ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

ある結婚の風景

2007年12月17日 | 誰も逆らえない巨匠篇
『叫びとささやき』は“赤”を基調とした非常に難解な作品であったが、本作品のテーマカラーはずばり“緑”。登場人物もきわめて少なくストーリーもわかりやすい。というよりも、恋多き巨匠ベルイマンの自伝的作品として見れば、さらに興味のわく1本だ。

おしどり夫婦のヨハン(エルランド・ヨセフソン)とマリアンヌ(リヴ・ウルマン)。夫の浮気告白をきっかけに2人の関係に亀裂が入り、別居を余儀なくされる。つかみあいの喧嘩のシーンなどが途中登場するが、けっして醜いののしり合いだけに終始することはない。むしろ穏やかなささやき合いの中に、夫婦関係の深遠なる奥深さが浮かびあがる秀作だ。

オリジナルはテレビドラマとして放映され、スウェーデンの離婚率が急上昇したという社会現象さえ巻き起こしたという。“愛”が失われた時、夫婦はお互いどのようにして向き合えばよいのか。その回答が本作品で描かれることはないが、離婚後に再会したヨハンとマリアンヌの顔は、結婚していた時よりも穏やかさに包まれ満ち足りた表情さえ浮かべている。

夫婦の危機を離婚という型で乗り越えたヨハンとマリアンヌ。エゴを捨て去り、お互いの立場を深く認め合った二人の関係は、私生活ではとうとう結ばれることがなかったベルイマンとリブの関係に似ている。

監督 イングマール・ベルイマン(1974年)
〔オススメ度 

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