日本史上、国のリーダーシップはどのように操られてきたかという視点で、ナンバー2がそれを握ってきたというのが本書。殿を支える家老、若将軍を支える老中、天皇を操る摂政や関白、そして院政を牛耳っていた治天の君。古代から近世までをざっと概観する。
古代、大王や天皇の補佐役は連綿と役割を果たしてきた。卑弥呼の弟、伝説上ではあるが神功皇后、武内宿禰、聖徳太子に蘇我馬子、藤原鎌足とその子不比等、長屋王、藤原四兄弟、橘諸兄、藤原仲麻呂、道鏡。
摂関政治の時代には、藤原一族から百川、良房、基経、時平、忠平、実頼、師輔、兼通、兼家、道隆、道兼、道長、そして頼道。途中菅原道真もいた。その後は院政時代で、白河、後白河、後鳥羽などと続いた。鎌倉時代はナンバー2の執権が実権を握るが、その北条氏の中でも得宗家とその支家が勢力を争った。
室町時代になっても、尊氏の弟足利直義、尊氏の執事と言われた高師直、管領家では細川氏、そして斯波、畠山と義満から先の将軍は力を失い管領家と摂家、そして有力守護、戦国大名たちに牛耳られていく。
その戦国大名でも、武田信繁、豊臣秀長、朝倉宗滴、島津四兄弟、島左近、直江兼続、鍋島直茂、大原雪斎、明智光秀、石田三成と続き、天下取り時代の秀吉のナンバー2は実際には徳川家康だった。
江戸時代になると、幕府は巨大な官僚組織となり徳川譜代の各家が老中や側用人などとなり実権を握った。本多正純と土井利勝、酒井忠勝、松平信綱、天下の副将軍と言われた徳川光圀、保科正幸、酒井忠清、堀田正俊、牧野成貞、柳沢吉保、間部詮房、新井白石、水野忠之、松平乗邑、大岡忠相と忠光、田沼意次、松平定信、水野忠成、水野忠邦、阿部正弘、堀田正睦、井伊直弼、安藤信正、久世広周、一橋慶喜、松平慶永と続く。
本書ではこうしたナンバー2の足跡をたどるが、それがそのまま各時代の歴史を形成していることが面白く感じる。そもそもナンバー2の役職名が、摂政、関白、執権、管領、老中などとこんなに多く歴史上あるというのも意味深い。歴史好きには面白い一冊。