母のさくらは実は四谷の老舗呉服店の娘、昔は「御茶ノ水のジャンヌ・ダルク」と呼ばれ、父と同じ反体制活動をしていたという経歴の持ち主。今はは喫茶店を切り盛りして、稼ぎのない一郎と家族を支えているのだが、実はさくらには逮捕歴がある。姉の洋子は職場の上司と不倫中であり、一般的な意味では結構変わった家族である。小学四年生の妹の桃子のみが「まとも」。そんな中、父親の一郎は、国民年金の督促のおばちゃんと戦ったり、学校に「修学旅行の積立金が高すぎる、おかしい」と訴えに行ったりして、二郎は困惑する。二郎は不良のカツに何度も「急所がひょいと持ち上がる」ような目に遭うが、最後には友達と協力、カツをやっつける。
さくらが、ある朝大事な話があるという。「我が家は、沖縄の西表島に引っ越すことにしました」。この一言で二郎たち親子は沖縄の西表島に移住することになる。二郎は友だちに満足な別れを告げる間もなく、姉の洋子を東京に残し、翌日には沖縄へ。石垣島の有力者のつてで、西表島の廃屋で暮らし始める。会社をやめた姉もやってきて同居をすることになる。そして一家が住みついた土地は、東京のリゾート開発会社が既に買収済みであることが発覚。この後半の西表島での一郎の活躍はなかなかである。そしてさくらもさすが元活動家という腹の座った面を見せる。
サウスバウンド、南へ向かって、最後に一郎とさくらは西表島より南の波照間島、いや多分沖縄信仰である「ニライカナイ」を目指して旅立つ。「ニライカナイ」は、海の彼方、海の底、地の底にあると信じられてきた楽園。南に、というのは既成概念に縛られない新しい所、という意味で使われている。南といえば、情熱・活力の象徴であり、暖かさ・明るさ、絶頂・頂点・ピークの象徴でもある。一郎とさくらが目指すところ、それは情熱をもって生きた時代を今も生きたい、というサウスバウンドなのか。
サウスバウンド 上 (角川文庫 お 56-1)
サウスバウンド 下 (角川文庫 お 56-2)
町長選挙 (文春文庫)
イン・ザ・プール (文春文庫)
空中ブランコ (文春文庫)
ガール (講談社文庫)
最悪 (講談社文庫)
邪魔〈上〉 (講談社文庫)
邪魔〈下〉 (講談社文庫)
マドンナ (講談社文庫)
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