筆者山本周五郎が正14年から昭和4年にかけて暮らした、根戸川の下流にあるうらぶれた裏粕という漁師町を舞台に、町の住人たちの生活ぶりを巧緻な筆に描き出した独特の現代小説。 “沖の百万坪”と呼ばれる風景が気にいり、ぶっくれ船“青べか”をテもなくかわされてそのままこの町に住み着いてしまうのだが、当時の情景が目に浮かぶように繊細に描かれている。今はディズニーランドで賑わっているのが信じられない・・・。