昭和27年から28年まで四国新聞に連載された、波乱万丈の剣劇を繰り広げる長編小説だ。時代は松平越中守定信が老中筆頭時代(1787~1793)に設定。舞台は紀州家、徳川御三家の名門がイスパニアの死の商人と組んで、幕府転覆を狙うと云うストーリーは奇想天外だが、理屈抜きで面白い。二人の女性と、二人の兄弟そして一人の悪役、それぞれの人間観が物語に厚みを持たせている。