本書に収録されている13編の作品は、昭和10年から20年に至る間に発表された作品で全て戦時中に描かれたものだ。木村久邇典が解説しているように、山本周五郎は戦争中「時局に迎合するような小説は一編も描いたことが無い」と云ったようだが、まさにその通りと感じさせられる作品集だ。