昭和39年から41年まで「週間新潮」に1年半に亘って連載されたもので、 山本周五郎の小説の中では「樅の木は残った」に次いで2番目に長い 作品である。ここに描かれているのは徳川政権の一小藩の出来事で ある。けれども現代サラリーマンの世界に通じるものがある。 下積みから努力し、責任ある地位に就き、勇気を持って改革し社業の 発展に人生の全てを賭ける、サラリーマンの切実な叫びが聴こえてくる。 人生の深淵を考えさせられる一冊だ。お奨めです。