「こども農園」づくりに向けた田んぼ作戦が決行された。舞台は、わが家のすぐそばの田んぼ。大雨と台風で倒れた稲をボランティアのみんなと刈り、天日で乾かす「はぜ干し」にした。
妄想1カ月、構想3日。農家さんのOKをもらってから流れと勢いでの急きょの実施だったが、「即位の礼」もどこ吹く風。地元の農家さんや職人さん、大家さん、大学生、隊員の友人、友人の友人…たち20人以上が東広島市内外から集まってくれた。
農家さんの指導の下、大人はひたすら鎌キリ男、鎌キリ女に。大きな子どもたちも作業の実戦部隊に加わり、小さな子どもたちは周りできゃっきゃっと駆け回る。幼い子はギャンギャン泣く。
「子どもさんがおるだけで元気になるねえ」と農家じいちゃんがにっこり。しなやかに鎌を振るう女性たちの姿も、シカとイノシシとお年寄りだらけの過疎の田んぼに華やかさを与えてくれる。「農家のじいちゃん&アラフォーおっさん隊員だけで刈ってたら、精神的にめいるな」としみじみ思う。
第一ラウンドの稲刈りは、1時間半で完了。農家さんのレース予想を大きく上回るペースで進んだ。
秋空の下でランチタイム。農家の奥さんが作ってくれた、取れたて野菜たっぷりの豚汁と新米おにぎりを味わった。地元の豆腐職人さんから揚げ出し豆腐、田んぼのお隣さんから手焼きのナッツ菓子、ボランティア参加者の方から柿ジャムのパウンドケーキ、隊員の家族から卵焼きとウインナー。たくさんの差し入れも届いた。初対面の人同士、話に花を咲かせてあっという間に1時間が過ぎる。
ふう。腹がいっぱいになると、すっかり一日終わった気分になる。「急がんでもええでしょう、ふうっ」。缶ビール片手に農家さんの一人がトロンとした目で言う。やばい。完全にくつろぎモードに入っている。「いや、もうやりましょう! 明日に持ち越すわけにいきませんっ」。ミヒャエル・エンデ「モモ」の「灰色の男」並に時間を奪われた思考が染みつく隊員は、無粋に宴を畳む。
第二ラウンドは「はぜ干し」だ。農家さんの見よう見まねで、刈り取った稲の束を藁でキュキュッとしばる。腐っていた一部はより分けて、「火葬の礼」に伏す。みんなすごい手際の良さ。はぜ干し台も次々に増設され、1時間余りで見事に完了した。今朝方まで無念そうにぺったりと討ち死にしてた稲たちは、ずらりと並んで秋の日差しを受けて息を吹き返していた(ように見えた)。
野良仕事ド素人の隊員の懲りない発作的呼び掛けに応じていただいたみなさん、この場も借りて、ありがとうございました! 妄想中の「こども農園」活動の一環での米作りに、ここから何とかつなげていきたいと思います。
ついでに宣伝。稲が乾いたら脱穀もありますぅ。