11月4日(金)
お遍路さんの間で良い環境と噂の40番観自在寺さん通夜堂にて起床。
毛布が六枚もあったので、二枚を下、二枚を上、一枚枕にして寝たら
安心して寝れました。
36番青龍寺から44番大寳寺はお遍路中一の長距離移動です、
山あり谷あり酷道ありでなるべく人気(ひとけ)のある場所で休みたいので、
余裕をもって早朝出発。
途中でエンジンオイルを補充しガソリンを満タンして、
後は走るだけだとひた向きに走り。
41番龍光寺42番佛木寺43番明石寺と回り、
大洲(おず)市で昼ご飯を食べる場所を探すため辺りを散策。
大洲城城下町を歩いていくと、肱川(ひじがわ)に出ました。
川幅が広くて流れも緩く、木の生えた岩と奥には山、
穏やかな雰囲気で良い景色だったので、
其処で昨日の残りのお弁当を食べていると、
何か違和感に気付きました。
その場所は堤防、砂利、川の順で川には橋が架かっている、
(川に橋は普通なのに何かがおかしい、なんだろうな?)
飯を食べながら、じーっとその風景を見ていると、
車が橋を渡って向こう岸に走っていきました。
(は!?砂利の上を走っている!!)
違和感の正体が解りました。
普通、橋って堤防から向こうの堤防に架かっているものなのに
そこは堤防から砂利に橋が架かっていたからです。
どうなっているのかと思って食べ終わった後、見に行ってみると、
砂利に道路が敷かれていて、そこから堤防に上がっていけるようでした。
何故にこんな作りなのか気になりましたが特に説明の看板もなかったので
四国では普通なのかなと思いながら駐車場に戻りました。
其れから、44番大寳寺に昼到着、これで暗くなる前に山エリアは越えれるなと安心して、
悟りを開く場所、45番岩屋寺下駐車場に到着!
あぁ、ありがたいなぁと思いながら所要時間20分と書かれていた階段を上って行って、
あ、ぁ、、ゼハァ、、ありが、ゼハァ、、たいなぁ、、ハァハァ、、。
45番岩屋寺本堂に到着!
本堂にお参りをして境内を歩いていると、90度近い梯子が岩肌に架けられているのを見つけて袂まで行くと、
危ないところですから充分気を付けて参ってください。
と書いてあって、上を見ると岩肌に窪みがあって其処に何か奉ってある様でした。
窪んでいて角度が急なので下からは何も見えない、行くしかあるめぇ。
90度近い木の梯子(4-5m程)を登って窪み到着!
其処には石壇?みたいなものがありました、他には景色が良いぐらい。
達成感を従え梯子を降りてそのまま下りました。
長距離区間も終わりその後も順調に進んで、
今日は51番石手寺さんの通夜堂にて休ませていただく事になりました。
51番石手寺は、境内にいろんなものが乱立していて、
正直迷路みたいでした。
はてさて、納経所の隣で、案内の方が来られるのでお待ちくださいと云われ待っていると、
お坊さんスタイルの人が来たので着いていくと、
ぐねぐねと建物や石像などの置物を避けて進んでいき、
境内の端の寺の裏の木造校舎の様な建物に着きました。
宿泊場所はこちらですと言いながら、
"外した人が直すこと"という張り紙のある立て付けの悪い引き戸を開けて、
中も勿論、廊下も階段も全て木造で一階は教室の大きさぐらいで部屋が区切られていて、
教室内は物置になっている様子。
二階が宿泊場所になりますと、階段を上っている時に、
昔は学校だったのですか?と聞いてみると公会堂だったらしく
実際これから寝てもらうのが公会堂として使っていたスペースに当たります
広いので自由に使ってもらって結構ですよ。
と云うことでした。
階段を上りきって、ここがそうですと案内された場所は確かに広い!
60畳ぐらいあって、入り口近くに毛布の山。
毛布は自由に使って良いですのでと言い残しお坊さんは出ていきました。
(おぉー!すげー!めっちゃ広いやん!どこで寝よう)
などと考えながら公会堂エリアに入っていくと、
ちらほら人気がする。
(んー?良く見ると人がいた気配がするな)
通夜堂は、お遍路さんが皆利用できるのでこれ迄にも、
以前のお遍路さんが残していったものがあったりはしました。
が、
んー?と思いながらとりあえず見てスペースを把握しようと奥までいってみると、
部屋の角に、仕切りに囲われた部分があり、手前からは見えないですが奥まで行くと
その仕切りの向こうが見えて、そこには、
ゴミ屋敷のような惨状が。
一応布団はあるようですがゴミにまみれてどこで寝てるの状態、
さらに辺りもごみが散乱していて、洗濯物が干してあったりしていた。
(あれ?これ?完全に住んでない?)
