花火見物に東吾と深川へやってきた麻太郎と源太郎は、腹をすかせた幼い姉弟を目にし、たまらず大福餅を買って貰い、すすめる。姉弟はどうも身内から折檻を受けているようで、気にかかって仕方ない。「かわせみ」次世代の子供たちの成長が頼もしく微笑ましい表題作「鬼女の花摘み」。
「江戸の精霊流し」は業者の紹介で「かわせみ」にやって来た女中のおつまは二十五歳、無口だが気がきき、勤めぶりにかげひなたがなかった。盆休みに故郷へ帰ったはずのおつまだったが、浅草界隈で男と一緒のところを目撃されてしまう。流されるように生きていく女の哀感を江戸の風物詩とともに描いている。