彼らが“普通じゃない”と言うまでは
僕が異常とは気がつかなかった
たしかに僕は彼らとの会話が苦手
口に出す言葉が思ってることと違ってたりするからやっかいなのさ
全体をとらえてから部分を見るのが彼らなら
僕の目には部分がまず飛び込んでくる
雨が降っていることを理解するまでに
とっても時間がかかったりする
だから僕は突然叫んだり、跳びはねる
見たものが頭の中で楽しい記憶の出来事と結びくと
跳びはねたくなるし
それが悲しい出来事の時は逆に縮こまる
彼らの記憶がリニアなら
僕の記憶はノン-リニア
彼らは僕をバカだと思っているけど
本を書くことだってできるんだ
認識の仕方が彼らと少し違っているだけ
拘っていることを繰り返すと何だか落ち着く
彼らはすぐに飽きるけどね
ブーンという電線のうなり音やシャボン玉
お気に入りの首飾り
外で見た一瞬の光景を絵にしてみたり
電子音を耳の側で鳴らし続けたり
世界はカオスに満ちているけれど
他の全てをシャットダウンして
その時だけは神経を集中できる
不確かな世界から僕を守ってくれる
彼らは自然を美しいというけれど
自然を見ていると許されている気持ちになる
こんな僕でも生きていていいんだって
僕の将来がとても不安なパパとママ
だけど僕には“今”しかないから気にもしていない
彼らは僕を悪魔の子というけれど
僕は彼らを神の子とは思えない
彼らは僕たちを遠ざける
だけど僕らは彼らと交わりたい
僕が跳びはねる理由
監督 シェリー・ロスウェル(2020年)
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