更に良く見ると、残していったものという感じじゃないスペースが何ヵ所かある。
(どういう状態で、どこが空いているのか判らない、、)
とりあえず隅のほうにリュックを置いて、さっきのお坊さんを探しました。
しかし、すでに建物を出ていて、外も入り組んでいて見当たらない。
そこで納経所に行ってみると、丁度次のお遍路さんの案内をする所だった、
居た!と思いながらすいません聞きたいことが!と
呼び止めて、
「あの何処でも寝て良いと聞いたんですが、ちらほら人が居る感じがあるんですが、
今何人居るんですか?」
「今はこの方とあなたを含めて四人ですね」
「あの、手前の布団の敷いてある所と、奥の洗濯物が干してある所は人が居るってことですか?」
「えぇーとそうです。そこにお二方居ます」
何で苦笑いやねんと思いながら、じゃあそこ以外は空いてるんですねありがとうございます
と言って、お坊さんスタイルの人はお遍路さんを案内して行きました。
その時に、お遍路さんがよろしくお願いしますと笑顔で言ってくれたので、
僕もよろしくお願いしますと返しました。
年齢も近い雰囲気だったので、少し興味がありましたが、
その時、原付をコンビニの駐車場に置いていたので取りに行って、
残りの荷物を持って宿泊場所に行くと、入れ替わりに若いお遍路さんが出てきました。
また軽く挨拶をして、二階に上がり寝場所を決めて荷物をかためて、
松山に来たなら先ずと決めていた道後温泉に行くことにしました。
お坊さんスタイルの人に聞いたところに依ると
徒歩で行ける距離らしいので徒歩で向かいます。
地図で場所を確認すると道沿いで行けるようなので
その道を歩きながら。
(あの二つのスペースの住人が非常に気になる、
初日の事もあるし癖の強い人だったらどうしような。
いかんいかん、会ってない内から固定概念を作るのは駄目だ!)
と不穏を払いながら、道後温泉に到着。
それまで普通の町並みだったのに、いきなりきらびやかなで賑やかな雰囲気に、
不安を忘れて一気にテンションが上がり、
(やばい!漏れ出すのを抑えるのが大変だ!)
と商店街を見て歩きます。
適当に人が多い道筋を通っていくと、その先に道後温泉本館がありました。
流石日本最古の温泉というだけあって、昔造りな木造の外観で、
なんというか凄く良い!日本に生まれてよかったと思えました。
日本建築はやっぱり木造ですよ。
凄いなーと感心しながら、建物正面にある窓口に行ってシステムを確認すると
微妙にややこしい。
先ず、料金が4つに別れていて内容は
浴槽が『霊の湯』『神の湯』の2つがあって
それに休憩所の有無、大衆か個室かで変わってくる。
後は料金に因って、滞在可能時間が変わります。
先ず、霊の湯(一階)に入るのみが400円。
次に、霊の湯と大衆休憩所(二階)が800円。
次に、神の湯に入り大衆休憩所が1200円。
そして、神の湯に入り最上階(三階)の個室が1500円。
滞在可能時間は、1500円が80分で、以外が60分です。
どれでも入浴代を払うことで、天皇が入った浴槽、坊っちゃんの間、建物内の観覧は出来るので、わざわざ高い値段を払わなくてとも良いかもです。
因みに神の湯に入れるプランの人は霊の湯にも入れます。
さて、料金を把握したのは良いですが、如何せん人が多い。
大衆休憩所は人が一杯で発見を中止しているとか言っていて、
ゆっくり入れる気がしなかったので時間を置くことにして
また商店街を見ながら進んでいくと時計台のある広場に出ました、
そこには足湯があってベンチもあるので休憩スペースになっているようで
僕もそこで休んでいると、時計台の周りに人が集まってきたので
何かあるのかな?と時計台に注視していると、
音楽に合わせて時計台が動き始めました。
坊っちゃんの登場人物の人形が音楽と共に動くこと3分程で
それは終わりました。
それから商店街内のローソン側近くのラーメン屋(名前見忘れました、、)
に入って、チャーシューラーメンを注文すると
スープが、あっさりと醤油と選べますがということで、
あっさりを選びました。
チャーシュー頼んどいてあっさりを選ぶという、
しかも確か、そのラーメン自体があっさりラーメンで、
あっさりラーメンのあっさりスープでどんだけあっさりしているんだ、
あっさりのあっさりでスープがあっさりし過ぎてあっさりじゃなくて
でもあっさりで、と
ズラ(桂)が探さないで下さいプラカードを見つけた心境
に軽くなりながらラーメンを待ちました。
そして来た!あっさりラーメンのあっさりスープのあっさりとあっさりであっさ...
早速スープから!
