意思による楽観のための読書日記

M8 高嶋哲夫 **

瀬戸口誠治、28歳、大学の理学部地球物理学科大学院のポスドク。高校時代に阪神・淡路大震災で親兄弟を亡くした震災孤児で、現在は地震予知を専門とする。コンピュータ・シミュレーションによると、1ヵ月以内に東京直下でマグニチュード8クラスの巨大地震が起こることを示していた。この危機を何とかしたいと思う瀬戸口だが、同僚の研究者も教授も、同じく親兄弟を亡くした高校時代の同級生亜紀子、自衛隊員松浦も本気で取り合わない。

瀬戸口は1人の男と偶然出会う。それは、瀬戸口のシミュレーションの基となる理論と公式を構築したかつての地震学の世界的権威でありながら、阪神・淡路大震災を予知することができず、震災後袋叩きに合い、神戸大学教授の地位を追われ、失踪していた遠山であった。遠山の協力の下、精密なシミュレーションを続ける瀬戸口、その精度が上がる度にXデイは現在時点に近付き、あと3日以内にほぼ100%の確率で東京直下型大地震の発生することが判明する。

あらゆるルートを使って、この「事実」を政府や東京都に伝えようとする瀬戸口と遠山。遂には東京都知事が動く。阪神大震災を経験した彼らはどう立ち向かうのか。著者自身が阪神大震災を経験しているので地震の怖さと地震が住民達に与える影響など説得力ある描写をしている。東京直下型、東海、東南海、南海地震は30年以内に80%の確率で起こると言われている。国には頼れない部分も多い、個人でも企業も備えはしっかりしておきたい。
M8(エムエイト) (集英社文庫)

↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「読書」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事