意思による楽観のための読書日記

愉楽の園 宮本輝 ***

タイのバンコックを舞台にした、日本人女性 惠子とタイ人で裕福で王家の家系にも繋がる家庭育ちの男性サンスーン。二人は妻を亡くした男と、パートナーにと別れて傷心旅行でバンコクを訪れた女性としてバンコックで偶然出会い、そのまま3年、夫婦とは成らないまでも家を買って週に何度かを一緒に過ごす間柄になっている。サンスーンは惠子と正式に結婚したがっているが、惠子には迷いがある。日本から世界を旅してバンコックにたどり着いたという野口が惠子の前に現れ、惠子の心は揺らぐ。サンスーンは政界進出を期に、惠子と正式に結婚したいと考えプロポーズする。惠子は煮え切らないが、3年も住んでいて読み書きもできないタイ語を勉強する決心をして、サンスーンには内緒で学ぶ。ある日、惠子がタイ語を話すのを聞いたサンスーンはそのことが、プロポーズへの答えだと解釈する。政界進出と同時に本の出版ももくろむサンスーン、だが、本当の執筆者は別にいることを惠子は知る。本の出版を祝うパーティ席上、二人の結婚を披露するサンスーン。惠子は、野口とのこと、本の秘密などが頭の中を駆けめぐり、サンスーンの期待には添えないことを決意する。ここで物語は終わるのだが、サンスーンの表面面の良さを描きながら、政治家としてのサンスーンの裏側を予見させる描写もあり、途中からは惠子がサンスーンを裏切るのだと見えてくる。野口は惠子に惹かれながらも、二人が結ばれることはないとも考えている。ある時、二人は結ばれるが、、それは一時の惠子の気の迷いと野口は感じている。あーでもない、こーでもない、という女心とも思えるが、自分がサンスーンであったならばとうに見切りをつけるような展開だと感じるがどうだろうか、惠子がそんなに魅力的な女性だとも思えない。宮本輝らしい舞台設定でありストーリー展開である、とも言えるが、みんなが中途半端で読後感は良くない。
愉楽の園 (文春文庫)

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