意思による楽観のための読書日記

運命の息子 ジェフリー・アーチャー(下) ***

フレッチャーはその後、ハリーゲイツ上院議員の後継者としてコネティカットから民主党から立候補、当選する。このころナットは銀行家として企業買収に取り組んでいるが、上院議員に立候補して戦うフレッチャーを知り、レストランではワインのボトルを差し入れたりして応援する。二人が直接出会う初めての場面である。

その後、紆余曲折があり、二人はコネティカット週知事候補となり民主共和に別れて戦う。その共和党予備選でナットのライバルラルフ・エリオットがもう一人の候補者となる。ラルフは公開討論会で、スー・リンの過去を暴いて、スーの母が母国で売春婦だったとこを公開の場で問題とする。それを見ていたナットとスーの息子は自殺してしまう。ナットは激怒、ラルフの自宅に押しかけ、ラルフを殴る。ラルフはピストルで応じる。ナットがラルフの自宅を出た時に銃声がする。ラルフの妻レベッカがラルフを撃ち殺してしまったのだが、警察はナットに殺人の疑いをかける。

ナットは集知事選の候補者でありながら容疑者となり、裁判の被告となる。ナットは弁護士としてもう一人の州知事候補であるフレッチャーに依頼する。フレッチャーはそれを受け、裁判で勝利を獲得する。集知事選は激しい戦いになるが、接戦であった。その時、フレッチャーは交通事故で瀕死の重傷を負う。輸血が必要となるが、血液型はABマイナスという珍しい血液型、その時ナットは輸血を申し出る。医師は二人のDNAを検査して、全く一致することを知り二人に告げる。二人は二卵性双生児(Dizygotic twins)であると。二人はその原因を推測し、それがもたらすそれぞれの家族への影響を考え、他には漏らさないことを決めて、関係書類をシュレッダーにかける。州知事選の投票結果はなんと同数で決着はコイントスとなる。”head or tail?”

ナットとフレッチャーの年代記であるが、それぞれのストーリーが交互に、切れ切れに書かれていて、展開も早いので、読んでいる側としては時々キャッチアップできないこともある。次々に起きる事件もドラマチックであり、読者を飽きさせないが、ちょっと派手すぎるきらいがある。シドニー・シェルダンの小説に通じるものがある。

小説の中では度々シェイクスピアの台詞、俗語、フランス語などが登場する。「名前に何があるというの?」、「ユーコン(コネティカット大学)」、”Menage Trois(三角関係)”、”Sad Sacks(のろまども:ジョージ・ベイカーの漫画より)”、そして章立て自体が旧約聖書の目次に沿っている。

一気に読めてしまう痛快なお話しである。
運命の息子〈下〉 (新潮文庫)


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