10/17
前日深夜まで仕事をする羽目になりこの日の全社に関する情報を集めてみる。17日は夜勤入りで、正直いって大垣赤坂スポーツ公園で13:30開始のこの試合に参戦するかどうか迷っていた。
ところがやはり月曜日の試合となるとなかなかサポの人数も揃わないということがわかり意を決して参戦することにした。一時は一人サポも辞さず、と覚悟もしたが顔見知りの何人かは参戦できるらしい。ある程度コールリードもやらねばならないだろう、という状況だ。こういっては何だがセカンドの選手を遠目からみてパッと判別しコールを切れるほどは精通していない。ということで大会本部近くに設置されるスタメン表を早めに入手して仮のフォーメーションを段ボールに書き出してコールに備えることにした。
当日、朝一でこなさないといけない所用を片付けて赤坂スポーツ公園に到着したのは11:30ごろ。会場では第一試合の愛媛FCしまなみとFC KAGOSHIMAの試合が行われている。FC KAGOSHIMAにレンタル移籍中の山内や先日の天皇杯でFC東京のルーカスのPKを止めた17歳のGK船川をじっくり観てみたかったが早々に本部テント近くの書類入れ近くをウロウロしながらフェンス越しにこの試合を眺めることにした。
延長の末、劇的ゴールで愛媛FCしまなみが勝利したあとさっそく準備にとりかかる。準備とはこの場合「試合が始まれば何とかならぁ」と腹をくくることだ。もちろんフォーメーションボードは作った。ちなみに愛媛FCしまなみのサポは決勝点を目の当たりにして勢いあまって観客席とピッチの境界を示す三角コーンとコーン・バーを派手にバラバラにしてしまっていた。まぁ、珍プレーのうちだろう。
対戦相手のSC相模原は昨年神奈川県リーグに在籍しながらJリーグ準会員になり優遇措置で地域決勝にも出場した話題の強豪だ。今年は関東2部に在籍し一時は元FC岐阜の監督を務めた戸塚哲也さんが指揮を執っていた。選手入場からキックオフまでの間のコールやチャントをなんとかリードし僕も試合に入り込む。次第に選手のコールはちーな君、チャントの切り出しは僕という具合に役割分担が出来ていく。まさに急造コールリーダーコンビだ。周りの人たちも声や手拍子を合わせてくれる。セカンドのサポートの中心人物といって差し支えないだろうつるさんの不在はやはり大きい。それだけに周りの人々もただならぬ状況を察知して協力してくれる。「普段はFC鈴鹿を応援しています」と名乗られる方も加勢してくださる。これは心強い。
SC相模原は体格でセカンドをかなり上回り高いフィジカルを生かして攻め込んでくる。競り合いでウチの選手が吹っ飛ばされるのも2度や3度ではない。と、ここまで書くと昨年の藤枝MYFCを連想するがもう少し攻撃がバラエティに富んでいる。という印象だ。
前半の30分近くに左サイドを破られて失点。「うまくいけばスコアレスで前半を終えられるかも」という目論見は外れてしまった。それくらい攻め手を欠く前半だった。とはいえ0-1での折り返しはGOODとはいえないまでもTOO BADでもない。ベンチワークに期待だ。
後半開始時に安西を下げ田端を投入。後半15分に瀬古と栗本を2枚替えで投入。これで運動量が劇的に変化した。すこしずつ押し込めるようになる。分厚い相模原に対してキレで対抗できるようになってきた。というところだろうか?
すると後半30分近くに相手のバックパスをスティールした細野がPA内で倒されPK獲得。これを松江が冷静に決めて1-1の同点に追いついた。僕はといえば戦況を追うのに精一杯ではじめそれがPA内だとは思わなかった。目と鼻の先で起きた出来事にも関わらずだ。
これで情勢は逆転した。ウチの運動量が相手を圧倒する。前半あったかどうかわからないCKやゴールに近いところからのFKを何度もゲットする。交代枠を使い切っているウチとしてはできれば80分で決着をつけたいところだ。相模原の選手も必死に守っている。
アディショナルタイムに突入か?という時間帯になり奪われたボールが自陣右サイドにロングパスで運ばれてしまった。ゴール前で待ち構える相手選手にパスがつながれ失点。ウチの選手がなにやら主審に詰め寄っている。どうやらオフサイドをアピールしているらしい。セカンド側からの観客席からも怒号が飛ぶ。しかしこれで判定が覆ることはない、というのが長年サポをやってきた僕の経験則だ。残り短い時間に全てをかけるしかない。
30秒後。タイムアップの笛が無情にも吹かれてしまった。おさまりのつかないウチの選手は試合後も審判団に食ってかかっている。
相模原の27番、ボランチで攻撃を仕切っていた佐野裕哉は以前V・ファーレン長崎在籍時にFC岐阜のトップと大分での地域決勝の決勝ラウンドで対戦している。双方とも結果いかんでJFLの入れ替え戦に回れるか回れないかという状況のリーグ最終日だ。
このときも倒れた選手を治療するためにボールを出すとか出さないとか「不用意な」アピールの間にウチが攻め上がり決勝点を入れたと聞いている。もっともウチは引き分けでもよい状況だったし、なにぶん試合を観ていないのでなにが真実なのかは踏み込めないしその気もない。
だけどその試合後の長崎の選手のアピールは、今僕の目の前で繰り広げられている光景とそっくりだったんだろうなぁ、と容易に想像することが出来た。「佐野のチーム相手にこの結末じゃぁ仕方がないなぁ。」と何故だか納得してしまった。やんちゃではあるが苦労してサッカーを続けてきた選手だ。と聞いている。
サポ席に選手が挨拶にやってきた。彼らの今シーズンはこの日で終わる。この場につるさんがいないことがなんだか申し訳ない。だけど選手たちを精一杯称えてあげたいということでみんなで「セカンド岐阜!」コールをしてうなだれる彼らを鼓舞し、称えた。
試合後、現実に戻る。夜勤入りに備えて大慌てで撤収する。会場をあとにしてクルマで職場へ出発しようとしたその頃、なんとなくモヤモヤしたものが心の中に湧き上がってきた。サッカーは続いていく。