高い壁に囲まれてそこに住む住民はその世界からは出られないという「世界の終り」、僕がこの街にやってきたのは春の季節だった。その前のことは記憶にない。入り口にいた門番は影を切り取るという。そんなことができるのか、しかし選択肢はないと言われそれに従う私。私の影には「しばらくはお別れだ」というが、しばらくとはいつまでなのかは説明できない。僕の影の面倒をしっかり見て欲しい、と門番に依頼する。図書館で夢を読むという仕事に従事するが、夢を読むことの意味はよくわからない。図書館には若い女性がいて夢を読むのを手伝ってくれる。彼女にとっては僕を手伝うことが唯一の仕事であるらしい。彼女は高い壁に囲まれた南にある職工地区と呼ばれる街に住んでいる。一度、そのもっと南にある川が湧き出している「たまり」という場所にまで案内してもらう。僕は僕の影にこの世界の地図を描いて欲しいと頼まれているのだ。夏から秋になり僕はこの世界を壁づたいに歩いて地図を作ってみたいと考えた。しかし冬の到来で僕は森で凍えてしまい、命からがらのところを助けられる。僕は夢を読む仕事に戻る。冬の寒さで死んでいく動物の頭骨を切り取って、その骨から夢を読み出す、これが僕の仕事なのだ。
もうひとつのストーリーがハードボイルドワンダーランドである。僕は計算士、ある日、ある建物のエレベータに乗り、そのビルにある事務所で若い女性に地下にいる祖父に会いに行って欲しいと頼まれる。その事務所の壁の向こうは真っ暗な洞穴になっていて、梯子を伝って地底に降りた。そこには川が流れていて、15分ほどで彼女の祖父の研究所に着いた。そこで計算士としての仕事を依頼される。そして何かの動物の頭骨とおぼしき骨を預かる。家に帰って依頼された計算士の仕事をするが、預かった頭骨が気になる。図書館にいって調べてみた。図書館にいた若い女性が調査を手伝ってくれた。家まで頭骨に関連する本を持って来てもらって、頭骨が一角獣ではないかということがわかった。ある男がガスの検査を装って頭骨を盗みに来た。これは見破って追い返したが、これは「組織」から派遣されたのか、それとも別のライバルの働きかけなのか。僕は頭骨を街の貸しロッカーに預けた。そして家に帰ると二人組が来て部屋中を荒らして帰った。彼らは、組織の人間が捜しに来たら「頭骨はどこだ」と言われて家探しされたと言え、と言い残して出て行った。二人組は僕が頭骨を預けたことを知っていたのだ。そしてやはり組織の人間は来たが、かれらは僕が頭骨を預けたことを知らないようである。
二つのストーリーの接点はなかなか見えない。ハードボイルドワンダーランドの最初の若い女性が「世界の終り」が近付いていると知らせてきた。祖父がいなくなった、一緒に探しに行かなければ36時間で世界が終わるのだという。二人でもう一度地下の世界に祖父を探しに行く。もう時間はあまりないのだ。ここまでが上巻。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上巻 新装版 (新潮文庫 む 5-4)
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 下巻 新装版 (新潮文庫 む 5-5)
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