日本共産党の井上哲士議員が16日の参院本会議で行った軍拡財源法への反対討論の要旨は次の通りです。
本法案は、専守防衛を投げ捨て、違憲の敵基地攻撃能力保有を含む5年間で43兆円の大軍拡を推し進めるものです。審議を通じ、敵基地攻撃能力は米国の先制攻撃戦略「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)のもと、米軍指揮下で運用される実態が浮き彫りになりました。
防衛省の内部文書には、敵基地攻撃の日米共同作戦として、計画立案から攻撃目標分担、指揮統制に基づく攻撃などを繰り返す図が示されています。敵基地の情報などを日米で共有するとしていますが、日本独自で情報を把握する能力はなく、米国の情報が正しいという前提で対応せざるを得ません。米国の際限のない戦争に巻き込まれかねません。相手国から反撃を受け、日本が深刻な被害を受けることは避けられません。
敵基地攻撃能力の保有は天井知らずの軍拡に道を開き、浪費や談合を生じさせます。米国製兵器を爆買いするFMS(有償軍事援助)は急増しています。無人偵察機グローバルホークは、昨年2機が納品されるも、残る1機の納品は決まっていませんが、米国は同型機を「時代遅れ」として退役を決めました。にもかかわらず、本体価格や維持整備費は大きく値上がりし、今後もFMSが青天井で膨れ上がることは必至です。
かつて防衛施設庁を解体に追い込んだ談合の動きが復活していることも重大です。防衛省は自衛隊施設の強靱(きょうじん)化事業で、予算成立前の昨年12月にゼネコン関係者から受注可能な事業数や金額、発注方法についてアンケートをとりました。そのアンケート実施を受託している防衛基盤整備協会には、談合で有罪になった施設庁OB3人が役員に就き、しかも施設庁談合で談合表をつくった本人がこのアンケートの中心を担っています。事業そのものを抜本的に見直すべきです。
軍拡財源確保のため、将来にわたり国民に負担が押し付けられます。「防衛力強化資金」は複数年度にわたり自由に使え、予算の単年度主義、財政民主主義を壊します。
暮らしや復興支援、社会保障、中小企業に充てる資金を軍事費に流用するのは許されません。東日本大震災の復興所得税の軍拡財源への転用は、福島市で開かれた地方公聴会で「被災者の願いに真っ向から反する」との声が示されました。医療体制強化や職員待遇改善に使うべき国立病院機構と地域医療推進機構(JCHO)の積立金を軍拡財源に回すのも認められません。
決算剰余金も軍事費に充てられますが、その元となる巨額の予備費は赤字国債が原資です。未来の世代に莫大(ばくだい)な増税を強いることになりかねません。
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