薩摩芋郎 STORY

100の議論より100円の寄付。
人生は100の苦しみ1回の喜び。
SHOCHU IS MY LIFE

タニーヤン・ネパール放浪ダイアリーズ15<チベッタンBAR>

2005-10-06 | Weblog
「それにしても散々な一日じゃった・・トホホ」
停電のホテルのひんやりシャワーで疲れ果てた躯を玉袋の裏まで丁寧に洗った後、
ぬるいビアを一気に呑みほしベッドに倒れ込む。
「腹減った。酒呑みてー。」
とネパールでもちっとも改善の兆しのない僕の焼酎漬け20年物の煩悩ちゃんに
ブツブツ語りかける。
「そーいや、まともにネパールの呑み屋いってねーな」
と思い立ちホテルを出て喧噪のメインストリートを避け裏路地をトボトボテクテク
散策してみた。観光ガイドブックに載ってるような店には行かない主義の僕は、
地元の人しか知らないようなBAR,呑み屋の類いを探し求めてウロウロするが
なかなか見当たらない。
諦めて別の路地からホテルの方向に帰ろうとした時、何気にろうそくの薄明かりが
灯る怪しい佇まいの店の前に足を止め中を浮気調査の探偵のようにそーっと覗くと
「おっ!渋いね、観光客が来そうにねーな」
と目星をつけちょっぴりドクドクじゃないドキドキしながらその店に入った。
奥のカウンターでめんこいガキが飯を一心不乱に喰いながらチラリと俺を睨む。
一瞬ザワザワしていた店内が静まりかえり一斉に7~8人の客が俺を見る。
しかし、すぐに元の状態に戻りザワワザワワ~。
10坪程の店内にキャンドルが10個位灯るのみの妖しげだが相当怪しい店だ。
ネパール、インド系のBGM、お香の匂いが悩ましい。
ビアを店員の女性にオーダーする。あのガキの母親っぽい。
ラマ僧が3人入店し酒を呑み巷談し始めた。いーとかいな・・30分程経って
2人のチベッタン系女性が入店して僕の目の前のテーブルに座り僕をジロジロ見る。
黙々と持参の小説を詠みながらT MOMOっていうネパル料理(?)を喰ってると、
澄んだ瞳と美しい髪が印象的な女の方がいきなり話しかけてきた。
「Are you Japanese?」
「Yes」
するともう一人の女に目配せして二人は僕のすぐ目の前の席に座り
「いっしょに呑んでいいですか?」と輝く瞳で聞いてきたんで
「よろこんで、よかったらビアでもご馳走しますよ」と僕も瞳を輝かせて応える。
最初は売春婦?かとも思ったが素朴だが清潔感のある衣装を身につけ上手に英語を
話すんで徐々に打ち解けあって酒もすすみ冗談を言い合うようになった。
なんと一人は小学校の英語の先生(どおりで)もう一人はおみやげショップに
勤めている店員さんだそうだ。
英語の先生が僕のアテと酒の嗜好リクエストを通訳し店の女将にオーダーしてくれる。
僕はチベッタン難民学校のこと,ポカラのこと,トレッキングのこと,タクシーのこと
など取り留めも無くしゃべる。タクシーの一件について彼女達は気の毒がって
「明日お店に来て,安くしますから」とちゃっかり営業?いや親切に慰めてくれた。
それから中国のチベット侵攻に対する怒り、ダライ・ラマの教えなど語り始めた。
英語の先生は香港に、一人はダライラマのいるダラムサラに行きたいと熱く語る姿が
印象的で目に焼き付いた。お互いいい気分に酔っぱらい始めたんで
「ホテルで写真でも撮ろう!Oh!呑みなおそーぜ!ベイビー!!」
と勘定を済ませホテルの僕の部屋に案内し口直しのビア呑みながら写真を撮って、
しばし雑談、明日の約束を確認した後(もちろん何もなく)彼女達は帰っていった。

つづく
*歴史を感じさせる神聖なテンプル