ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

ザ・ローリング・ストーンズ/シャイン・ア・ライト

2009年07月06日 | ネタバレなし批評篇
2006年ニューヨークのビーコンシアターで開催されたストーンズの慈善ライブの模様をドキュメンタリー風におさめている。監督は、オスカーを取ってからというものやたらとメディアに顔を出すようになったマーチン・スコセッシ。本作品にもライブで演奏する曲がなかなか決まらずイライラするディレクター役?で登場しており、地味なチャーリー・ワッツよりもむしろ目立っているくらいだ。

麻薬問題などでなかなか来日が実現しなかったストーンズが、1990年東京ドームで行った初来日コンサートを見に行ったことがある。ギターのチューニング音が鳴るだけで会場のボルテージはいきなり最高潮。『スタート・ミー・アップ』からアンコールの『アンジー』まで、一緒に見に行ったロックに詳しい友人が涙を流しながら「キースが生きてる」とずっとつぶやき続けていたのを今でも鮮明に覚えている。

ヒットソング・メドレー的な曲目構成にミーハーな私は満腹状態だったのだが、このドキュメンタリー作品におけるアメリカ人たちの反応も、新作『シャイン・ア・ライト』からの曲よりもナツメロの方が数倍受けがいいのである。ストーンズに一般大衆が求めているものは(悲しいことに)その“天然記念物性”なのではないか。

贅肉ひとつついていない体でステージを所狭しと動き回り、息一つ乱れることなく歌いまくるミック。『ブラウン・シュガー』演奏中、(息もたえだえに)膝をつきながらプレイしていて「ほら、しっかりせんかい」とばかりにミックにケツを引っぱたかれるキース。痴呆老人のように無表情でひたすら一本調子のリズムをきざむワッツ。みんなにかわいがられていそうでどこか浮き気味のロニー。老体に鞭打つそんなシーンの一つ一つに、無条件に感動させられてしまうのだ。

1990年の東京ドームコンサートで(確か『悪魔を憐れむ歌』の演奏中だったと記憶しているのだが)バック・スクリーンに“ロキシー・ミュージック”や“トーキング・ヘッズ”、“セックス・ピストルズ”など一世を風靡しながらいつの間にか消えていったバンドを執拗に映し出す場面があった。当時は、ミック・ジャガーが発しようとしたメッセージの意味を知る由もなかったのだが、このドキュメンタリー作品を見ていると実感としてヒシヒシと伝わってくるのである。「俺たちは生き残ってるぜ」と。

ザ・ローリング・ストーンズ/シャイン・ア・ライト
監督 マーチン・スコセッシ(2008年)
〔オススメ度 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« かぞくのひけつ | トップ | その土曜日、7時58分 »
最新の画像もっと見る