国連安保理 人道状況悪化のなか否決
「集団殺害の許可」と非難
行使5回目
【ワシントン=洞口昇幸】米ニューヨークの国連本部で20日、国連安全保障理事会は、イスラエルが軍事侵攻を続けるパレスチナ自治区ガザでの「即時かつ無条件の恒久的停戦」を求める決議案を採決しましたが、常任理事国の米国が拒否権を行使し、否決されました。日本など残りの14理事国は賛成しました。
ガザの人道状況が悪化の一途をたどるなか、非常任理事国10カ国が決議案を共同で提案。ガザ住民のための支援物資搬入の増強や国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動継続を要請。イスラム組織ハマスに拘束されている人質全員の即時かつ無条件の解放も求めていました。昨年10月以降のガザでの戦闘に関する決議案に、米国が拒否権を使うのは5回目です。
決議案が否決されたことについて、非常任理事国のアルジェリアの代表は、イスラエルに対する「ジェノサイド(集団殺害)を続けてもいいとするメッセージ」だと述べ、米国を非難。韓国やマルタなど各国代表から遺憾の意の表明が相次ぎました。
「オブザーバー」として出席したパレスチナの代表は「パレスチナ人の死に世界は慣れてはならない」と強調。ガザでの停戦は「全てを解決するわけではないが、解決するための第一歩だ」と訴えました。
米国のウッド代理大使は、「恒久的停戦は、無条件ではなく人質解放を伴わなければならない」と主張し、拒否権行使を正当化しました。
常任理事国5カ国のうち、拒否権を行使したのは米国のみで英仏中ロは賛成。米メディアによると、イスラエル側は採決前に、可決すれば「裏切り」だとけん制していました。
英国の代表は、ガザでの人道危機緩和のために「イスラエルは緊急の行動を起こさなければならない」と述べました。
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