めたらやったら首がもげたりー、“こッ”って言ったりー、丸焦げになったりーする思わせ振りなシーンが続く割には、全然怖くない。出来の悪いお化け屋敷のようななんちゃってホラーといっても過言ではないだろう。“21世紀最高のホラー”が聞いてあきれる巷の評価とはかなり“隔たり”ある1本だ。
アートなミニチュアハウス作家のアニー(トニ・コレット)の母親エレンが死亡、精神分裂症だったエレンは孫のピーターの面倒を見たがっていたらしいのだが、アニーはその身代わりに妹のチャーリーを差し出した過去がある。アニーの父と兄は精神病を患いそれぞれ餓死&自殺しているという激ヤバ一家で、かつそのアニー自身も夢遊病の持病があり子供たちを焼き殺そうとした前歴の持ち主、というかなり無理ヤリな設定だ。
この映画のポスターを見て不気味少女チャーリーが主人公のような印象を持たれた方も多かったのではないか。口の中でドロップを転がすような変な舌打ち“こッ”をかましながら首のない土下座人形を作ったりー、鳩の死骸から首だけちょんぎってポケットにいれたりーするものだから、この後チャーリーが中心になってお話が進むのかなぁと思いきや、映画前半で早くも首チョンパ?、その後スクリーンにはほとんど登場してこない。
旦那役のガブリエル・バーンとトニ・コレットの間に生まれた子供とは思えない黒髪アラブ顔の地味なピーターがこの映画真の主人公。妹チャーリーにとんでもないことをしておきながら、なぜか両親からも警察からも何のおとがめもない超恵まれた環境におかれたピーター。実は親子2代にわたってこのピーターを悪魔の○にするため家族そろって○○○になってきた、というありえないオチが待っているのだ。
殺されるんじゃないかと思って逃げ出したピーターを追いかけてきたアニーが、なぜか天井に向かって連続チョーパン?、自分の首をキコキコ?やりだした時は思わず笑いがとまらなかったが、後は涙目状態のアニーやピーターが、チャーリーの亡霊らしきものにビビりまくっているシーンがだらだらと続くだけ。小学生の時のあだ名が“ダミアン”だった私にとっては、駄作以外の何物でもない1本だった。
ヘレディタリー/継承
監督 アリ・アスター(2018年)
[オススメ度 ]