夢を見ているような物語。小森椿は都内の歴史ある出版社に勤めるアラサー独身女性。いたって普通の女性。ある日、住んでいるアパートのベランダに白い鳩が迷い込んで来たので、餌をやり保護した。その日から変わった経験をする。
公園で鳩に餌をやる男性を見かけると、突然話しかけられ、鳩を保護しただろうと言われて焦る。その男、幣巻も以前鳩護だったと言う。鳩護は選ばれた人間ではあるが、何故選ばれたのかは分からないという。今までも鳩護は何人かいた。皆、共通の夢を見る。戦争中、伝書鳩で通信していた通信兵がいた事。新聞社でも、昔は写真を現場から本社に送るために伝書鳩を使っていた。
中でも、矢形というヤクザが鳩護の親玉のような存在、鳩護の人間に仕事を教える。鳩護は鳩に関係する事をこなすことで鳩で金儲けが出来ると。椿はそんなことより、鳩が可愛くて仕方がない。夢に出て来た矢形にそのことを伝えると、馬鹿にされるが、そんな矢形が許せず、顔を夢の中で殴ってしまう。矢形は椿に掴みかかろうとするところを、可愛がっていた鳩が矢形に飛び掛かり、命懸けで椿を守る。
金儲けよりも大切なものがあるということ、大変変わったストーリーで訴えるお話。