逝きし世の面影

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香港発のフェイクニュースとデマ

2019年11月21日 | 東アジア共同体

香港中文大学構内の駅で列車に火炎瓶を投げ入れる学生ら  2019年11月13日、AP通信

     Mikio Oishi @mikionz
共産党も原口衆院議員も人権弾圧で抗議するなら、クーデター後の臨時政府による虐殺が広がるボリビアに対して真っ先にすべき。過激派による大規模破壊とテロ行為をやめさせようとする香港政府の正当な行動について中国に抗議するのは筋違い。

     清義明 @masterlow
ブルームバーグの記事を訳してみた。 「反政府側も親政府側も、エコーチェンバーのなかで叫んでいる状態で、高い壁を乗り越えることが出来ていない。大変危険なところまで私たちは来てしまっている」

破壊され放火された地下鉄駅(撮影筆者)
「フェイクニュースとデマがどれだけ香港社会を分断しているか?」Football is the weapon of the future 清義明· 2019/11/20

香港情勢は依然として収まるところを知らない。
逃亡犯条例改正案が撤回されてから、事実上本質的な状況は変わっておらず双方が手詰まり、そのぶんプロテスターと警察の暴力がそれぞれエスカレート。6月から香港を何度も訪れているので、その手詰まり感はひしひしと伝わってくる。暴力的傾向が強まっていくことに本当に心が痛む。双方ともに全く利益がない。
あるとすれば、自滅覚悟でプロテスターが香港の本質、つまり一国二制度はフェイクであるということを身をもって示しているというだけだろう。香港にはこの分断をおさめるための大人はいない。もちろんこれを巻き起こした原因は中国の中央政府にある。
その香港から流れてくる情報について、ウォールストリート記者のブルームバーグの抄訳を参考にしてもらいたい。

フェイクニュースとデマがどれだけ香港社会を分断しているか? 引用元 “How Fake News and Rumors Are Stoking Division in Hong Kong

アレックス・チョウが駐車場から転落死亡、すぐにネットで拡散された
情報によると、催涙弾でプロテスターを追い散らそうとした警察に、22歳の学生チョウが追いかけられ、さらに、おそらくは警察に突き飛ばされたとのこと。さらには警察は救急車がやってくるのを妨害して、助かるはずの命を無駄にした、とネットでは書かれている。
しかし、この情報は根拠がなく墜死の経緯は不明。11月8日のチョウの死は、数百のプロテスターによって警察との衝突拡大を促して、3日後の11日男が一人撃たれることとなった。
香港の反政府抗議運動は23週目を迎えて両サイドからのネットの噂とフェイクニュースとプロパガンダに街は浸食されている。偏向し誇張された情報は、不信と暴力に油を注ぎ、危機を解決することをさらに困難にし、香港は不景気に沈み、アジアナンバーワンの金融都市の存在であることに疑問を投げかけられている。
「誤った情報は市民の意見を分極化します」

