意思による楽観のための読書日記

プリズン・ホテル 浅田次郎 **

ヤクザが温泉旅館を買い取ってしまった、というお話し。思い出すのは「天切り松の闇語り」、本書はそのドタバタバージョンとも言える。浅田次郎の小説には「蒼穹の昴」や「壬生義士伝」「輪違い屋糸里」などの素晴らしい歴史物があると同時に、「王妃の館」「オーマイガッ!」など暇つぶしにも読みたくない、という傾向の書き物がある。本書は後者、文庫では全4巻、このように長くなる必然性はない、という内容。文庫本に解説を寄せている草野満代さんは「登場人物の男のキャラクターが人間味があり迷惑なヤツだけど一本筋が通っているため、好き嫌いを感じる読者の女性の度量を試すようだ」と書いている。確かに登場する男もそして女もキャラクターは特徴が先鋭化した形で表現され、現実にはいそうにないキャラがほとんどであるため、読者の度量が試されているとも言えるが、自虐的、暴力的、常識はずれの行為が頻発されていて、筒井康隆のパロディ小説のような雰囲気もある。鴻上尚史がメガホンを取って映画化すればいいじゃない、と思えるようなストーリーなのだが、すでに別の監督で映画化がされているとか。全巻読破という目標を立てている浅田ファンなら読まなくてはいけません。
プリズンホテル〈1〉夏 (集英社文庫)
プリズンホテル〈2〉秋 (集英社文庫)
プリズンホテル〈3〉冬 (集英社文庫)
プリズンホテル〈4〉春 (集英社文庫)

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