【記事のポイント】
〇結論=大局的には電気自動車
〇現状=電気自動車普及の障害
〇今後=中国は戦略的
結論
直線的に電気自動車は普及しない。
最大の障害は、値段の高さと充電インフラ数の少なさ(都市にしかない)である。
だから、内燃エンジンの燃費を良くする、ハイブリッド&プラグインハイブリッド車を普及させることが行われる。さらに、水素エンジン車の開発を進める。
米国とEUのガソリンエンジンへの規制強化は、日本のハイブリッド車対策でもあることは明白である。
しかし、気候変動対策は人間が生き残るために解決しなければならない最大の問題である。
自動車は単なる移動体ではない。
電気インフラに組み込まれるでしょう。
*蓄電池と非常電源など
人間は、障害を何とか解決するでしょう。
障害は、値段と充電インフラ
1)値段の問題。
車の値段がガソリン車に比べて高い。主因は、車製造原価の4割を占める電池コスト。これに対しては、電池だけでなく車全体の、製造方法の見直し(一体成型=ギガキャスト)によるコストダウンが進む。
また、電池(バッテリーのこと)は、性能が劣化するので交換しなければならない。交換する新しい電池の値段が、現行のバッテリーの比ではない。
さらに、中古車下取り価格の安さがある。こちらの主因は、時間経過による電池の劣化だ。
電池の劣化と値段には、使用期間を長くする全固体電池などの開発と大量生産などのコストダウンが見込まれる。
同時に、取り換えて使う充電方式の乾電池を使う。さらに、取り外した古い電池をリサイクル(再利用)することで、新しい電池と安く交換する方法もある。
政府の補助金もあり、リーフは補助金を含めれば275万円からだ。ぎりぎり、普通車の範疇に入った。
2)電欠不安の問題。
給電設備が少ないため、長距離・山間部走行には電欠不安があり、不便だ。これに対しては、全国至る所に充電設備を設ける。さらには無電給電方法の普及が進めば一転するだろう。過疎地に給油所がない対策にもなる。
また、電池性能の改善により、フル充電すれば、400キロは走れるようになった。実用的にはガソリン車に劣らない。
3)収益の問題。
EVを開発するにはコストがかかる。自動車会社は、販売数量が見通せ、投資回収期間を短くしないと投資に踏み切れない。上記1,2の課題を解決できないと難しい。これに対しては、政府の助成(製造会社・消費者)もあり関連企業が先行投資を始めるだろう。エネルギー価格も変動する(原油高)。どこかで爆発点(転換点)は来る。
4)電気が必要な問題。
もっとも重要な課題は充電に発電が必要なことだ。これに対しては、石炭と原油、さらに原子力をエネルギー源としない自然再生エネルギー電力の開発が進む。家と車を発電・蓄電設備にする。さらに、電力供給システム(送電)の効率改善が期待できる。
今後=中国は戦略的
非伝統的自動車会社による転換
出所 日本経済新聞
注目は米テスラ社だ。新規参入のテスラ社は、新型車(モデル3)の量産にてこずっているとのニュースがある。これは予想していた。車を構成する部品数が減っても、組み立てる技術がいる。既存自動車企業にはこの心配はない。
だが、テスラ社は先行すると見ている。極限まで部材と組み立て工程を削減する、新しい組み立て方法で車を造ろうとしている。
車の既成概念を持たない、非伝統的自動車会社が中国はじめ新規参入が相次ぐだろう。
なお、テスラ社には、電気自動車メーカーであるという意識はない。新しいエネルギー社会を作ることの中に電気自動車が位置付けられている。車は移動手段だけではない。発電蓄電機能を持つ移動体だ。
また、中国は戦略的だ。
電池性能の優位性と低価格を武器に、世界市場の占有率を高めている。
しかしまた、相対的な低価格車も、いったん、販売量が頭打ちするだろう。