フェイクニュースについて詳しい香港大学の鍛治本正人助教授、
「この分裂を和解することが不可能なところまできてしまったのではないかと危惧しています」
(中略)
プロテスターが警察と政府を悪魔化する一方で、親中派はデモの参加者を「暴徒」や「テロリスト」、さらには「ゴキブリ」と呼び、それらが街の安定を乱して、外国のエージェントに売り渡そうとしているとみなしている。
ある話がネットで広がり、物議をかもしている。15歳のチャン・イン・ラムが全裸の水死体となってビクトリア・ハーバーで先月に見つかった。警察は自殺だと発表したが、プロテスターは、この少女が抗議運動に参加したため『中国政府によって殺された』と警察と香港政府に抗議したのである。何人かの抗議者は、彼女の学校に現れ、ガラス扉を割り壁にスプレーでメッセージを書いた。
「もしもっと平和な時なら、警察や政府のエージェントが彼女を殺して証拠を隠滅したなどということは信じなかったと思います」
香港大学一年生のコーは、彼女のための献花台の横で抗議のビラを配って「みな、政府も警察を怖れて、信用しなくなっています。今は私も何を信じていいのかわかりません」(中略)
「誰しも怒っており、取り返しがつかない状態だ」
香港大学の自殺問題研究・防止センターのポール・イップ主事は「反政府側も親政府側も、エコーチェンバーのなかで叫んでいる状態で、高い壁を乗り越えることが出来ていない。大変危険なところまで私たちは来てしまっている」
プロテスターが主張する根拠のない情報は他にもデモ参加者と機動隊が衝突した3か月前に死者が出て、それをメディアや救急隊に隠していたとソーシャルメディアを通じてとどまることなく広がっている
警察は否定したが、民主活動家ジュシア・ウォンは『犠牲者が出た』とツイート。話は増幅され米のナンシー・ペロシ下院議長が繰り返し言及。香港世論調査研究所によれば、市民の半数が、警察に殴られて死亡したものがいると考えているという。この話はバックラッシュし数十もの地下鉄の駅が破壊され、22時までしか地下鉄が運行しなくなった。
世論をめぐる争いは、反政府と親政府の両方のネットでの活動をエスカレート。
ネットが政治運動の範疇を逸脱し、デマを拡散させているのは確かである。デマは、研究者が指摘するように、間違った情報を深く考えずにネットに広めてしまうことから起こることで、故意にウソの情報を流すこととは違うものだ。
例えば先月の日本の天皇の即位の礼の際に、キャリーラムが式典の最中に携帯をいじっていたという画像がネットに投稿されていた。これが無礼なことだというのである。数時間でこの投稿は数千回も拡散され、その中には有名な活動家のアグネス・チョウもいたし、アップルデイリーのようなニュースメディアもその情報を流していた。しかしこの画像は実のところは式典の前に撮られたものだと、香港大学ジャーナリズム・メディア研究センターのアニー・ラブのファクトチェックプロジェクトによって明らかになった。(中略)
ファクトチェックによって、香港人が抗議運動にどのように関連付けて情報を受け取っているかが少しわかっただろう。転落して亡くなった22歳の学生チョウの事件では、たくさんのプロテスターがこれを悪意あるように受け取って信じている。
35歳の銀行員ジョー「(抗議運動が始まった)6月からたくさんの変死者がいる」、「私たちはチョウの死を必ず裁判で明らかにする。』
(引用)
思い出してほしい。
6月の段階では香港の反政府運動はこのように言われていた。
「無抵抗な学生たちに警官隊は一方的に暴力を加えた」 「一部に暴力的なことをするものもいたが、あれは中国共産党が雇った工作員である」
この話は、ネットで香港通といわれているアカウントから発信され、さらには香港や中国情勢に詳しいといわれているライターや研究者、さらには香港の民主活動家の日本語アカウントからも広められた。
6/12に「勇武派」と言われる若者たちが香港の議会である立法会に強行突入しようとする現場に自分はいたが、これはウソである。実際は先にレンガを投擲し、警察に攻撃をして、その阻止線を乗り越えようとしたのは若者たちの方であった。これに対抗するために警察は催涙弾を打ち出したというのが本当のところで、このパターンは今も繰り返されている。

「非暴力はウソ」香港の反政府デモ、私が見た真実を明かそう
ところがネットでは、平和的抗議をしていた若者側が一方的に暴力を振るわれたということになっていたのは本当に驚いた。私は香港政府のふるまいが正しいと言っているわけではない。ただ事実が裏返って伝えられ、それが真実として流通していることに心底驚いたのである。
7/21には、今度はデモの現場で、目の前で中年の運転手が若者に失神するまでリンチされている現場に出くわした。デモ隊がピケをはって道路を封鎖したため、駐車場から出るに出られなくなった運転手とデモ隊が口論となり、怒って運転席から出てきた男性を数十人がかりで袋叩きにしたのである。

 「あれは運転手が殴りかかってきたから返り討ちにあったので、悪いのは運転手」と日本の香港通といわれる反政府運動のシンパのアカウントはTwitterで平然と言った。これより、日本人がカメラでデモ隊を撮影していたらカメラを取り上げられたとか、北京語をしゃべっていたから殴られたとか、さらには北京から来た記者はリンチされたうえで拘束されたりしていた。これも、すべて悪いのはやられたほうであるらしい。
先日にはついにガソリンで火をつけられて重症になった男性やレンガを至近距離からぶつけられて死亡した男性まで出た。これは今までプロテスター側の暴力に内部から批判がなく、ただかばうのみで、無差別な暴力を封じ込める自浄作用がなかったからだ。
何かがおかしい、と思うというのはこれだけではない。「支那」という差別用語が香港のネットでは飛び交っている。先日は在日香港人の集まるソーシャルメディアで「支那」という罵倒擁護を目にした。彼らはそんなことをして、どのように日本のまともな人たちから支援を受けようとしているのだろうか。

私たちは150年アイデンティティを奪われてきた

その実体を疑問をもって批判したところ、今度は私は「プロテスターの悪口を言いふらしている」ということになって、ずいぶんネットでは嫌がらを受けた。虚偽の事実を撒き散らかしている人の「悪口」は批判として確かに言っている。もし私の批判する内容が事実に即してなければ、大いに私のことを批判してほしい。
このような身びいきの暴力肯定は事態をひたすら悪化させている。
以前、吉野家が香港でポストイットで攻撃されている理由というのをツィートして、これが大いに注目されたことがある。

