福富ストラット

「記者ときどき農夫」。広島の山里で子ども向け体験農園づくりにいそしむ、アラフォー新聞記者のブログ。

初めての道具にコーフン

2019-10-13 22:19:29 | 日記
 台風の吹き返しの風が残る午後。近くの神社の小さな秋祭りを抜けだし、あすのイベントの準備のため会場へ向かう。長らく使っていない焼き芋機とピザ窯に、「お試し」で火入れをするのだ。
まずは、別の神社から運び出した廃材を適当な長さにカットする。よし! ん? でも、どうやって?
 「あ、これ使こーて、やっといて」。一緒に準備してくれる地元の役員さんが、丸型の電動ノコギリを指さしてさらりと言う。うーん、使ったことないけど…。
でも、さっき役員さんがやってたのを見たら、そんな難しい仕組みでもないようだ。「はーい」。あっさり引き受け、電ノコを抱えてピザ窯のそばの廃材の山へ。要は、けがをしなけりゃいい。見よう見まねでやってみる。
 「スパンッ」とは切れてくれない。当たり前だ。切るときの廃材の置き方、力の入れ方、刃を入れる場所、角度をちょっとずつ変えながら試していると、徐々にコツが分かってくる(つもりになっているだけ)。道具が使えるとなんだかとても楽しくて、ひとり悦に入る。
 山里暮らし2カ月。しばしば、使ったことのない道具を扱う機会を得た。インパクト、草刈り機、チェーンソー、ユンボ、電ノコ…。「はじめてのお使い」ならぬ「はじめての道具使い」。どれも、持ち主さんはちらっと口で説明してくれるが、あとは「じゃ、やっといて」が基本だ。「え!? これ、俺が使っていいんですか。壊すよ」と内心いつもビビる。
「使うてみんにゃ、分からんじゃろ」とあっさり任せてくれる持ち主さんたち。ごもっともです。「臆病なぐらいが、ケガせんけえちょうどええんよね」
 隊員はどの道具も当然、使いこなせない。けど、「使えないことはない」ぐらいにはなった(つもりになっているだけ)。勘違いでも、自分の自由度が広がった気がしてコーフンする。次はどんな道具に手を出そうか。

秋祭り最盛期

2019-10-13 07:04:59 | 日記
 祭りの秋。酒どころ東広島市西条で、酒まつりが開幕した。台風の影響も大きくなかったようで、有名アーティストのステージなどが予定通り行われた。2日間で約20万人を集める巨大イベントの華やかな幕開けの一方、隊員が住む福富町のわが地区では、小さなお祭りの準備がひっそりと進んでいた。
 わが家のそばの小さな丘にある神社の秋祭り。丘の一部は、毛利家家臣の居城跡なのだという。数日前、家のそばに電柱並みの立派なのぼり旗が2本立った。
 強風で支柱がキーキーとしなる音を聞きながら眠った翌日。畑仕事中のお隣さんと話していると、あれ? 旗がなくなっていることに気付いた。「風で旗が破れちゃったみたいよ!」。お隣さんが張りのある声で言う。見れば地面に竹竿が2本、倒してある。救急車の到着を待つ負傷者2人のよう。
 祭り前日の土曜夜は、役員さんだけを集めて神事が行われるらしい。すっかり日の沈んだ午後7時。漏れ聞こえてきた厳かな太鼓の音につられ、薄汚れたフリースを着込んでふらふらと神社へ向かった。
 風はビュンビュンと吹き荒れている。素早く流れる雲の間から、満月が顔を覗かせて夜道を照らす。周りは田んぼと畑。こんもりとした林の中の参道が、黄色い電球の光に浮かび上がる。千と千尋か、もののけ姫か。トトロの森か。とにかく、神様か不思議な生き物か、いそうだな。
 神社への階段を登ると、きちっとした格好をした役員さんたちが正座し、宮司の下で静かに神事を進めていた。浮浪者みたいな格好の隊員。鳥居のそばから遠慮がちに神事をながめ、家路に就いた。
 祭り本番はきょう日曜日。神楽奉納や子どもみこしがあるそうだ。