食事はそこまでおいしくはない。紅しょうがは干からびていたし(乾燥のせいか)。とはいえ、弁当屋さんの弁当よりはずっと良い。料理が脂っこいのでパンはバターを使わずに食べる。未開封のバターを、みみっちく鞄に入れる。そしてこれが、後の間違いの元になる。
いろんなお酒のメニューをみると、卑しい気持ちがむくむく湧いてくる。あれもこれも試してみたーい!けども、ウィーンでもあれこれ飲んでみたいし、飲み過ぎて体調悪くなるのも嫌だしな。迷った挙句、白ワインにした。結局飲んでる。ドイツビールもある。これは次の食事の時に試してみよう。
時々うたた寝しながら数時間後、機内食のメニューを見ようとメニュー表を出した時、油まみれのポケットに気付く。「?!」一緒に入れていた風呂敷も油まみれ。バターだ!封がしてあったのに開いていて、ベトベト。ポケット内側もベトベト慌ててウェットティッシュで拭くが、すっきりしない。チャック式のビニール袋にバターを入れつつ、鞄を何度も拭く。あー。
でも2回目の機内食のバターも、懲りずにチャック袋に入れて持ち帰る。手荷物検査のことを考えると、そんなことしない方がいいと後で気付く。
長いようで短いフライトを終え、中継地のフランクフルトへ到着。いよいよ日本語の通じない地へ。パスポート審査では、私の列の前に日本人団体旅行客が並んでいる。添乗員が
「特に聞かれることはないと思います。もし滞在期間を聞かれたら『A week』、目的を聞かれたら『Holiday』と答えてくださいねー」と。
Holiday??と不思議に思いながら、私は何も聞かれることなく通過。次は手荷物検査。アナウンスは何も聞き取れないけれど、前の人の真似をして金属類をすべて外す。男性はベルトも外していた。ズボン、落ちないのかな?直前に「パフュームorクリーム?」と聞かれ「Nothing」と答える。…実は化粧品が入っているのに、すっかり忘れていた。当然荷物はひっかかって止められる。さらに私もひっかかる。
「マダ~ム」
と脇に呼ばれ、ボディチェック。今、書いていて気付いたが、首からぶら下げていたスーツケースの鍵が原因だったかもしれない。体中パタパタ触られたが、特に何もなく解放される。ホッ。
しかし止められた荷物は解放されなかった。スーツケースを開けるよう言われる。スーツケースの鍵は首からぶら下げて、服の下なんですけど…。恥ずかしいが、係員の前で鍵を取り出して開ける。きれいに詰めた荷物が適当に引っ張り出されるのを、悲しく見守るばかり。これだと言われんばかりに、化粧水を示される。「〇〇〇」何やら言われるが、よく分からず聞き返すと、もう行ってもいいとジェスチャーで示される。この散らかった荷物を無理やり詰め込んで鍵をかけ、慌ててその場を離れる。