スーツケースを引きずり、搭乗。席を探す。席はすぐに見つかるが、荷物を詰める収納スペースが既に満杯。困ったと思うより早く、近くの乗客が立ち上がって自分のリュックを下ろし、ほかの荷物を横に押し込んで、スペースを空けてくれる。さらに私の荷物を持ち上げて、棚に入れてくれる。その素早いジェントルマンな行為に感動する。あぁ、ヨーロッパに来たなあ。『親切にされるマダム』を堪能する。お礼を言って(いいとこのマダム風に)背筋を伸ばして席に着く。旅行中、いいとこのマダムごっこをしようと心に決める。(フリだけでも)背中を伸ばして、優雅に。
今回のフライトは一時間ちょっと。早速飲み物とスイーツのサービス。ここで、ヨーロッパの洗礼を受ける。ケーキが甘すぎる…これを食べきるのはちょっと辛いかも。でも、ウィーンに着くのは夜なので、夕飯は食べられないかもしれないと思い、頑張って食べる。
はるか下を見下ろすと、しばらく緑の風景が続いて、その後街へ入る。上から見ると、ロの字型の建物の中央部分は住民共有の憩いのスペースになっている様子。木々が植えてあったり、ベンチが備え付けられていていい感じ。実際、私の泊まったアパートメントもそんな造りになっていて、鍵付きのゲートをくぐって内側に入る様式だった。なるほど、不審者が入ってくることもなく、子供を遊ばせたり、老人がのんびり過ごすには都合がいい。そんな街から少し離れたところに着陸する。感嘆のため息が漏れる。
EU圏内では、初めに入国した地で審査がされれば、それでおしまい。私は既にフランクフルトで入国審査をしているので、ここでは特に何もなかった。
あぁ、ウィーンに着いた。本当に着いた!