わが家の畑(マッチョ大家さんの畑だが)の隣の田んぼは今、無残な状況となっている。稲穂がすべて倒れ、地面にぺったりとくっついてしまってちょうど1カ月ぐらいたつか。
この田んぼを世話している恰幅のいいご近所さんによると、夏から秋にかけて繰り返し降った大雨の影響なのだという。確かに、初めの大雨時はごく一部が倒れているだけだったが、避難勧告が出るほどの雨が続くうち、いつの間にか見事に全部倒れてしまっていた。春から育ててきた稲が、最後の最後でこんな仕打ちに遭うなんて、自分ならペコンとへこみそうだ。
「ノーサイに被害の調査に入ってもらうけえね」。9月下旬、田んぼを世話する一員の別のご近所さんが、いつも通りひょうひょうとした顔で言っていた。ノーサイ(農業共済)に現地調査してもらい、被害が認定されれば、共済金で補償してもらえるのだという。
数日後、ノーサイの調査員らしき見慣れない男2人(ここでは隊員の方が「見慣れない男」だが!)が器具を抱え、稲ぺったりの田んぼに入っていそいそと何か調べていた。翌日、田んぼの脇に「12月中旬に損害評価を最終決定します」と書かれた立て札があった。
いまだに稲ぺったり状態が続く田んぼを日々、痛々しい思いで見やる。そのうち隊員は、密かに企み始めた。
ここ借りちゃう? ここで米作りたいな。
計画中の「こども農園」の一環であるのに加え、そもそも隊員自身がアラフォー隊員となって「働き方と暮らし方の転換」を目指そうとした動機のひとつに、「原発事故や世界飢饉が起きてもうろたえんよう、家族が生き延びる食いもんぐらいは自分で作るぞ!」と逆ギレぎみの計画があった。家のすぐそばの田んぼなら、文句なし!
実は、この田んぼはわがマッチョ大家さんの土地。大家さんの両親が亡くなり、田んぼを世話する人がいなくなったため。地域のグループに貸して米を作ってもらっているのだ。その地域グループも高齢化が進み、たくさんの田を請け負うのは大変らしい。これは狙い目。
田んぼ、やらねばならんのです。