの時点でヨウ素を吸い込んだということに関してかなり、大きな仮定を設けない限りこの評価はできない』
『今回の事故の場合には事故の起きた当初、11日から15日あるいは16日ぐらいに大量のヨウ素が出ているはずで。』
(甲状腺の検査日時は半減期8日の放射性ヨウ素放出から10日から19日も経過した後)
『もうヨウ素はかなり当初に出たものは減っている。どのような過程で最終的に全体の被曝評価をしたかということは、かなり誤差の多い。
というかですね「不確かさ」が多い。
それから「45%」も、ほとんど意味のないことを言っている。
それは要するに、検出できたものがただ「45%だった」ということなんであって、もっと厳密に測定をすれば、おそらく100%の子供たちが被曝をしていたということになるはずです。』
A,『時期の問題も大切(遅すぎる)、検査のあり方も今ひとつクリアーになったという感じではない(不確かでほとんど意味が無い)ということですね』
小出助教、
『そうですね。事故対応が後手後手にまわって結局ヨード剤を使うことも出来なかった。
甲状腺の被曝線量を正確に評価する機会も、かなり失った段階で「ようやくにして測定をした。」そういう(無いより有る方が少しはまし程度の)データーですね。』
A,『ふーん。じゃあ本当に、何かの判断基準としてハッキリと明らかになった検査結果ではないという風に受け止めてもいいですか』
小出助教、
『はい。少なくともそう言えると思います。』
『東京新聞と朝日新聞の報道比較』
この両者には基本的な数値には違いが全く無いが、7月時点では地方紙(東京新聞のみ)と通信社に限定されていたが、8月17日は全国紙(朝日新聞)であり各局のテレビ報道も行われた。
7月の東京新聞では発表主体が内閣府の『原子力安全委員会』であり、43日後の8月朝日新聞では『政府の原子力災害対策本部』となっている。
実施場所や対象はまったく同じだが、人数が前者は1080人に対し後者は1150人と70人増えている。
また検査実施時期も前者は3月26~30日だが、後者は2日間前倒しされ3月24~30日なので、26日からの本格的な甲状腺検査の前に、試験的に小規模な検査(予行演習)が2日間行われた模様で、涙が出そうなほどの何とも官僚的な発想で溜め息がでる。
『原子力災害対策本部』とは何か。官邸の緊急災害対策本部や原子力災害対策本部などが相次いで設立されたが何れも責任者は官直人首相である。
甲状腺検査の目的は外部被曝ではなくて内部被曝であり、前者では不十分ではあるが内部被曝の積算値である、この預託線量の多寡が大事である事実が理解されているのですが、後者では完璧に無視され外部被曝と同等としか判断しない無知無責任な非科学的態度で、政府として無反省にも程がある。
7月の4日の原子力安全委員会の発表は『検査実施』の事実だけはIAEAに報告しているが具体的数値の発表はされず仕舞い。
何の為の検査だったのか不明であり、全国放送も無いなど腹立たしい限り。
8月17日の政府の原子力災害対策本部発表では、甲状腺検査対象者に検査結果が報告されマスコミも全国放送しているので、この点だけはささやかではあるが僅かに進歩の跡がうかがえる。
それにしても5ヶ月も前の3月の検査結果が、今ごろになって発表されるとの不思議過ぎる話の原因とは『何であるか』は矢張り謎のままである。
日本人お得意の、「まぁまぁそんなに、目くじら立てんと、仲良うやりまひょ…」
「まぁ、間違いは誰にでもあること…。」
責任の所在をあやふやにし、誰も責任を取らず、批判もしない。ひと昔前、不良債権問題で、「護送船団方式」と揶揄された大蔵省と銀行業界の馴れ合い構造と全く同じ。横並び…ベラボウな額の公的資金(国民の血税)を投入し、銀行の与信審査能力の無さを誰も追求せず、銀行経営陣の誰ひとりとして、責任を取らず終い。背任罪に誰ひとりとして問われなかった…。北海道拓殖銀行ただ一行のみが、見捨てられ人身御供に…。それでシャンシャンの手打ち…。
