意思による楽観のための読書日記

麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか 岩田健太郎 ****

アメリカ116人vs日本27万8000人、2001年に麻疹に罹った人の数である、著者によると原因はハッキリしている。96年に3種混合(MMR)ワクチンの副反応により死者が出たため責任追及をおそれた厚生労働省の担当者がワクチン接種を定期接種から任意接種に変更、2006年までの10年間接種せずに過ごした人から発症者がでたとのこと。厚生労働省は副反応がでやすいおたふく風邪(Mumps)ワクチンをはずしたMRワクチンの定期接種を再開したことのこと。役所では2-3年で担当課長補佐は異動するため、責任者は誰なのか、という問いには「責任者は変わったためわかりません」という答えになるとのことで、責任者はいつも不在である。日本は先進国で唯一麻疹が流行し、エイズが増え、結核が減らない国であり、ワクチン行政がアメリカより20年遅れている国であるとのこと。アメリカで接種されていて日本で接種が義務化されていないものに、Hib(インフルエンザ菌:インフルエンザウイルスとは別物)、肺炎球菌(Prevnar)、ロタ、A,B肝炎、DTaP(大人向け百日咳)などがある。インフルエンザ桿菌は小児で細菌性髄膜炎や急性喉頭蓋炎の原因になり、どちらも非常に重篤な病気であり、小児科の臨床をやっている医師の多くは日本でもはやくHibワクチン義務化にと思っているそうである。実際にH1N1が流行してみて、日本とアメリカなどの対応を比べてみると、日本の対応のちぐはぐさがよくわかった。ワクチン問題だけではなく、日本での防疫、公衆衛生の概念など本当に遅れていると感じる。
麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか
進化から見た病気 (ブルーバックス)
豚インフルエンザの真実―人間とパンデミックの果てなき戦い (幻冬舎新書)

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