ときの備忘録

美貌録、としたいところだがあまりに顰蹙をかいそうなので、物忘れがひどくなってきた現状にあわせてこのタイトル。

ハラハラドキドキPart1

2005-12-20 | 砂時計
ちょっと前に、ネットのお友だちからトラベルバトンなるものを回してもらい、受け取り損ねたことがあった。
旅行をするのは、本当に久しぶりのことだ。
国内旅行をするより海外旅行をするほうが安いこの時代に、パスポートすら持っていない私。
特に海外への興味がなかったこともある。
お金がなかったというのが一番の理由かもしれない。
先日、息子の学校で卒業生の講演会があり、国際弁護士の演者が生徒に問うたところ、息子以外のほとんど全員の生徒が海外旅行経験がある、と手を上げたそうだ。
へぇ。
それを恥ずかしいとも思わない私たち夫婦である。

さて。
15~16日にかけて、結婚20周年の旅行に夫婦二人で出かけた。
行き先は高知、オーベルジュ土佐山である。
私たち夫婦の旅行のスタイルは、いつもまず宿ありき。
結婚してからの旅行は、全て、まず行きたい宿を見つけて、そこにとまることを目的とした旅行だった。
今回、宿泊先に選んだこの宿のことを知ったのは、10年くらい前のことだろうか。
「オーベルジュ」という料理を楽しむホテルスタイルのはしりとなった「オーベルジュ・オー・ミラドー」に予約を入れ、出かけようとしていた矢先、妊娠がわかりお流れになったのが16年前のこと。
その後、子どもが生まれ、夫の転職などで旅行をする余裕などはなかった。
いまも、けっして経済的に余裕がある状態ではないが、20年という節目になにもないのも寂しいかな、と計画したのだ。

高知という土地は、何かしら心惹かれるものがある。
人柄がおおらかで、さっぱりしたイメージがあるのは、広い太平洋に面しているからなのかもしれない。
魚料理が美味しくて、水がきれいで、お酒が美味しい。
観光を楽しむというより、その土地の美味いものが目的の私たちには魅力がいっぱいの地である。
今回の宿泊先をここに選んだのも、そうした理由に拠るところが大きい。

月曜日から、近年にない寒波の到来で非常な冷え込みが続いていた。
お天気も曇りがちで、どうかなぁ、と心配しながらの出発だった。
抜けるような青空が広がり、気温も高い。
幸先のよさを感じながら、土佐路に入る。
高知を訪れるのは、これで4回目になるだろうか。
チェックインの時間まで、だいぶんと時間があるので観光することにした。
まずは土佐和紙で有名な伊野町を訪ねる。
四万十川と並ぶ、清流仁淀川に沿って車を走らせると土佐工芸村がある。
和紙作りを体験できる、となっているもののこどももいないし、ほかの観光客もいないことから、今回は見送った。
ちょっと変わった和紙を選び、お土産とする。
もっとお洒落な和紙の工芸品を期待していたのだけれど、ここでは素朴な味わいの手作りレターセットのようなものしかない。
お昼のランチは1050円にしては、十分すぎるほどのボリューム。
ゆったりとランチをとっても、まだ2時半。
何もないホテルだと聞いているので、あまりに早すぎても時間をもてあましてしまいそう、ということで有名な桂浜へ向かう。
昨日までの寒さが嘘のように、暖かい午後の光を浴びながら桂浜を散策。
どこまでも続く水平線を眺めながら、ちっぽけなことでへこんだりしていた自分が馬鹿らしく思える。
こんな風景を毎日眺めていたら、勝海舟のように太平洋を漕ぎ出して、もっともっと広い世界へ出て行こう、という気になるのかもしれない。
それにしても、桂浜でクリスマスソング、ってなんだか陳腐。
音楽はやっぱりシチュエーションを考えて流さないと、ね。

友人が勧めてくれたお酒の大型店へ出向き、地酒を探す。
最近はめったに見かけなくなった無手無冠(むてむか)の「鬼辛」を買い込み、ようやく本日の宿を目指すことに。
高知市内から、ずんずんと山を登り始める。
トンネルを抜け、さらに奥へ奥へと道なりに進んで行く。
このあたりから、なんだか車の様子がおかしい。
4~5日前に、バッテリーが爆発したのだ。
今回の旅行も、車は出さずにバスか列車での旅にしようか、と悩んだ果てやはり車を選んだのだ。
しかし、この異音はどうもブレーキまわりからきているようだ。
おい、おい、山道でブレーキが利かなくなるなんて冗談じゃないわよ、と祈る気持ちで車のご機嫌を損ねないようにソフトな運転を心がける。
車のあえぎ声が頂点に達するか、と思われたとき、ようやく目的地「オーベルジュ土佐山」に到着した。


Part2に続く

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