原発問題も全く同じ、政・官・業・マスコミの手打ちで終い。
>小出裕章京大原子炉実験所助教の見解…『厳密に測定すれば恐らく100%検出されるし、積算の数値である内部被曝の実際の預託線量は検査の数倍以上。』
氏は以前から、福島原発事故は戦争状態と警鐘を鳴らし続けてみえる。 きっと、4~5年後に、子供の甲状腺癌・白血病・喉頭癌が発症しても、『原発事故と疾病との因果関係が特定できない。』として、一切誰も責任を取らず、追求もしない事が手に取る様にわかる。
わたしは、原発も医療も全くの素人だが、幼児は体躯が未発達で、免疫力が著しく低くく、既往症も様々…放射線の影響が不明なことからして、どの様な事態に陥るか、想像でき、背筋か凍る。まさしく、宗純さんご指摘の通り、チェリノブイリを忘れた、認知症状態だ。否、認知症の振りを、決め込んでいると見た…。まだ原発再稼働という大仕事が残っているから…。しかし、原発安全神話=無謬が原子力村の思想の根底にある為、善後策も何もないのであろう…、あとは野となれ山となれ状態にあると考えて間違いないはずだ…
わたくし来年あたり南米のベネズエラかキューバ辺りに逃げようかと、真剣に考えてます。
文科省が初めて、3月の原発事故から1年後の積算放射線量の推計を発表、『福島県大熊町の調査地点では508.1ミリシーベルトと、国が避難の目安としている年間20ミリシーベルトを大きく上回りました。』しているのですよ。
もちろん、この程度の積算値の推計は3月時点で十分に把握できるのですが、半年近くも先延ばししてやっと発表。
3キロ圏では十数年は帰れないなどと言っているのですが、小出助教によれば『政府が法律を守れば』の前提条件付きですが、『50キロ、数十年から数百年は住民は帰れない』との怒りの見解を出している。
小出さんは今の政府には呆れ返って見放しているようですよ。
原発の過酷事故ですが、発生当初から住民の避難は一時的ではなくて、恒久的な移住(疎開)しか無いとの明確な原子力の恐ろしい事実を政府は認めたくなかった。
だから避難住民を仮設の避難所などに押し込めておいて、『事故が落ち着けば直ぐにでも帰れる』との安易すぎる不真面目な印象を振り撒いていたのです。
事実は安全地域への住民の疎開以外に、政府としては打つ手は無くて、事実チェルノブイリ事故の時は住民だけではなくてペットや家畜まで被災地から避難(疎開)させているのです。
旧ソ連では避難民には避難所生活ではなくて、新しい疎開地を提供している(元の場所には帰れないとの判断)のですから、何とも対象的です。
今回の文科相発表や、この不思議な朝日新聞報道の原因ですが、政府もやっと、原発事故が持つ根本的な異次元の恐ろしさに気が付いたのでしょうか。
今までの日本では例え不都合な事実があったとしても、関係者全員が談合して『無かった事にする』ことで解決して来たのです。
これは、玄海原発に見る『原発は安全性が証明されたので再稼動』との海江田経済産業大臣の言葉や、電力会社、保安院などの言動が証明しています。
日本国は今までこれで解決していた。
だから今後も解決出来ると考えていたのですよ。
村社会特有の日本人の最強の解決手段である、みんなで『無視する』あるいは、みんなで『忘れる』態度をとってきたが、原子力の恐ろしいところは、『忘れたふりをして無視して時間が経過すれば、全ては解決する』との、この日本人の最強の『最終兵器』がまったく無力だったことですね。
放射能汚染では此方が忘れてもあちらが忘れない。
無視しても意味はないし、少しも影響が無い。
無視しても忘れても時間が経っても、原子力の持つ現実の害毒は消えず、今までの諸問題とは大違いで簡単にはなくなら無いのです。
半年近くたってやっと、この事実に気が付き住民の疎開を政府も考えだしたのでしょう。