ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル

2024年11月11日 | ネタバレなし批評篇

過去に踏み込み、歴史を終わらせる。のっけからインディ・ジョーンズの顔にずだ袋を被せ、出ますよ出ますよ、ほ~ら出た~とばかりに登場する、すっかり生成AIで若返ったハリソン・フォードのご尊顔。リアルタイムで彼の勇姿を劇場で見たことのあるオールド・ファンはどう思ったのだろう。「人工的でなんか気持ち悪い」と違和感を覚えるのか、それとも「思った以上に良くできている」と感心しきりだったのか。シリーズものの“墓泥棒”的作品をこれまで何作か撮っている監督ジェームズ・マンゴールドが、史上最も有名な墓泥棒シリーズを“終わらせる”べく、あえて生成AIを使って“過去の歴史”に踏み込んだ1本なのである。

不死身のX-MENウルヴァリン・シリーズをある意味、“老い”演出で終わらせたマンゴールドを私は高く評価している。バ◯デンの認知症をまるで予感していたかのようなエグゼビアの衰えは目をおおわんばかり、その面倒に忙殺されるウルヴァリンの老々介護生活は、惨めを通り越して最早笑うしかない。そんな映画監督マンゴールドが、スピルバーグの大ヒットシリーズをどうやって“終わらせる”のか?ハリソンの全盛期を想起させるAIアクション全開シーンはさておき、齢82のハリソン・フォードへの引導の渡し方にむしろ興味がわいたのである。

古代ローマのアルキメデスが発明した“アンティキティラ”をめぐる旧ナチスとインディ、そして名付け子ヘレナによる争奪戦は、これまでと同様に目まぐるしい展開が見所だ。そのアンティキティラによってインディ一行が導かれた時代は、古代ローマ帝国時代という、考古学者なら一度は訪れてみたいと願っている歴史のクライマックス。そこでインディことハリソンは「この時代にとどまりたい」と切に願うのである。しかし、ヘレナは「あなたがここにいたのでは歴史は変わってしまう」といって無理やり現代(1969年?)に連れ戻すのだ。

古代ローマにとどまること即ち、もう金輪際インディアナ・ジョーンズ・シリーズには出ないよ、というハリソンなりの意思表示なのではないか。しかし、二匹目三匹目のドジョウを狙っているマーケットは「まだまだ映画に出てもらって我々のために働いてもらいますよ」とばかり、ハリソン・フォードをこき使う気まんまんのエンディングとなっている。65歳定年を70いな死ぬまで延長しそうな我が国のように、散々稼がせたんだかから死ぬまで働いてもらいますよと、俳優を使い倒すハリウッドの姿勢にも大いに問題がある気がする。

生成AIを使えば永遠の若さを保ったスターたちをスクリーン上に♾️に登場させることが可能になる。理屈はわかるけどそれってやっぱり“モドキ”でしょ、と個人的には思うのである。俳優が“歴史の中に埋もれ”たがっているのに辞めさせてくれないブラック化したハリウッドが自壊しつつあるのは誰の目にも明らかで、売れなくなった俳優はトランプ苛めをさせることぐらいしか仕事がなくなっているのではないだろうか。バ◯デンのことをとやかくいえる身分ではないのである。ハリウッドがサポートする民主党左派陣営はそれこそ永久任期のAIプレジデント誕生の下準備をしている、そんな気さえする今日この頃なのである。

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル
監督 ジェームズ・マンゴールド(2023年)
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