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タイトルもずばりシビル・ウォー(内戦)。アべンジャーズのやんちゃが高じて民間人に死者が出たことから、国連監視下におかれることに。トニー・スターク一派はすんなりそれを承諾するが、キャプテン・アメリカ一派は自由がなくなるとしてこれを拒否。ウィンター・ソルジャーことバッキー問題で両派の仲はこじれにこじれ、ついには決裂、空港での一大バトルへと発展してしまう。
ブラックパンサー、スパイダーマン、アントマンと新キャラが加わった代わりに、ハルクとソーは今回登場していない、ゆえにアントマン戦以外の試合は意外と軽量級の印象を受けるだろう。しかし映画冒頭シーンと前作のソコヴィア紛争を伏線にした、ラストのアインマンvsキャプテン戦は見応え十分だ。ご覧の通りこの映画には強大なラスボスは結局登場しない。それではキャプテンとアイアンマンはいったい何のために闘ったのだろう。
キャプテンことロジャースはバッキーとの友情を守るため、アイアンマンことスタークは○○の仇をとるために怒りの炎をメラメラと燃え上がらせる。ソコヴィアの元スパイに火をつけられて唯一冷静でいられたのは、ブラックパンサーことワガンダ国王とウィドーぐらいだろう。“怒り“そのものの化身ハイドやその“怒り”を超越した神であるソーをあえて登場させなかったのも、人間の内面に潜む“怒り”こそが内戦いな戦争の根本原因であることを強調せんがためではなかろうか。
結果、ウォーマシンやバッキーの負傷ならびにアベンジャーズの内部分裂という多大な犠牲を払うことになるのだが、正義の行使の仕方についてマイケル・サンデル教授の白熱教室よりも人間の内面を一段階深く掘り下げているシナリオは評価に値する。現在世界各国で起きているさまざまな紛争も、漁夫の利を狙う第3者の介入こそが原因である場合がほとんどなのではないか。世界平和を求める心は、ドメスティックなナショナリズムをゆさぶれられるだけで簡単に燃え上がる怒りの感情に打ち勝つことができるのか。そもそも人間の精神構造自体に本質的な問題があるのではないか。この映画が投げかける問いに答は簡単にみつけられそうにない。
シヴィル・ウォー/キャプテン・アメリカ
監督 アンソニー&ジョー・ルッソ(2016年)
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