福富ストラット

「記者ときどき農夫」。広島の山里で子ども向け体験農園づくりにいそしむ、アラフォー新聞記者のブログ。

しっぽ

2019-10-26 23:14:27 | 日記
 上の息子の学校行事のため、広島で1日余りを過ごした。日曜の仕事に備えて夜、福富町へと戻る。出発ギリギリまで下の子とサッカー対決し、アクセルを踏む脚は棒のよう。
 早朝、あるいは夜中の福富―広島間のドライブは、もう何度目だろうか。一般道を走る1時間ほどの道中は、隊員の新たな「好みの時間」になった。CDに合わせてシャウトしたり、ラジオのおしゃべりにツッコミを入れたり、鼻くそほじりながら考えを巡らせたり。
 今夜は大好きなスピッツの新譜をオン。広島の家を出てすぐ、国道2号線の渋滞にはまる。

 無数の営みのライトが瞬き もどかしい加速を知る
 速く速く 流線型のあいつより速く
 すすけてる森の向こうまで
 (スピッツ「快速」)

 マイカーは毎日、明るく機械的な声で前の日の燃費を教えてくれる。アラフォー隊員として福富町に赴いて以来、マイカーはすこぶる気持ちよさそう。杓子定規な信号機も、運命を他人に委ねるしかない渋滞もなし。エンジン能力全開で走り続けられるからか、「リッター12・4キロです」と、広島市内で乗るときの倍ほどのエコドライブぶりを発揮してくれる。
 隊員は、来年度の活動、休眠記者としての身分、人間としての暮らし…などについていったん方向性を決めなければならないタイミング。そのため最近、話したい人、できれば話したくない人と、なんだかんだ話す機会が多い。

 ほらね曲がった僕のしっぽが本音語るんだ
 旅することでやっとこさ自分になれる
 うち捨てられた船に つぎはぎした帆を立てて
 今 岸を離れていくよ
 (スピッツ「まがった僕のしっぽ」)

 広島市内を抜けると、渋滞の車は少しずつ減っていく。バイパスの分岐点をひとつ、またひとつ過ぎるにつれて、さらに車は少なくなる。渋滞でエンジンを持て余し、無駄なガソリンを消費していたマイカーも、少しずつ気分いい走りにシフトする。
 幹線道路を外れる最後の分かれ道を越えると、あとは後続車もほぼいない暗闇の世界。さっきまでの渋滞の車列では、「ちっ。邪魔だな、この車」といらついていたが、暗い山道でひょっこりと対向車が現れると、「どもっ! こんな寂しい道をご苦労様です。お気を付けて!」と、勝手に「旅は道連れ」モードの気分になる。
 CDを替えながら鼻くそほじって考えてるうちに、ドライブも終わりが近づく。

 僕らは何も あきらめなくていいんだ
 やりたいことは全部できるんだ
 どちらかを選ぶとか何かを犠牲にするとか
 そんなの本当に間違ってるんだ
 すべてを少しずつ全部やるんだ
 そうさ何一つ欠けちゃダメなんだ
 Hey baby Blue 夜が明けるよ
 (YO-KING「バランス」)

 ふむ、バランス。