→なぜ香港吉野家は襲撃され、「竹輪無罪」なのか?
7月には吉野家はただポストイットに書かれた罵詈雑言で埋め尽くされていただけだったが、先日に訪れたときには見るも無残に破壊され、火をつけられていた。6月の段階ではプロテスター側が掲げるスローガンに「暴徒はいない」というものが多数あったが、今ではほとんど見かけない。
私にはこの先の香港情勢には不安のほうが大きい。誰か大人は現れないのか。


(おまけ)
安田純平を拘束したのは中国ウイグル系武装勢力だが、その原因と名指しされた西谷文和は長年にわたってアメリカCIAの傭兵アルカイダやISを民主勢力と主張していた。11月1日付け毎日新聞『罪と謎を抱えIS指導者死す』(続・西谷流 地球の歩き方)で『アサドとISは繫がっている。』『米国人のフォーリー記者をアサドが逮捕してISに処刑させた』と荒唐無稽なデマを垂れ流すと同時に、謎のISのバグダディを米軍『わざと泳がしていた』とも書いている。

 

 


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7 コメント

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じゃあどうして非難声明を出さない? (罪には罰を)
2019-11-24 21:43:26
暴徒が中国政府の自作自演だ、という線はありえません。
仮にそうなら、自称民主派が自分で厳重な非難声明を出すはずだから。

「あんな非道を働く輩は絶対に我々の仲間ではない! あんな奴らは我々の敵、香港の敵だ! 皆さんも、おかしな奴がいたらすぐに取り押さえて覆面を引っ剥がして下さい!」と言うはずだから。
それどころか、暴徒の覆面を厳重に擁護して、取り締まりの警察ばかりを極悪非道だと一方的に罵りまくるだけの自称民主派が、どうしてあいつらの敵なの? 覆面禁止は、なりすまし防止にも効果絶大なはずでしょ?

この点だけをもっても、あの黒衣の暴徒集団は、自称民主派のテロ部隊だと断定する他ありません。
これを否定して何が何でも中国共産党「だけ」を悪者だと思い込もうとする輩は、頭がおかしいというしかない。オウム信者でも、ここまで狂ってなかった。オウムの犯罪は秘密裏に行われていて、大半の信者は何も知らされていなかったが、不審点や動かぬ証拠が次々出てきて以降は、素直に論理的に考える分別を持っていたから。

ドイツ国営放送が11月7日に発表した英語インタビュー番組。警察や公共施設や商店や銀行の襲撃、自分たちに同意しない市民への集団暴行などの凶悪犯罪をどうして非難しないのかと何度問われても、言を左右に絶対に非難しないやめさせない、とにかく悪いのは政府だ警察だ、とひたすら言い張る「pro-democracy activist」で「 student union spockesperson」だとかいう女。司会者も視聴者も呆れかえってますよ。コメント欄が恐ろしいことに!
https://www.youtube.com/watch?v=V9nNeO0yWyk
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自作自演の可能性 (KATO)
2019-11-24 17:58:40
暴徒は中国政府の工作員が多く含まれていると思う。

①区議会選挙で親中派に有利になる。
②国際世論を引き離し民主派に打撃を与えられる。

二つの理由からだ。
独裁国家の権力者たちが考えることは左右を問わない。
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Unknown (ローレライ)
2019-11-23 16:29:12
香港の暴徒は黒ずくめでイスラム国の親戚筋をアピールしてアメリカの傭兵そのものの行動して民主より香港焼土化行動中。
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和泉 (敵が吉野家?)
2019-11-23 10:34:53
吉野家に火をつけたのは吉野家が中国共産党の下部組織だからでしょうか?

場合によって暴力肯定さんは吉野家への攻撃を肯定するのでしょうか?「アメリカCIAの扇動に乗って放火する」場合によって暴力肯定でしょうか?

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201908310000/
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毛主席の言葉 (場合によって暴力肯定)
2019-11-22 19:52:01
鉄砲から政権が生まれる

共産主義は愛にあらず、共産主義は敵を叩き潰すためのハンマーなり

政治は血を流さない戦争であり、戦争は血を流す政治である
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歴史を知らないダブスタネトウヨ (和泉)
2019-11-21 23:08:59
通りすがりのネトウヨさんは
国民党が共産党を弾圧した結果が革命だということを知りましょう。

共産党はジョシュア=ウォンのように国外の協力者を隠したりなどしていませんよ。
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ダブルスタンダード (場合によって暴力肯定)
2019-11-21 17:20:04
香港で学生は暴力行使
中国共産党も暴力革命で権力を掌握したじゃん
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