(む?あっさりと言えば魚介ベースが多いけどこれはどちらかというと海藻風味で
つゆに近い感じ、うん飲みやすい)
面は細めんで、チャーシューは赤身で味が濃いめなので
スープとの相性が良くてチャーシュー麺なのに胃がまったく重たくない。
始終食べやすいラーメンでした。
ラーメンを食べているときに店のテレビの予報で明日が雨だと言っていて、
またか、、、という気分でした。
少し経って本館に行ってみると人が減っていたので、
窓口に行って、
1500円大人一枚でと言いました。
券をもらって中に入ると、直ぐに廊下があって、
(人二人が通るのやっとじゃない?)
と思いながら靴箱に靴を入れて中の人に券を渡すと係りの者が来ますのでということで少し待ってこちらにどうぞと案内されました。
人がごった返す廊下を抜けて階段を上がります。
この階段が急で人一人分の幅。
さらに上がり、三階の個室に案内され、こちらに浴衣がございますので着替えて入浴の準備が整いましたらそちらのボタンを押してください。と障子を閉めて去っていきました。
個室の和室は、八畳一間でまぁ普通?ただ部屋ごとに句切られた外廊下があって
そこからの景色は良かったです。
準備を整えボタンを押して、浴場の入り口まで案内してもらって、
そこから男性従業員に交代しました。
こちらが神の湯の入り口で、こちらが天皇が入られたお風呂がある方です、
先に説明をお聞きになられますか?と聞かれたので、じゃあと先に天皇の入ったお風呂を見に行きました。
天皇が入る入り口は別にあるとか、
休んだ和室の隣にボディーガードが待機していた部屋があるとか、
そこから降りていった所に専用の浴槽があるとか、
そういった説明と実際に使った物や浸かった浴槽が見れます。
その後また上がって、神の湯の暖簾を抜けると階段で、
それを下がり、そして脱衣場。
脱衣場は普通、浴槽も一つであまり広くない、
全体的に石製で大理石など高級な石が使われているらしいです。
事前に霊の湯も入れると聞いていたので、
十分程で出て階段を上がり今度は霊の湯に。
従業員さんに尋ねると、こちら下りて先にございますと言われ
また階段を下りて霊の湯に行きました。
霊の湯は大衆浴場らしく脱衣場も広い。
浴場は西の湯、東の湯で2つに別れていたので
先ずは近い東の湯に入りました。
浴場もこちらのが広かったですが、高級な石は使われていないようでした。
それから西の湯を覗いて造りが一緒の様だったので入らずに着替えました。
出口は東の湯と西の湯の真ん中にあって、
そこは最初の廊下だったので人も一杯。
引き戸は磨りガラスなので良いですが、
開けたとき丸見えやないかと思いながら脱衣場を出て、
三階にある坊っちゃんの間を見に行きました。
『坊っちゃんの間』は、夏目漱石が愛用していた部屋で
坊っちゃんの作中にも道後温泉に入りにいく場面があります。
その部屋には、夏目漱石の教師時代の写真や坊っちゃんの挿絵や
正岡子規との由縁などが紹介されていました。
それから自分の部屋に戻ると程なくして、
お茶と坊っちゃん団子という茶菓子が運ばれてきて、
それを食べながら時間内を満喫して道後温泉本館を出ました。
道後温泉の感想は、
あの武骨さが良い!です。
人の量に見会わない廊下や階段の幅や、
上り下りを繰り返して浴場に行く所、
そういう効率的じゃない所が昔情緒があって好きです。
特に僕は、入り組んでいるところは大好物なので。
内装が良く判らない人は、『千と千尋』を思い出してもらうと良いと思います、
道後温泉を元にしたらしいので。
兎に角、木造で外も中も見がいがあるし、
構造的な面白さもあって、また来たいと思いました。
今度は大衆休憩所で充分です、一人で個室は物悲しいので。
そして宿泊場所の建物の前まで来ると、中が暗い。
二階に上がっていくともう一人お遍路さんが増えていました、
そして暗い。
布団の敷いてある所に居た人のスタンドライトの光だけが灯っています。
軽く挨拶をして自分の寝床に行き、奥を確認しても暗くて人が居るのか確認できない。
寝袋を出して寝る準備をしていると、電話がかかってきたので、
外に行って電話をしていて、その間に二人お遍路さんが来て。
電話が終わって二階に上がっていくともう真っ暗でした。
(もう消灯!?)
近くに居た人にもう消灯ですか?と聞くとそうみたいだねーと言うことで
殆ど喋る機会はなく早々に寝ました。
(やっぱり初日の二人が特殊だったのかな?まぁ良いや寝よう)
どれだけ経ったのか分かりませんが感覚的には消灯してすぐ、
物音が聞こえたと思ったら、野球中継が聞こえ始め、
そんなに大きい音ではないですが、静まっている中だったので、
歓声とか実況が聞こえる。
寝やんのかいと思いながら意識は落ちていきました。