からす堂”は、なんでも十六文で占うという観相家。くたびれた黒絽を着流し、博多帯に雪駄履き……と、どうみても尾羽打ち枯らした浪人者だ。ところが、深編み笠をぬぐと定九郎ばりのいい男。色恋も断って千人悲願のために八辻ガ原に立つ。そんなからす堂に、なわのれん「たつみ」のお紺ねえさんが惚れてしまったから、さぁ大変。